「アウシュヴィッツの生還者」試合で勝たなければ殺されるなんて、そんな酷いことがあったんですね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「アウシュヴィッツの生還者」

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

1949年、ナチスドイツの強制収容所アウシュビッツから生還したハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため取材を受けたハリーだが、レアが見つかることはなく、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年の歳月が流れ、別の女性と新たな人生を送るハリーのもとに、レアが生きているという報せが届く。

というお話です。

 

 

1949年、ナチスの収容所から生還したハリーは、アメリカに渡りボクサーとして活躍していた。生き別れになった恋人レアを探すためだった。

レアに自分の生存を知らせようと、兄には止められたが、記者の取材を受けたハリー。「自分が生き延びた理由は、ナチスが主催する賭けボクシングで、同胞のユダヤ人と闘って勝ち続けたからだ」と告白し、一躍時の人となる。同胞からは、裏切り者と言われ、辛い思いをするが、レアがこれで見つかるならと満足していた。



 

だが、レアは見つからず、彼女の死を確信したハリーは引退する。レアを探す為に協力をしてくれていた役所の女性ミリアムと親交を深め、彼女と生きていこうと決心したハリーは、彼女と結婚する。

それから14年、ハリーはミリアムとの生活に満足をしていたが、まだ眠るとアウシュヴィッツの夢を見てうなされるのだった。ある日、ハリーのアウシュヴィッツでの記事を書いたアンダーソンが訪ねて来て、レアが生きているという知らせを持ってくる。



 

新しい生活を始めたハリーは、レアと会うべきなのか悩み、決断をくだす。後は、映画を観てくださいね。

 

アウシュヴィッツでは、非道な事が沢山行われ、その中でも、これはと思うような出来事が、この賭けボクシングです。2020年に、「アウシュヴィッツのチャンピオン」という映画があって、そちらも実話を元に作られた映画で、実際のチャンピオン「タデウシュ・ピトロシュコスキ」のお話なのですが、今作も、実話を元に制作されており、違うボクサーのお話なので、沢山の収容所で、こんな事が行われていたんですね。

 

 

ハリーは、アウシュヴィッツから帰ってきたユダヤ人のボクサーと言う事で、名前を売り、その昔に引き離された恋人のレアを探そうとしています。最初の頃は勝っていたようですが、既に今は7連敗中で、そろそろ試合もさせて貰えないようになってきてしまうんです。なので、ハリーは、このまま有名になれなかったら、レアが探せないと思って、記者に、自分のアウシュヴィッツでの過去を話すんです。

 

アウシュヴィッツで、あることがきっかけで、ハリーのパンチに威力があることをナチスの将校が見つけ、ハリーをボクサーにしようと考えます。シュナイダーという将校は、ハリーにボクシングの訓練をさせて、収容所で行われるボクシング大会に出場させるんです。

 

 

でも、そのボクシング大会、その収容所に収容されたユダヤ人どうしを戦わせて、どちらかが倒れるまでやらせて、倒れた方は、直ぐに銃殺させられてしまうという、地獄のようなボクシングなんです。勝った選手のみ、生き残り、また次の大会に出させられるというものでした。色々な将校などが、囚人の中から強そうな男を連れて来て、賭けをするんです。なんの娯楽も無かった収容所では、唯一の楽しみだったようでした。

 

そんな試合を何度もやり、ユダヤ人を倒して、生き残ったのがハリーだったんです。生きるためなのだから、仕方が無いと思うけど、倒された方の家族からすれば、そりゃ、許せないだろうから、”同胞を殺した裏切り者”と呼ぶ人もいただろうけど、でも、その苦しみは、アウシュヴィッツに入った事のない人には解らないですよ。生きるか死ぬかの、ギリギリのところなんだから、必死で闘うのは当たり前。そこで躊躇していたら、直ぐに殺されるんですから。

 

 

とにかく、アウシュヴィッツを生きて出られたと言う事が大切なんです。生き証人ですからね。先日、観た、シモーヌ・ヴェイユの自伝的映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」のシモーヌさんは、アウシュヴィッツに収容されて、生きて帰ってこれた1人ですが、本当に、少数だけど、生きて戻ってきた人がいたからこそ、ナチスドイツがアウシュヴィッツ収容所でどれだけ酷いことをしていたのだと言う事が、知られる事になったのですから、大切な生き証人です。全て隠ぺいされていたかもしれない。良かったです。

 

でも、本人にしてみれば、同胞をガス室や拷問で亡くし、目の前で強制労働によって、どんどん仲間が死んでいくのを見て、トラウマになったでしょうね。いくら、そこから解放されたとしても、そう簡単には忘れられなかったと思います。このハリーも苦しんでいましたが、当たり前だと思いました。

 

 

運命によって、何年もしてから、探していた恋人と再会出来ます。それぞれに苦しい思いをして、生き抜いてきたのでしょうから、きっと、年を取ってから再会出来たのは、神様がそのようにしてくれたのでしょうね。だって、二人ともがアウシュヴィッツで酷い目に合っていたのでしょうから、それを知らない人と出会って、結婚した方が、ずっと、しあわせだったと思います。お互いに傷を舐め合うのでは、長く続かないでしょうから。

 

ハリーが、息子にアウシュヴィッツの事を躊躇う場面がありますが、話せないですよね。この原作は、ハリーの息子さんが父親から話を聞いて書いたそうですが、きっとハリーは、息子が理解出来る年齢になってから、詳しく話したのでしょう。だから、こんな素晴らしい本になって、映画化もされたのだと思います。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。良い映画でしたが、やはり、アウシュヴィッツの光景が描かれるので、結構、観ていると辛いです。人がこんなに殺されて、ゴミのように捨てられるという姿を観るのは、映画だと解っていても辛いです。でも、歴史上にあったことですし、そんな中でも、必死で生き延びた人がいた事は、素晴らしいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「アウシュヴィッツの生還者」