「バカ塗りの娘」映画は良い作品なのですが、同じような内容の町おこし映画が多くて邦画が心配です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「バカ塗りの娘」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

青森県弘前市。青木美也子は高校卒業後もやりたいことが見つからず、家計を助けるためスーパーで働いている。父は業界の斜陽とともに気力を失い、いつしか家族もバラバラになっていた。貧しい暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かして出ていった母と、家を継がず美容師になった兄。そんな家族の中で、津軽塗の道に進みたいと言い出せない美也子だったが。

というお話です。

 

 

青森県弘前市。津軽塗職人の青木清史郎と父の仕事を手伝う娘・美也子は、年季の入った工房で作業をしている。工房からは漆が何度も塗られ、研がれ、その音だけが響いていた。美也子は、高校卒業後、特にやりたいことが見つからず、家計を助けるために近所のスーパーで漫然と働きながら家業を手伝っていた。

幼い頃から人とコミュニケーションを取るのが苦手で、恋人や仲のいい友人もおらず、家とスーパーを往復する毎日。唯一心を開ける存在は、隣に住む吉田のばっちゃだ。父・清史郎は、文部科学大臣賞を獲ったこともある津軽塗の名匠だった祖父から津軽塗を継いだが、今は注文も減ってしまい、さんざん苦労をしているようだ.

 

 

そんな青木家は、工房の隣に建つ自宅で父娘の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に愛想を尽かして、数年前に家を出て行った母。父と祖父の「津軽塗を継いでほしい」という期待を裏切り家業を継がないと決め、美容師となった兄・ユウ。気づけば家族はバラバラになっていた。

 

 

幼い頃から漆に親しんできて、津軽塗の仕事が好きだが、堂々とその道に進みたい、と公言できずにいた美也子だったが、ある日、父に久しぶりの大量注文が入り、嬉々として父の手伝いをする事に。美也子は、花屋で働く青年・鈴木尚人との出会いをきっかけに、漆を使ってある挑戦をしようと心に決める。しかし清史郎は津軽塗をやっていくことは簡単じゃないと美也子を不器用に突き放す。それでも周囲の反対を押し切って挑戦を続け、バラバラになった家族の気持ちを動かして行く。 後は、映画を観てくださいね。

 

 

良い映画ではあるのですが、どうして邦画って、こういう風になっちゃうのかしら。ほとんど地方の都市の町おこし的な映画って、このパターンですね。先日観た、「高野豆腐店の春」も、ほとんど同じなんですよ。大体、地方都市で、何か店や工房的なものを営んでいて、それが衰退しつつあり、後継ぎをどうするかという話になっていて、女がやる仕事じゃないとか、難しい仕事だから無理だとか、そんな事なんです。今までの他の町おこし的な映画も、同じなんですよ。これでは、邦画が盛り上がって行かないハズなんです。

 

 

田舎の町が衰退していくのは、人が減っていくからですよね。若者が都会に出てしまう事もあるけど、少子化なんだから、減っていくに決まっているでしょ。小売店はもう閉めるしかないし、伝統技術は誰かに引き継いで貰う必要があるけど、現代の技術も取り入れて、少しでも技術者が楽に仕事が出来るように改良をしていく必要があると思うんです。もちろん、技術のレベルは下げずに、少しでも楽にしてあげないと無理ですよ。

 

何となく勘違いをしていると思うのですが、昔の人が作ったモノは素晴らしいと思うかもしれないけど、技術なのだから、手先が器用な現代の人がやれば、昔の人よりも技術が向上していくかもしれない。漆塗りだったら、例えばホコリが舞わない無菌無風の部屋でやれば、表面が美しく仕上がるんじゃないの?色々と改良して、現代に合ったやり方を見つけたら、後継者も見つかると思うのよね。

 

 

そして、女性は無理だという考えも間違っていますから。大体、手先が器用な女性が細かい仕事をした方が良いし、力だって、慣れれば、ある程度の事は出来るんです。この映画では漆器、先日観た映画では豆腐と、男が継ぐものだと考えている親に対して、娘が動き出すという内容でした。一体、いつの時代ですか。もう令和なのに、昭和初期の考え方をそのまま持って来られても、またですか?という感じです。

 

映画を作る監督の考え方なのでしょうか。それとも年配の監督さんなので、古い考え方で凝り固まっているのでしょうか。もう、いい加減、邦画も新しいアイデアをいれていかなければ、このまま衰退するばかりです。

 

 

この映画は、まとまっていたし、感動出来る内容になっていましたが、やっぱり内容は他の映画と同じでした。キャストも素晴らしいし、小林さんがじっくり見せてくれるのと、堀田さんの成長が鍵で、兄役の坂東さんが現代の風を吹き込むという、バランスのよい作品だったと思います。坂東さんが、”春に散る”に続き、好演をしていました。

 

もし、内容が、漆器を最初から娘に継がせると決まっていて、娘の技術を向上させるために、海外から弟子を取って切磋琢磨させるとか、又は、誰も継ぎ手がいないので、大手企業と手を組み、技術を繋げていく方策を考えるとか、何かこれからの人に参考になるような内容を考えてくれていれば、また、面白かったと思うんですけどね。ちょっと残念でした。

 

 

ここ最近、観る映画、観る映画、どれも、田舎の方で老人が仕事をしていて、あまりにも頑固で若手に引き継げないというような内容が多かったので、ちょっと、疲れてしまったんです。折角、2時間の映画を観に来たのに、また同じモノを見せられてしまったと思うと、ちょっとねぇ。

 

まぁ、現実がそうなのだから、そういう内容なのだと言われるのかもしれませんが、それなら同じ映画を何本も作る必要は無いですよね。どれか1本、素晴らしい映画を作れば、それが歴史に残るでしょ。でも、そうならないのだから、やっぱり考えて欲しいです。

 

 

この映画、この1本だけを観るなら、素晴らしい映画だし、感動作だと思いました。私は、お薦めしたいと思います。只、ここ最近、町おこしスタイルとして、同じような内容の映画が沢山作られているという映画界の問題を考えて欲しいなと思いました。もっと邦画に頑張って欲しい。黒沢や小津といった、素晴らしい監督がいた国なのに、なんで変わって来てしまったんでしょう。もっと、小さな映画も頑張って欲しいです。ぜひ、この映画、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「バカ塗りの娘」