「古の王子と3つの花」
を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
ルーブル美術館とコラボレーションを行い、古代エジプト・クシュ王国の王子が戦わずして上下エジプトを統一し黒人初のファラオとなるまでを描く「ファラオ」、理不尽な城主によって森に追放された中世フランスの王子が野生児となって城主に立ち向かう「美しき野生児」、18世紀オスマン・トルコ帝国で王宮を追われてバラの王女の国へと逃げ込んだ王子が、揚げ菓子を通じて王女と出会う「バラの王女と揚げ菓子の王子」の3つの物語が展開する。
というお話です。
美術館のキュレーターらしき女性がインタビューに答え、これから作るお話について答えています。全ての人々の希望を聞き入れ、お話に取り入れると話し、3つのお話を提供していきます。
第一話 ファラオ
クシュ王国の王子は近国の王女ナサルサとの結婚を認めてもらおうとするが、小国の王子とは結婚させないと言われ、ファラオと結婚させると摂政の彼女の母親に言われてしまう。ナサルサと結婚するため、王子はエジプト遠征の旅に出て、神々に祈り祝福されながら戦わずして国々を降伏させ、上下エジプトを統一、最初の黒人ファラオとなり、無事ナサルサと結ばれる。
第二話 美しき野生児
中世フランスの酷薄な城主の元に生まれた王子は、いつも父親に邪険にされ、城の地下で一人遊んでいた。そこで地下室の囚人と出会い、心を通わせる。牢から出たいという囚人のために鍵を盗み、囚人に渡した王子は、地下牢の囚人を逃がした罪で死刑を宣告され、森での処刑場に連れていかれるが、心優しい家来によって逃がされる。数年後美しき野生児として城主に立ち向かい、お金持ちから富を盗み貧しい人々に分け与え囚人の娘と結ばれる。囚人は隣国の城主だった。
第三話 バラの王女と揚げ菓子の王子
モロッコ王宮を追われた王子はバラの王女の国へと逃げ込み、揚げ菓子屋で働き始める。美しいと言われるバラの王女に逢いたいと焦れた王子は、揚げ菓子を工夫して王女への献上品となるまでに仕上げる。揚げ菓子を王女に届けた王子は、彼女と恋に落ち、2人は秘密の部屋で密会するようになるが、王に見つかってしまう。捕らえられた二人は、宮殿を抜け出し、自分たちで生きていくことを決意する。
というお話です。
ミッシェル・オスロ監督の最新作です。今回はルーブル美術館とのコラボで実現した作品で、美術館に所蔵されている作品に紐づけて、描かれる3つの物語でした。美術館からは、歴史に出来るだけ忠実に描いて欲しいとの要望で、エジプトでは、女性が片胸を出した衣装など、いくつかの指示も出されたそうです。
オスロ監督は、何度かフランス映画祭などで日本の来られていて、”ディリリとパリの時間旅行”の映画祭上映時にもいらしてくださっていました。サインする時も、ちょちょっと絵を描いてくださったりして、笑顔が素敵な方です。とても温和で優しい方で、本当にアニメーションがお好きのようでした。
子供の頃は、アフリカで育っており、女性が胸を出して生活をしている事に、何の疑問も抱いていなかったそうですが、”キリクと魔女”を作った時に、魔女が胸を出していると、随分批判を受けたそうで、その事があってから事実にそぐわない演出をすることになったそうですが、今回は、ルーブルの方から事に則したようにと言われ、胸を出す衣装にして、自分が如何に臆病だったかを感じたそうです。
このアニメは、3つのスタジオで制作されたそうなのですが、オスロ監督は、自分に力が無くて予算を集められなかったので、1つのスタジオで創ることが出来ずに分かれてしまいましたと仰っていました。出来れば、1つのスタジオで、自分が付きっきりで制作したかったようなんです。オスロ監督ほどの方でも、こんな風に嘆いているなんて、辛い現実だなと思いました。
オスロ監督は、独特な絵で動きを現してアニメを作ってらっしゃいますよね。日本は、アニメというと、目の大きな女の子が出てくるアニメが多くて、個性的なのはジブリくらいかしら。昔は、日本昔ばなしとか、他とは違う、芸術的なモノもあったと思うのですが、最近はそういうのは作らせて貰えないんですかね。とても残念です。ジブリの高畑先生のように、芸術的に高い作品がもっと日本でも作られると嬉しいです。
アニメの内容ですが、どの作品も、昔からのおとぎ話のようで、ほっこりするし、悪い奴は失敗するし、善悪がしっかり描かれていて、良い作品でした。こういう作品は、子供と一緒に観たいな。日本の子供番組だと、直ぐに怪人を倒すとか、ライダーが闘っちゃうけど、この映画だと、戦わずして、ちゃんと勝てることが描かれるんです。ただ、喧嘩すれば良いってもんじゃないんですよね。よく考えて、相手を屈服させる方法があれば、戦わないでする方がよっぽど良いんです。そういうことを教えてくれていて、良いなと思いました。
やっぱり、どこの映画でも、王子様はイケメンよねぇ。そして、お姫様は美人です。これはお決まりだからね。でも、2話目は、影絵のような表現なので、イケメンかどうかは解らないけど、影の感じからは、イケメンっぽかったかな。体格もカッコ良かったし、素敵な話でした。
何ていうか、オスロ監督の作品、本当に好きなんです。観ていてほっこりするんです。ちょっと日本的ではないんだけど、暖かさが伝わってきて、ディリリの時も良いなぁと思って、今回は、3つのお話を楽しめたし、この3つを観るだけで、ちょっと世界旅行をしたような気持ちになれる作品でしえた。世界旅行プラス歴史旅行かな。1話目のエジプトのお話では、壁画のように、ほとんどが横顔なんです。そういう所に、凄くこだわっていて、さすがだと思いました。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。もちろん、好き嫌いはあると思いますが、私は、こういう個性的なアニメーションがとても好きです。特に、オスロ監督作品は、解りやすくて、美しくて、芸術的なので、大好きなんです。今作は、親子で楽しめる、世界昔ばなしという感じの作品なので、とってもお薦めです。子供も、ダラダラ長い話ではなく、3つのお話を順々にやってくれるので、飽きずに観れるんじゃないかな。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「古の王子と3つの花」