「山女」
を観てきました。
ストーリーは、
18世紀後半の東北。冷害による食糧難に苦しむ村で暮らす凛。彼女の家族は先祖の罪で村人から疎まれていた。ある日、蔵から米を盗んだ父親・伊兵衛をかばい、凛は自ら村を去る。山の奥深くへと進んだ凛の前に現れたのは、人間なのかもわからない不思議な存在だった。
というお話です。
18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらもたくましく生きる凛。彼女の先祖が村で火事を出したため、田畑を取り上げられ、村の最下層として雑用をさせられていた。凛の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。
ある日、飢えに耐えかねた凛の父親・伊兵衛が盗みを働いてしまう。家を守るため、村人達から責められる父をかばい、盗んだのは自分だと申し出て、凛は自ら村を去る。
決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。もう、このままどうなっても良いと思っていたのだ。凛の前に山の獣が現れ、恐がり逃げようとする凛の前に、白髪の男が現れる。それは、伝説の存在として恐れられる“山男”だと凛は思った。凛は山男について行き、一緒に暮らすようになるのだが…。 後は、映画を観てくださいね。
不思議な映画でした。昔の日本では、貧しい村だと、こんな事をしていたのかなと思いました。驚いたのは、火事を出した家の家族なのですが、父親の祖父というので、主人公の凛からすると、曾祖父に当たる人なのかしら。曾祖父が火事を出したからと言って、その人の農地を全て村が取り上げて、その孫までも、村の最下層として下げずまれているという事でした。
あり得ないでしょ。好きで火事を出した訳じゃないし、酷い仕打ちですよね。そんな事をしているから、冷害になるんですよ。いつまでも村の最下層で、半分村八分状態の凛の家族は、ただでさえ冷害で米が無い村で、全く米を貰う事が出来ず、何とか生きていました。でも、さすがに”堪忍袋の緒が切れる”という感じで、父親が村の米が保管してある場所から、米を盗んでしまいます。
そして村人から責められる父を見て、自分がやったと凛が名乗り出て、自分が罪を背負って、山へ入っていくんです。父親が酷いなと思ったけど、父親が罪人になったら、また何代も先まで村八分にされてしまうので、凛が罪を背負って山へ消えてしまえば、この時代だから女は下に見られているんで、家の責任にはならなかったようです。うーん、本当に酷い時代です。
で、凛は山に入るのですが、そこで山男に出会います。きっと、普通の人間だったのだと思うけど、山で暮らすうちに変わって行ったのかな。環境が人を作るというけど、山で暮らしていれば、言葉を話す必要もなく、身体は強くなっていくから、まるで仙人のようになったのかなと思いました。この時代だから、もののけ姫のデイダラボッチ的なモノも、山にいたかもしれません。そんな山の主たちと上手くやっていたのですから、本当に山男になっていたんだと思います。
山男に優しく接していた凛は、山男にも、山にも受け入れられ、庇護する者として認識されたのかもしれません。人間は、自分たちのエゴだけで、自然をどうにかしようとしたり、傲慢な態度を続けてきたために、自然に拒否されて、冷害に苦しむようになったんじゃないかな。自然には勝てないと言う事を見せつけられたような気がしました。
映画としては、凄く解りやすい内容で、日本昔ばなし的な感じで観ても良いのかなという雰囲気でした。主演の山田さんがやっぱり良かったかな。周りも良い俳優さんたちばかりで、しっかりと日本の古い風土や、何とも言えない村の雰囲気を出していました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。単館系映画なので、万人受けするかと言われると、難しいかもしれませんが、しっかりとした脚本と構成、そして美しい日本の映像が、よく描かれていたと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「山女」