「サンソン ルイ16世の首を跳ねた男」
内容は、
1766年、フランス。その日、パリの高等法院法廷に一人の男が立っていた。彼の名は、シャルル=アンリ・サンソン。パリで唯一の死刑執行人であり、国の裁きの代行者”ムッシュー・ド・パリ”と呼ばれる誇り高い男だ。市中で最も忌むべき死刑執行人と知らずに、騙されて一緒に食事をしたと、さる貴婦人から訴えられた裁判で、シャルルは処刑人という職業の重要性と意義を、自ら裁判長や判事、聴衆に説き、勝利を手にする。
父・バチストの仕事を受け継ぎ、処刑人としての使命、尊厳を自ら自覚しつつあったシャルル。おりしもルイ15世の死とルイ16世の即位により、フランスは大きく揺れ始め、シャルルの前には次々と罪人が送り込まれてくるようになる。将軍、貴族、平民。日々鬱憤を募らせる大衆にとっえt、処刑見物は、庶民の娯楽でもあったが、慈悲の精神を持つシャルルは、自身の仕事の在り方に疑問を募らせていく。
そんなある日、蹄鉄工の息子ジャン・ルイが、恋人のエレーヌに横恋慕した父を殺める事件が発生。その死は実際には事故によるものだったが「親殺し」の罪は免れず、ジャン・ルイは車裂きの刑を宣告される。しかし、職人のトビアス、後に革命家となるサン=ジェストら、彼の友人たちは、刑場からのジャン・ルイ奪還を目論み、成功する。この顛末を目の当たりにしたシャルルは、いっそう、国家と法、刑罰の在り方について、思考を深める事となる。
さらに、若きナポレオン、意志のギヨタンら、新時代のキーマンとなる人々とも出会い、心揺さぶられるシャルルが辿り着いた境地とは。
というお話です。
この舞台は、感動でした。待ちに待って、やっと観れた舞台です。前回上演予定だった時は、コロナ禍で中止になって、私は観ることが出来なかったのですが、今回は、念願かなって、やっと観れました。
私は、漫画の「イノサン」「イノサンルージュ」を読んでいまして、このお話は、きっと舞台になったら素敵だろうなぁと思っていたら、何故か先にイノサンルージュのミュージカルが決まってしまい、ガッカリした覚えがあります。だって、イノサンは、マリーではなく、サンソンのお話が面白いんですから。サンソンがあってこその、架空の人物マリーの話なんです。
シャルル=アンリ・サンソンは、実在の処刑人であり、残酷な処刑を、出来れば人道的に、苦しまない方法で行えないかと考えた人物です。周りから処刑人として、忌み嫌われながらも、プライドを持って、その仕事を続け、殺される罪人にも敬意をもって接していました。そんな人物像が、稲垣さんにピッタリで、丁寧な言葉で罪人に接する姿は、この時代の貴族というべき姿でした。カッコ良かったです。
稲垣さんは、言葉がとても聞きやすく、観ていていつも共感が出来ます。何というか、表現が柔らかくて気持ちが伝わってくるんです。ただ、はきはきしているのではなく、独特な世界観で魅了するという感じでしょうか。あまり他に類を見ない雰囲気で、貴重な存在だと思いました。特に、白井さんの演出だと、舞台が美しいので、それにピッタリなんですよね。いつも、素敵だなと思って、観た後にため息が出てしまいます。これからも、稲垣さんの作品は観たいなって思っています。サンソン、最高でした。
「もうがまんできない」
内容は、
東京は渋谷。
ラブホテルや雑居ビルが立ち並ぶ猥雑な裏街。出来たばかりのセレブリティなマンションの前に、古びたビルがある。そんな猥雑な街の一角で、メジャーになれない解散寸前のお笑いコンビが舞台前に練習をしている。古い雑居ビルの屋上だ。
その屋上の目の前にそびえたつセレブなマンション。ベランダが丸見えだ。そんな屋上にデリヘル嬢と店長が現れる。この二人、父娘のようだ。そのビルには演芸場、サウナが入っているらしく、サウナ客も屋上に上がってくる。
向かいのマンションのベランダには男が二人。会社の上司の家に誕生パーティーのサプライズを仕掛けたに来たようだが、失敗したらしい。逃げられずに困っている。
訳ありな人々がたまたま出会い、ワンシチュエーションで交差し、ノンストップで駆け抜ける。
というお話です。
この舞台は大人計画主催で、やっぱり面白いなぁ。もー、始まったらいきなり、永山さんと仲野さんが、屋上で自殺するやらBLしていて、おいおいって思ったら、それがお笑いの練習で、吹き出しました。いきなりお笑いの練習かいっ!大笑いでした。そこから、どんどん内容に入って行きます。
内容を説明しようとしても、これ、出来ないです。面白くて、お腹抱えて笑ってしまいましたが、何でそうなるんだよっ!って事ばかりで、猿時さんは、またもお尻をだしてるし、阿部さんは梯子を伝って、マンションから雑居ビルに移ってくるし、ムチャばかりなんですけど、何故か、最後はまとまってしまうという、不思議な話なんです。
不倫の話かと思うと、お笑い芸人のコンビ解散の話になり、デリヘルで働く父娘の話になり、VRの話になり、酷い奴ばっかだなと思っていたら、実は、イイ奴ばかりのお話だったりして、さすが”大人計画”って感じの舞台でした。これを理論的に説明しようとしても、無理ですよ。でも、こんな面白い舞台は、他には無いんじゃないかな。仲野さんと永山さん、舞台も上手いですねぇ。驚いちゃうくらい、上手くて、ビックリでした。今の若手の方々は、本当に、何をやっても熟してしまう、素晴らしい方々ばかりですね。とても満足しました。
私は、この舞台、すっごく面白かったので、また観たいです。これ、WOWOWとかで、配信してくれないかしら。もっと観たいってなる舞台でした。
舞台は、本当に印象に残るので、忘れないですね。思い出すと、頭の中に場面が蘇りますもん。もっと、もっと、舞台を観ていきたいと思うのですが、チケットを取るのが、本当に大変です。何でこんなに大変なの?劇場の友の会や、ぴあとかに入っていても、難しかったりして、ホント、辛いです。もっと、気軽に観に行きたいんだけど、当日券を手に入れる根性も無いし、難しいなぁ。
でも、観たい舞台は、何とかして頑張ってチケットを手に入れます。それでもダメなら、WOWOWの配信とかに頼るしかないですね。うーん、仕方ない。でも、WOWOWさんが舞台も放送してくれるので、とても嬉しいです。はい、では、次の感想をお楽しみに。