【演劇】観貯めた演劇の感想4「エヴァンゲリオン・ビヨンド」と「人魂を届けに」です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「エヴァンゲリオン・ビヨンド」

 

内容は、

15年前、世界各地に謎の「侵略者」が出没。日本のある集落には隕石が落下、巨大なクレーターが出現、大きな被害をもたらした。そこから人類の敵「使徒」が出現したとの公式発表が報道される。
使徒に対抗するため、特務機関「メンシュ」最高司令官・叶サネユキは部下の桜井エツコとともに 四体の人型決戦兵器『エヴァンゲリオン』を開発。サネユキは自らの息子トウマをパイロットとしてエヴァンゲリオンに搭乗させる。
幼い頃に巨大隕石事故で両親と故郷の集落を失ったイオリは、使徒を倒すためメンシュに参加。イオリのもとへ、ヒナタ、エリ、そしてナヲら少年少女も秘密裏に配属され、彼らには搭乗者の証としてブレスレットが与えられる。ある朝、戦闘中に姿を消していたトウマがエヴァ搭乗者の前に現れ「嘘の上に成り立っている。」という言葉を残しブレスレットを外して消失する。
イオリの前に大学時代の恋人だったソウシが現れる。ソウシはエヴァパイロットが通う学校の臨時教師になったことを告げる。
次々と襲来する使徒、パイロットたちは出撃し、戦うが、ある時、使徒がこちらから攻撃しなければ攻撃してこない事に気が付き、何かが違っている事に気が付き始める。
15年前、ソウシはサネユキの元で働いていたらしく、何かをする為に戻ってきたようだ。イオリは真実を知るために、ソウシを伴い、メンシュの内部を探り始める。

というお話です。

 

 

元の「エヴァンゲリオン」とは、全く違うものだと思ってください。「エヴァンゲリオン」という名前の、別のお話でした。私は、最初の頃に1回、東京の終わりの頃に1回の、計2回観に行きました。最初の頃と、最後の頃の演出は、ちょっと違っていましたね。あれ?という部分が、幾つかありました。

 

舞台は、草津温泉なのかな。歌に”ちょいなちょいな”という部分があって、どうにも「エヴァ」に合わず、違和感を感じてしまいました。日本の伝統音楽を取り入れたかったのだとは思いますが、さすがに、ちょいなちょいなは笑えたかな。

 

話としては、地底を掘削して調査をしている時に、”使徒”にぶつかって、彼らが出てきちゃって、爆発したらしいというところから始まります。もちろん、地底からの爆発ではなく、宇宙からの隕石で爆発したということにし、そのまま地底資源の開発は続けているんです。なので、自然を破壊し続けているので、使徒が怒って出てきているというのが本当の話です。でも、エヴァ搭乗者や一般人には嘘をついていて、人間社会を壊そうと使徒がやってきているという事にして、サネユキは仕事を続けているんです。

 

最初のエヴァ搭乗者であるソウシが、使徒を呼び起こし爆発を引き起こしてしまったので、今も罪悪感を持っていて、何とかサネユキを止めようと考えて、戻ってきたようでした。イオリは、サネユキの事を信じていたんだけど、段々と何かが違う事に気が付き始め、ソウシと共に、メンシュの裏の顔を調査し始めます。

 

 

エヴァの搭乗者は14歳くらいの思春期の子供だけという設定は一緒かな。シンジをトウマ、アスカをヒナタという名前にして、性格は同じようにしていたけど、話しが違うので、同じではないですね。BL要素を盛り込んだり、結構、無理矢理な話にしてあって、エヴァンゲリオンというなら、もう少し、何とかならなかったのかしら。私は、ストーリーは失敗じゃないかなぁと思いました。

 

でも、演出は面白かったですよ。大きいエヴァ初号機を人形師のような方々が動かしていて、それ以外にも、小型のエヴァが3体ほどあったかしら。これも、上手く動かしていました。使徒も、人形やイメージ演出などで描いていて、こちらも、上手いなと思いました。このエヴァや使徒を人形として動かして、舞台上で戦わせるのは良かったです。ちょっと「戦火の馬」を思い出しました。何年か前にイギリスから日本に公演に来たんですよね。その時に、あまりにも生きているようでビックリしたのですが、今回は、それ程とは言わないけど、戦う雰囲気は、十分に味わえました。

 

