「Pearl パール」
を観てきました。Fan's Voice独占最速試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と人里離れた農場で暮らしている。若くして結婚した夫は戦争へ出征中で、父親の世話と家の仕事で鬱屈とした気持ちを抱えていた。ある日、父親の薬を買いにでかけた町で、母親に内緒で映画を見たパールは、外の世界へのあこがれを強めていく。しかし、「お前は一生農場から出られない」と母親に言われ、抑圧されてきた狂気が暴発する。
というお話です。
1918年、テキサス。
スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパールは、敬虔で厳しい母親と病気の父親と、人里離れた農場に暮らしていた。
若くして結婚したが、夫は戦争へ出征中。父親の世話と家畜たちの餌やりという繰り返しの日々に鬱屈としながら、農場の家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事を行うのが、パールの束の間の幸せだった。
ある日、父親の薬を買いに町へ出かけ、母に内緒で映画を見たパールは、映画館の映写技師に出会ったことから、いっそう外の世界への憧れが募っていく。
そんな中、町で、地方を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、母親に「お前は一生農場から出られない」といさめられる。
生まれてからずっと農場という“籠の中”で育てられ、抑圧されてきたパールの狂気は沸点に達し、体を動かせない病気の父が見る前で、母親ともみ合い、暖炉に押し付け、火が母親に燃え移ってしまう。直ぐに水をかけて消火するが、大火傷を負った母親を見下ろしたパールは…。後は、映画を観てくださいね。
あの「X エックス」の続編となる「Pearl パール」を観てきました。うーん、やっぱりこの独特な怖さというのか、どんよりとした空気感がたまらんという感じでした。のどかな田舎の農園で、自然がいっぱいなのに、とても息苦しいんです。何故なら、パールはそこから出ていけない状態だからなんです。
父親はALSかパーキンソン病なのではないかと思うけど、身体が一切動かず、意識だけあるという状態で、薬を飲んで、いつもボンヤリしています。母親はパールにキツく当たり、家の仕事をさせています。一家はドイツ移民のようで、第一次世界大戦時、周りからの風当たりが強かったようで、近所付き合いなどはしていないようでした。
母親はパールに、”一生、農場から出ていけない”、とか、”オーディションなどに受からない”とか、キツい事を言いますが、はっきり言って、母親の言っている事が正解なんです。パールは夢を見ているだけで、見た目は良く無いし、ダンスも下手で、性格も悪いです。というか、サイコパスです。きっと、母親は娘のそんな恐ろしい面を、子供の頃から育ててきて知っていたので、外へ出さないようにしようとしていたんじゃないかな。虐めているように見えて、娘を守っていたんじゃないかと思いました。
そんな母親の気持ちは娘には伝わらず、驚くような行動を続けます。うん、恐かった。パールが普通にやっていることが、普通じゃないので、恐いんです。お風呂に入っていても、自転車に乗っていても、次に何をするか解らないので、ずーっとドキドキしてしまうんです。この怖さはなんなんでしょうね。そして、映画の中でも、パールは、「私のことが怖いの?」というような問いかけを何度かします。いや、恐いでしょ。あんた、すごく怖いって、自分で判らないの?って聞きたくなりました。
そうそう、エックスの時に湖にワニがいたでしょ。パールが飼っていて、可愛がっているようで、と言っても意思の疎通は出来ていないと思うけど、パールが餌?となる肉を持って行くと、嬉しそうに寄って来て、食べていました。どこからワニを連れてきたのかな。既に大きなワニだったから、エックスの時は40歳くらいになっていたのかな。ワニの寿命は種類によって違うけど、アメリカワニだと100歳くらい生きる子もいるらしいから、まだまだ元気なんだろうね。
パールは、元々、サイコパスなんですよ。夫のハワードと出会った時に、「この男を捕まえないと牧場から出ていけないと思って、本性を隠して必死で誘惑した」というセリフがあったので、自分でも、ちょっとおかしいんだろうと言う事は解っているようなんです。きっと、牧場の外に出ていければ、願いが叶って、自分はスターになるから、何の問題も無いと思っているんじゃないかな。
でも、夫は出征していて長く帰ってこないし、実家にいたのでは、今までと変わらず、母親にキツく当たられるだけで、外に出ていくチャンスも無いので、もう、パールの精神状態は極限だったんじゃないかな。そんな時に、映写技師と出会って彼とここを出ていく夢を見たり、オーディションがあるから自分は必ず受かってダンサーとしてスターになる夢を見て、爆発しちゃったんだろうねぇ。マジで、観ていて、あ、キレたなっていうのが解りましたもん。
そして、惨劇が始まります。凄いんだけど、つい笑っちゃうんですよねぇ。とても残酷なんですよ。でもね、何故かパールがコケティッシュで、そこらのホラー映画のように、キャーキャー言って怖がるという感じではないんです。パールの行動を見ながら、ゾッとするけど、どこか面白いというのが本音でした。
ミア・ゴスのパール、凄かったです。そこらのホラー映画の殺人鬼よりも魅力的で恐いです。この間のテリファーのクラウンなんて目じゃないかな。あちらは、スプラッターを楽しんでいるだけだけど、パールは、自分がスターになるという目的を叶える為に、邪魔な人間を片付けて行くだけなので、その意志の強さが怖いんです。
きっと、お母さんはこうなることを予想して、牧場に縛り付けておきたかったんだろうなぁ。人様に迷惑をかけちゃいけないと思ったんだと思います。お父さんも動かない身体で、必死に訴えていたもん。うーん、凄かった。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。恐いですし、残酷ですが、物語がしっかりあるので、何も無いホラーとは違い面白いです。それに、パールの表情が素晴らしいです。純粋無垢な怖さを現していて、これは無敵だと思いました。ただ、残酷なので、そういうのが苦手な方には無理かな。ホラー好きな方、エックスで楽しめた方は、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「Pearl パール」