「ふたりのマエストロ」ふたりのライバル指揮者は父と息子でした。譲れない部分があるんでしょうね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「ふたりのマエストロ」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

クラシック界でそれぞれ指揮者として活躍する父フランソワと息子ドニ。ある日フランソワのもとに、世界最高峰のミラノ・スカラ座の音楽監督への就任を依頼する電話が掛かってくる。ドニはライバルでもある父の成功を素直に喜べずにいたが、翌日、今度はドニがスカラ座総裁から呼び出しを受ける。実は就任を依頼されたのはドニで、父フランソワへの連絡は誤りだったのだ。父に真実を伝えなければならず葛藤するドニだったが。

というお話です。

 

 

父も息子も、パリの華やかなクラシック界で活躍するオーケストラ指揮者の親子。父・フランソワは、40年以上の長きに渡り輝かしいキャリアを誇る大ベテラン。ひとり息子のドニも、指揮者としての才能を遺憾なく発揮し、今やフランスのグラミー賞にも例えられるヴィクトワール賞を受賞するほど破竹の勢い。


だが、栄ある息子の授賞式会場に、父の姿はなかった。祝いの言葉のひとつもよこさない父の素振りに呆れ果て、受賞パーティもそこそこに、恋人のヴァイオリニスト・ヴィルジニとの情事に耽るドニ。一方のフランソワも「自慢の息子さん、快挙ですね!」と仕事仲間からたびたび煽られることが癪に障り、「今日の演奏は最悪だ!」と周囲に当たり散らす始末。

 


 

そんなある日の練習中。突然、父・フランソワの携帯電話が鳴る。それは夢にまで見た世界三大歌劇場であるミラノ・スカラ座の音楽監督への就任以来だった。奇しくもこの日は、フランソワの誕生日。彼の妻でドニの母エレーヌや、ヴィルジニらが一同に会した誕生パーティは、一転して「スカラ座に完敗!」と、家族全員が父の快挙を祝福する最高の一夜となった。


翌日、ドニはスカラ座のマイヤー総裁に呼び出され、父への依頼は”デュマール違い”で、実はドニへの依頼の謝りだったことを告げられる。驚きを隠せずに動揺するドニ。彼は、スカラ座の音楽監督の重責を担うには、まだ経験不足のため依頼を固辞したいという思いが強かった。

 

 

一方の父は、ドニの高校生のひとり息子・マチューの自動車教習所代や、ACミランのシーズン・チケットまでいつの間にか手配していた。そんな浮足立って大盤振る舞いしている父に、真実を伝えなければならないという難題を課されたドニは、人生最大の窮地に立たされる。やがて、初めて親子が腹を割って本音で語り合うためにシャンパンを傾けたとき、父の口からこれまで語られなかった衝撃の真実が明かされる。

後は、映画を観てくださいね。

この映画、思っていたよりも展開が早くて、内容がギュッと詰まったような映画でした。父親と息子、共に高名な指揮者であり、フランスのクラシック界では知らぬ者はいないというふたり。父と息子でありながら、やっぱりどこかライバル心のようなモノがあり、父親のフランシスは、息子がヴィクトワール賞を貰っても、祝いに訪れません。



 

どこか、嫉妬とも、何とも言えない気持ちがあり、素直に喜べないんです。それは、反対に、息子のドニにも言える事で、フランシスがミラノのスカラ座の音楽監督を依頼されたと聞いて、一応、お祝いはしますが、どこかモヤモヤして、心から祝えません。

 

この気持ちは、親子でも何でも、同じ職業を選択してしまったら、あると思います。知らない人間ならまだしも、近い人間に、同じ職業のがいれば、どうしても比べてしまい、出来れば、自分の方が、少しでも良い仕事をしたいと思いますもん。だから、フランシスの気持ちも、ドニの気持ちも解るんだけど、ちょっとお父さんは大人げないなぁと思いました。そこは、我慢してでも息子を祝うべきでしょ。ムカついていたとしても、一応、表面上は祝わないとねぇ。

 

 

そんな二人が、スカラ座の音楽監督を巡って、トラブルに巻き込まれたから、さあ大変ってことなんです。スカラ座の支配人の秘書が、間違えて、父親の携帯電話に音楽監督の依頼をかけてしまったというから、アホですよね。普通、秘書が電話をするなら、まず、電話が通じたら、名前を確認するでしょ。それも、フルネームで聞かなきゃおかしいですよね。この秘書、あり得ないと思いました。通常、一発でクビの失敗です。

 

で、事もあろうに、支配人が、間違えちゃったから、息子の君から言ってくれと言うのもおかしいでしょ。間違えた本人が謝るべきじゃないの?ここら辺が、絶対に謝らない西洋人なのかなと思いました。まず、秘書が電話をして謝るべきで、その後、支配人も謝るべきでしょ。うーん、ここら辺の、この人達の常識が、あまりにもハズれていて驚きました。


 

ドニは、言えないですよね。凄く喜んでいる父親を前にして、その音楽監督の職は、自分に来たものでしたなんて言えないよ。可哀想だなと思いました。でも、勘違いしている父親に、何とか早く教えてあげないと、もっとガッカリすることになるから、早くと思うんだけど、言えないのよねぇ。うーん、凄く気持ちが伝わってきました。

 

真面目なヒューマンドラマなんだけど、どこか笑える部分があって、フランシスにも、ドニにも、かわいい部分があって、楽しめる作品でした。指揮者というと、ケイト・ブランシェットの”TAR”が、あまりにも印象に強く残っているので、高慢でパワハラしまくるかなと思ったら、全くそうではなく、音楽を追求する指揮者たちのお話でした。良かったぁ。ちょっと怖かったんです。だって、”TAR”は、ホラーっぽかったじゃないですか。

 

 

この映画は、純粋に、父と息子の関係性を描いたもので、父と息子でありながらも、指揮者としてライバルでもあり、そんな関係性の中で、どうやって関係を構築していくのかというのが、とても良かったです。お互いに認め合っているのに、それを言うのが嫌なんだろうなぁ。そんな気持ちが伝わってきました。

 

お互いに素直になれない父フランシスと、息子ドニ、解り合えることが出来るのか、それともどうなるのか。それは、映画を観てくださいね。私は、話もまとまっているし、スムーズに進むし、無駄なグダグダする部分も無くて、とても気に入りました。音楽も良かったですよ。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。父と息子の、微妙な心の関係を、よく描いている作品です。芸術というものを追い求めるには、色々と難しいんでしょうね。でも、本当は親子なんだから、シンプルなんですよ。素敵な映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ふたりのマエストロ」