エヴァの舞台は、楽しみにしていた分、ちょっと残念でしたが、役者さんたちは良かったですよ。窪田さんも素敵だし、石橋さん、田中さんは、大好きな役者さんなので、とても満足でした。まぁ、エヴァの本筋とは違うと思えば、それなりに楽しめると思いました。

 

 

 

「人魂を届けに」

 

内容は、

人魂となって極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて、拘置所の片隅に置かれている。
時々箱から聞こえる囁きは、周囲の者を当惑させた。扱いに困った当局は、御社として、その魂を放免することにした。
生真面目な刑務官の八雲は、その魂を母親に届けようと思い立つ。
山鳥と呼ばれる母親は、樹海のような森の奥で、ひとり隠遁生活をしているという。八雲は箱入りの魂を持って山鳥を訪ねた。

森の奥深くに住む母は言った。
この子はなにをしたんですか?
きっと素晴らしいことをしたのでしょう。
そうでなければ、魂だけが残るなんてことがあるかしら。
ところで、あなたにはお礼をしなくてはいけませんね。母はベッドから重たそうに体を起こした。
魂のかたちについて。
というお話です。

 

 

現代社会に生きる人々に、語り掛けているような内容でした。人魂って、おばけ映画に出てくるような、ふわふわと浮いている火の玉みたいなモノだと思っていたけど、人の魂なんですよね。そこには思いが詰まっていて、この舞台では、内臓の一部のような塊として出てきました。そんな魂を、八雲という刑務所の職員が届けに来るところから始まります。

 

人が、暖かい心を失くして、思いやりの気持ちを忘れてしまった現代に、この山奥に住む山鳥という母親は、立ち寄る者全てに、まるで母親のように接し、助けて、旅立つという者は静かに見送るという事をしているんです。亡くなったという政治犯も、もしかしたら本当の息子ではないかもしれないけど、それでも息子として受け入れて、魂に”おかえり”という言葉をかけます。

 

山鳥の山小屋には、何人もの人が滞在していて、森で迷って、ここに辿り着いたようで、みんな山鳥を母親のように慕っていました。最初は、何が何だか分からずに、ここに留まって、身体の回復を待っていたんだと思うけど、この山小屋にいると、全く知らない人だって、同じ家族のように扱って、同じように食べ物を分け与えて、その回復を見守ってくれるんです。外の世界とは違い、暖かい家庭というものがあるんです。

 

 

山鳥を中心に、人の心を取り戻していく人々は、社会が間違っている事に気が付いて、外に出て、何か行動をしてしまうのかな。八雲が、変な思想を植えこんでいるのかと疑うけど、何もしていないんです。外の世界が、おかしいんです。そんなことを、訴えているお話でした。

 

今日、Twitterを見ていたら、知的障害の方が線路に入り込んでしまった事を迷惑だとツイートしている人がいて、確かに、そのせいで電車は遅れたかもしれないけど、怪我も無く、無事に保護出来たんだから、喜んであげるべきなのに、何か悲しくなりました。SNSなどは、便利だけど、おかしな人が増えましたよね。困っていたら助ければいいじゃないですか。そんな簡単な事をせずに、動画を取っているというキチガイじみたことをしてしまう。人間が劣化していると思いました。

 

この舞台では、そんな劣化した人間を、山鳥という山奥に住む女性が、人間に戻しているのかなというふうに思える作品でした。心がじんわりして、感動しました。やはり、この”イキウメ”が表現する作品は、本当に良い作品が多いです。毎度のことながら、心にズンッと刺さって、長く残る作品でした。やっぱり、人間として、心=魂を捨ててはいけないねと思いました。いつものメンバーに藤原さんと篠井さんが出演されていました。お二人、とても良かったです。

 

この舞台は、今も上演中なので、もし、良ければ観に行ってみてください。

 

これからも、舞台を観に行く予定です。やっぱり、生で演技を観るというのは良いですよね。本当に素敵でした。イタリアの俳優さんも映画祭で仰っていましたが、映画は監督の作品で、舞台は俳優の作品なんだそうです。確かに、俳優が役を理解して、描いて行くのが舞台なので、やはり実力が出ますよね。映画だと、監督が直してくれてしまうことで誤魔化せますが、舞台はそれが出来ないので、本当に演技の実力が付くと思います。皆さん、舞台をされた後、上手くなりますもんね。これからも楽しみです。カメ