「バービー」
を観てきました。
ストーリーは、
ピンクに彩られた夢の世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」であり、皆が「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、バービーは、ボーイフレンドのケンとともに、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。ところがある日、彼女の身体に異変が起こる。困った彼女はケンとともに人間の世界へ。しかしロサンゼルスにたどり着いたバービーとケンは人間たちから好奇の目を向けられ、思わぬトラブルに見舞われてしまう。
というお話です。
すべてが完璧で今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド。沢山のバービーと、同じように沢山のボーイフレンドのケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。楽しい毎日を過ごしていると思っていた。
しかし、ある日突然、バービーは、”死んだらどうなるの?”という疑問を持ってしまう。そこから、バービーの身体に異変が起きる。つま先立ちだったバービーの足が、ぺったりした足になってしまったのだ。その上、2階からは落ちるし、シャワーは冷たく、トーストは黒焦げ、口臭が気になりだした。悩んだバービーは、「変てこ」と呼ばれるバービーに逢いに行く。彼女は人間界の事を知っているのだ。
”変てこ”が言うには、人間界で彼女と遊んでいる人間を探すようにと言います。バービーがぺったり足になったり、セルライトが出来たりがした原因が、彼らに会う事で判るというのだ。人間の世界へ向かうおうとするバービー。そして彼女に同行するケン。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界だった。
行く先々で大騒動を巻き起こすことになる2人。バービーの事を知った、バービーの生みの親会社マテルのCEOは、バービーを捕まえて、箱に入れてバービーランドへ帰そうとする。そこでバービーは、自分の事を話しているサーシャと、その母親のグロリアと出会い、一緒に逃げることに。話を聞くと、グロリアがいたずらで描いたバービーの絵が、バービーの変化の原因だと解ります。そして3人は、CEOから逃げるために、バービーランドへ向かうことに。
一方、バービーと人間界に行ったケンは、現実世界の男性優位を学び、バービーランドへ帰って、「ケンランド」を展開し始めます。バービーたちをガールフレンド、主婦、メイドなど、従順な役割に変え、それまで大統領や弁護士、医師などの仕事をしていたバービーが、只の接待係に。これはいけないと考えたグロリアとサーシャは、バービーを奮起させ、元のバービーランドに戻そうと奮闘する。後は、映画を観てくださいね。
うーん、面白いとは思うけど、これが大ヒットとは思えませんでした。だって、話しとしては、バービーランドの主権を握っていたバービーが、ケンに、その権利を奪われ、今度は女の武器を使って、主権を取り戻す話なんですよ。
一応、人形のバービーが、現実の人間世界を知って、驚くという事はあるけど、だって、バービーランドが極端なんですもん。全てがバービーだけで握られているんですよ。大統領も何もかも、重要なポストは全てバービーで、ケンはオマケなんです。まぁ、バービーランドなんだから良いけど、人間社会は、男と女で出来ているのだから、バランスよく、配置出来ないとおかしいでしょ。女だけが主権を持つ世界、男だけが主権を持つ世界じゃ、上手く回らないでしょ。
”現実世界”は、確かに、現実に近くて、男性社会であり、女性は受付とかで、重要なポストには男性だけが就いているという内容になっていました。それは、変えて行かないとね。男だけの社会だったから、今、こんなに歪んだ社会になり、女性政治家が出てきても、男に諂うばかりで何の役にも立たず、フランスに行って騒いだりしている始末。女には小遣いでも与えて旅行にでも行かせておけって感じでしょ。ムカつきました。
そんな社会の問題を描いているように見せていて、全く描いていないところが、この映画の問題じゃないかな。表面的には訴えながら、全くバランスを考えていないところが、やっぱりハリウッド映画だなと思いました。面白く作ろうと思って、結局、女は女の武器を使って、男を攻略するという、下品な行動になってしまっているんです。これ、男が考えるやり方よね。
フェミニズムやらなんやらと騒ぐなら、意見でケンを打ち負かさないと。ケンが”ぐうの音”の出ないほどに、理論で打ち負かして、と言っても、ケンがあまりにも頭が悪いので、そうも出来ないって事なのかな。男の魅力全開と言って、筋肉増強、シンボルは馬、毎日飲んだくれている状態で、頭悪いんだなって思っちゃった。まぁ、人形だから、脳ミソが入ってないしね。
本当は、とても期待して観に行ったんです。米国で大人気というし、原爆のイヤな事はあったけど、映画はちゃんと主張する部分があって、女性の自立や、対等な立場での社会的進出などが描かれていると思ったんです。でも、思っていたのとは、全く違いました。ただ、バービーが、ケンに場所を取られて、取り返すだけの話でした。
ま、一応、ステレオタイプのバービー=マーゴット・ロビーなんですが、彼女だけは、ちょっと変わって、自分の道を行くことになりますが、それも、大したことは無く、私は、この終わり方では納得がいっていません。人間の女性として行くところが、まず、産婦人科って、どーいうこと?確かに大切な事だけど、そこなの?不思議でした。
女性が元気になる為の映画なら、もう少し描き方があったんじゃないの?多様性といいながら、やっぱりステレオタイプはマーゴット・ロビーのバービーだし、太っていたり、変わっていたりすると、好まれないような描き方だったし、個々の違いが大切と言われている時代に、変ですよね。それぞれが、違う考え方を持つからこそ、世界は面白いし、お互いを認め合って、安定させていくというのが、現実世界でしょ。まぁ、そう出来てないから、戦争とかが起こっちゃうんだけど。
人形の世界は、しあわせな事ばかりだと思うけど、面白くない世界ですよね。終わりが無いし、始まりも無い。バービーランドは、子供から生まれて育つ訳じゃないですよね。バービーで突然に現れるんでしょ。成長が無いというのは、面白くないですね。
日本の”りかちゃん”は、確か、りかちゃんパパとママがいたし、赤ちゃんも生まれたし、ボーイフレンドもいたよね。子供の頃に遊んだなぁ。ある年齢になって、忘れていたら、母が誰かにあげてしまったけど、沢山買ってもらったな。その中に、確か、バービーもあったと思うなぁ。祖父が海外から買って来てくれたと思うんです。人間のバランスが違い過ぎて、変だったけど、楽しかったな。自転車に乗るバービーもあったような気がする。
バービーの映画、懐かしい気持ちはしましたが、内容は、ちょっと問題ありじゃないかなと思いました。韓国では家父長制が根底にあるので流行らないと言っていたけど、これ、家父長制は関係無いでしょ。ただ、内容が陳腐だというだけ。フェミニズム映画と言っている人もいたけど、どこがフェミニズムなの?バービーランドは”バービー”が女王様に決まってるんだから、女性だからという話じゃないでしょ。考え方が卑屈になり過ぎています。それよりも、現実世界で、男性ばかりが優位に描かれているのが気分が悪かったかな。まぁ、現実でも役員は男性ばかりなのかもしれませんが。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。が、超は付けられません。そんなに面白くないんですもん。別に、フェミニズムがどーとか、家父長制がどーと言う事ではありません。ただ、単に、ストーリーが陳腐と言うだけです。なんでケンから主権を奪うのに、女の武器を使って誘惑するの?普通に戦えば良いでしょ。ケンをたらし込んで、その間に主権を握るなんて、低い女のやることです。とても気分が悪かったわ。でも、マーゴット・ロビーのバービーと、ライアンのケンは可愛いので、許します。好きです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「バービー」