「君たちはどう生きるか」情報が出ていないので何を書いてもネタバレになってしまいます。ごめんなさい | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「君たちはどう生きるか」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

 

1944年、第二次世界大戦の真っ只中。少年の牧眞人は、夕方の空襲後、母親が入院している病院方面が大火事になっている事を知る。急いで駆けつけるが、既に火は回っていて、母親は亡くなってしまう。

それからすぐに、父親と共に疎開して東京を出ることに。父親の会社の新しい工場のある場所。疎開先は、父親の再婚相手であり、母親の妹だった夏子の屋敷だった。新しい暮らしと新しい母親に慣れない眞人は、夏子の事を、まだ、夏子おばさんと呼んでいた。

新しい学校にも馴染めず、一人、ある事で沈んでいた眞人の部屋の窓に、アオサギがやってくる。何故か攻撃的で、ある日、眞人に話しかけた。”待っている”と。

その屋敷の近くには、大叔父が建てたという謎の塔があり、使用人に近づくなと言われていたが、一度、眞人は中に入って不思議なモノを見ていた。アオサギはそこへ誘っているのだ。

ある日、夏子がいなくなり、森に入っていく姿を見ていた眞人は彼女を探しに使用人のキミコを連れて塔へ続く森へ入っていく。すると、アオサギが現れて…。後は、映画を観てくださいね。

というお話です。

 

 

映画を鑑賞するまで、全てが謎だったので、私が観たままの”あらすじ”と、感想を書きますね。初日に観に行ったのですが、パンフレットも無く、グッズもアオサギのイラストのモノだけ。ちょっと寂しかったけど、これから出てくるのかしら。実は、映画の中に、可愛いキャラクターが沢山出てくるので、どのキャラもグッズが欲しいなぁと思っていたんです。アオサギやペリカン、オウムなど、今回は鳥系が多かったですね。ちょっと”コダマ”に似たキャラも出てきましたよ。あまり詳しくは書けませんけどね。

 

前情報が無いというのは、本当に困りますね。感想が書けないんですよ。面白いとかは書けるけど、それ以上は、全てがネタバレになっちゃうので、本当に困るのよね。だから、初日に観たんだけど、感想を書いてよいか悩んでいて、やっと書きました。なので、今回はネタバレです。だって、あらすじもネタバレですよね。

 

まず、今までの宮崎作品の集大成的な雰囲気でした。戦時中で戦闘機、疎開、田舎町、不思議な塔、扉で時空移動、不思議な生き物たち、異世界、などなど、今までの宮崎作品で観てきたモノが集まっているようでしたが、ストーリーとしては、新しいものです。ま、でも、王道の青年が成長するお話ですね。

 

思春期の青年が見た夢かもしれないし、そうでないかもしれない。戦時中という不安定な社会情勢で、住居も変わり、家族も変わり、もしかしたら、眞人が怪我でうなされている時の夢だったのかもしれないけど、でも、現実だったかもしれない。それは、観た人が考えることなんです。でも、どんな環境だとしても、その一時の夢のような体験により、青年はあっという間に大人になるし、沢山の人間の業や性を知ることになるんです。

 

夏子を追って、不思議な世界に入り込んだ眞人は、そこで大叔父と呼ばれる人に逢います。母の大叔父なので、大大叔父になるのかしら。その人が、隕石から託された積木の世界を統治しているんです。でも、既にガタがきていて、安定を失っています。思うんだけど、同じ人がずーっと運営というか、統治していると、どうしても偏ってくるんだと思うんです。どんなに均衡を保とうとしても、1人じゃ無理なんですよね。独裁者の国は不幸にしかならないんです。

 

その世界は、命が消えると、またその世界で生まれ変わるという輪廻を繰り返していますが、ペリカンが生まれ変わるハズの命の子”わらわら”を食べるという事が繰り返されます。それはまるで、命の選別をしているようで、何とも嫌な光景でした。ペリカンはこんな事したくてしている訳じゃないというような事を話していたので、この出来事は、大叔父が創り出した事だと思うんです。どこまでもいびつな世界で、もう崩壊寸前。そんな世界から現実世界へと帰るのか、それともその世界を新しく作り変えるのか、眞人は考えます。どうするかは、映画で確認してください。

 

映画の内容は、少年から青年へと成長する眞人の姿を描いています。吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」という小説が、母親から眞人へと送られるエピソードが出てきますが、この主人公の眞人は、小説の主人公コペル君に似ているんです。裕福な家庭の生まれで、成績優秀でスポーツも出来るという部分がそっくりで、いたずらという部分は、自分を石で殴るという”悪意”に変わっていたのかなと思います。眞人が不思議な世界に入って、冒険をする部分が、コペル君と叔父とのノートでの交流になっているのかなと思いました。

 

どう生きるのかと言われて、自分を中心に世界が回っていると考えて生きていくのか、それとも、大きな世界の中の一人として、周りとの均衡を保って行くのか、どちらを取るのかと問われているのかなと思いました。一人では、誰がやっても歪んで行ってしまうのですから、やっぱり世界という社会の中で生きていくことが正解なのでしょうね。

 

”どう生きるか”と言われて、自分だったらどうしていたかしら。きっと、私も、現代に戻ることを選択しただろうな。一人の世界は寂しいでしょ。誰も、自分と対等に議論してくれる人はいないのだから、孤独で死んでしまいそうですよね。誰かが何かを言ってくれるからこそ、均衡の取れた判断が出来るんです。それって、人間が生きていくのに大切なことでしょ。

 

この映画、難解とか言われているけど、素直に受け取ればいいんじゃないかな。少年の成長が描かれているだけなので、細かい部分の色々な裏の含みとか、引用とか、比喩的な表現については、ゆっくり考えて行けばいいんじゃないの?別に、知らなくても良い事だしね。私は、まだ1度しか観ていないので、素直に観て、受け取ってきました。引き籠りの大叔父さんは寂しそうとか、夏子さんの本音とか、眞人の悪意とか、いくつか描かれていますが、全てが自分本位であり、それで良いのかと言うことに繋がっています。

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。小説「君たちはどう生きるか」を使っているので、哲学的な考え方を入れ込んである事は否めませんが、そんなに構えずに、素直に受け取れば良いと思います。アオサギは意地悪だけど憎めないキャラだし、”わらわら”という可愛いキャラも出て来ました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S: 全く宣伝をしないというのは、やっぱりあまり良い方法とは言えないような気がします。良い作品だとしても、人が噂をしてこそですから、せめて少し情報を出すべきだったような気がします。

 

 

「スタジオジブリ」

 

「君たちはどう生きるか」