「オオカミの家」あるカルト集団の教育ビデオという態で作られたアニメです。ゾッとするおとぎ話です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「オオカミの家」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

美しい山に囲まれたチリ南部で、「助けあって幸せに」をモットーに掲げて暮らすドイツ人コロニー。動物が大好きな少女マリアは、ブタを逃してしまったために厳しい罰を受け、耐えきれず集落から脱走する。森の中の一軒家に逃げ込んだ彼女は、そこで出会った2匹の子ブタにペドロとアナと名づけて世話をするが、やがて森の奥からマリアを探すオオカミの声が聞こえてくる。マリアがおびえていると子ブタは恐ろしい姿に変わり、家は悪夢のような世界と化す。

というお話です。

 

 

独特な教典により社会から孤立したドイツ人移民のコロニーがチリ南部の山奥にあった。そこでは村に貢献すべきと定められていたが、そこに住む少女マリアは怠慢で無責任で、家畜のブタを逃がしてしまい、コミニュニティから罰を与えられる事となってしまう。罰が嫌だったマリアは、森に逃げ込み、廃屋に避難し、追跡するオオカミからかろうじて逃れる。

彼女は、その廃屋に住む2匹の豚と出会い、彼女の理想の家を構築していく。そして2匹の豚を家族とし、人間のように扱い始める。アナとベドロと名付けた豚は、ゆっくりと人間に変身し、3人はしあわせに暮らし始めます。オオカミは、外からマリアに帰ろうと話しかけますがマリアは無視して家の中で暮らし続けます。



 

時間が経ち、家の中には食べ物が無くなります。段々と関係が悪くなり、アナとペドロは、マリアが一人で食べ物を食べているのではないかと疑い始める。二人はマリアに敵対心を持ち始め、マリアは何とかしようと、外に出て森の中でリンコを摘んでくると話しますが、二人はマリアを止め、家の中にも食べ物はあると言います。そして…。後は、映画を観てくださいね。
 

この映画、チリのクリストバル・レオンとホアキン・コシーニャという監督が、2018年に制作した、ストップモーションアニメです。内容としては、チリで実際に起きたコロニアディグニダードという新興宗教のコミュニティーで起きた事件を発端として、考えられたそうです。隔離された閉鎖地域で、そこが楽園だと思い込まされて、酷い労働や搾取を行われていた人々。一体、どうやってそんな事を思いこませたのかという手法というか、そのひとつが、この映画だというように思わせる内容でした。

 

 

日本でも、今、統一〇会やオ〇ム真理教、創価〇会もそうなのかしら。よく解りませんが、酷い宗教があるでしょ。教育も受けさせず、労働と搾取、下手すると性的虐待など、考えられない事が行われているんですよね。そんな恐ろしい場所に、どうして居てしまうのか、その理由が、この映画には描かれています。

 

こうやって、人の心を不安にさせて、コミュニティから離れられなくするんだろうなと監督たちが思って、もしコミュニティが映画を作ったらということで、このアニメーションを作ったんですよというコンセプトなんです。はっきり言って、凄く怖かったです。ストップモーションアニメではあるのですが、人形を少しづつ動かすとかではなく、絵を少しづつ動かして行くんです。そこに、立体の人形も組み込んで、他では見たことが無い映画でした。

 

 

少し前に「ウーマン・トーキング 私たちの選択」という映画がありましたが、あそこに描かれていたのが、まさに、こういうコミュニティだと思うんです。こんな事は嫌だから、出ていくのか、それとも我慢するのかという選択をする映画でしたが、通常、そんなコミュニティにいなければ、レイプされたら、直ぐに警察に訴えて犯人を捕まえて貰うでしょ。でも、そう出来ない精神的な抑圧がかけられていましたよね。

 

この映画では、その抑圧がかけられているのが普通で、このコミュニティの中にいれば、安全だし、恐ろしいブタどもからも守ってくれると言う事なんです。いやぁ、でも、恐かった。こんな風に脅されて、自分のコミュニティに戻って行くなんて、あり得ないでしょ。

 

 

映画は、コミュニティが教育用に作っているというコンセプトなのですが、なんかおかしいでしょ。オオカミが助けに来るんですよ。赤ずきんなら、猟師が助けに来るでしょ。それに、食べてしまうとか、そういう部分は、グリム童話から来ているようでした。

 

本当は怖いグリム童話って読んでみると解るのですが、本当に怖いんですよ。あれが元になっているような部分も多く、本当にゾッとする場面が幾つもありました。それに、人間が怖いんです。ブタが人間に変わって行き、最初はスペイン系の人間なんだけど、あるところから白人で金髪になるんです。ドイツ系の移民なので、アーリア人主義なのでしょう。

 

 

コロニアディグニダードは、ポール・シェーファーという人物により作られたのですが、彼は児童性的虐待の犯罪者として追われており、チリに逃げて、そこでコミュニティを作り、性的虐待を続けていたようです。まるで日本のジェニー〇事務所みたいですよね。ホント、性犯罪者は懲りずに、またやるんですね。何百人という被害者というのも理解出来ます。

 

映画でも、オオカミの声や優しい男性の声。ついその優しい声に頼ってしまうのは、子供だからだと思います。子供がターゲットだなんて、絶対に許せないと思いました。この映画の中にも、少女ならではの恐怖が描かれていると思いました。

 

 

アニメーションは、コマ撮りの長回しで撮影されています。なので、ずーっと繋がっています。ほとんどカットがありません。隣の部屋に移る時も、段々と移動していくので、続いて行くんです。それが、凄かったです。どうやって作ったのか、凄く不思議でした。絵具で描いて、消してを続けていくのだろうけど、あまりの技術にビックリしました。素晴らしかったです。

 

この映画、私は、超!お薦めしたいと思います。凄いアニメーションだと思いました。でも、恐いです。ホラーではないんだけど、普通のおとぎ話的な話なんだけど、でも、観ていて怖いんです。時々、気持ち悪くなるんです。なので、どうしても受け入れられない方もいるんじゃないかと思いますが、アニメの技術としては、斬新で素晴らしいモノなので、やはりお薦めしたいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

同時上映の「骨」という短編もありますが、こちらは、マジなホラー映画だと思います。恐いです。ゾッとしました。内容としては、骨を掘り出して、魔法で生き返らせて、結婚の破棄をするというものでした。イマイチ、意味が解りませんでしたが、ゾッとする面白さでした。

 

 

「オオカミの家」