「渇水」水は無料だけど水道は無料じゃありません。浄水して給水してくれるのが水道ですし水道局です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「渇水」

 

を観てきました。Fan's Voice独占試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

市の水道局に勤める岩切俊作は、水道料金を滞納している家を回り、料金徴収および水道を停止する「停水執行」の業務に就いていた。日照りで市内に給水制限が発令される中、貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々を送る。ある日、業務中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会った彼は、救いの手を差し伸べる。

というお話です。

 

 

日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作は、同僚の木田と共に、来る日も来る日も水道料金を滞納する過程を訪ね、水道を停めて回っていた。嫌な仕事だが、仕事だし、社会の決まり事だ。しかし、同じ課の同僚は、水を停める時に家主にじっと見られているのに耐えられなくなり、停水が執行出来なくなったらしく、上司と揉めていた。

岩切は、子供の頃から親と折り合いが悪く、学校を出て直ぐに家を出て、職を転々とし、今の仕事に就いたのだ。家族愛を知らない岩切は、妻や子供との関係もうまくいかず、妻は子供を連れて、2週間前に子供を連れて実家に帰ったまま帰ってこない。



 

県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に残された恵子と久美子の幼い姉妹と出会う。父は蒸発、一人で姉妹を育てる母も帰ってこない。困窮家庭にとって最後のライフラインである”水”を停めるのか否か悩む。しかし、規則は規則。仕方なく、木田と共に、家にある容器に目一杯水を汲み、その後、停水を執り行った。

その後、姉妹に事が気になりながらも、仕事を続けていた岩切は、ある日、木田と飲みに行った帰り、木田が言っていた”水は無料でイイんじゃないっすかね。”という言葉を思い出し、テロでも起こして水を無料にしろって、要求してやりたいと口にする。水の事も、妻との事も、何も動かない自分が悪いのではと思い始めた岩切は…。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、30年前の芥川賞候補だった小説「渇水」が原作ですが、内容は、随分と変えてありました。原作は短編なので、それに肉付けをして、内容を変更したようですね。うーん、映画にするなら、これくらいの変更が必要なのかもしれませんが、私は、もう少し、原作に近い作品にして欲しかったかなと思いました。良く出来ているとは思うのですが、原作を知っている者としては、ラストに、ちょっと唸ってしまいました。

 

内容を膨らませる為に、子供の描写がとても多いのですが、あまり書きたくないけど、子供に台本を読ませている感が出てしまっていて、観ていて辛いんです。もう少し、子供の描写が少なければ、そんなに違和感が無かったと思うのですが、子供だけの場面が多いと、さすがにやらされている感が出てしまいます。そこが、とても気になりました。

 

 

キャストの方々は、上手い方ばかりなので、停水に関しての、色々な出来事は、とてもリアルで面白いと思いました。生田さんの渇いた感じ、良かったです。明るい役が多い生田さんですが、こういう役も良いですね。それに、年齢が上がって来たからなのか、落ち着いた雰囲気も出てきて、これからは父親役も良いんじゃないかな。若い頃の尖った感じが無くなり、大人の苦悩が顔に出るようになったので、観ていて共感が出来るようになりました。この映画でも、彼が出した決断には、思わず、うんうんと頷いてしまいました。良かったです。

 

水って、別に水道から出てくるものでなければ、無料なんですよね。雨水だって、結露水だって、使っていいんです。だから、水は無料なんですよ。但し、水道を住宅に引いて、浄水して、供給するから、お金が必要なんです。水を買っている訳じゃない、水を運んでもらっているからの料金なんです。

 

 

そこら辺の描写は必要だったんじゃないかな。水は、無料なんです。だから、雨水を貯めて、自分で浄水して、使えば良いんです。水は無料でしょ。でも、その作業を人に任せているから有料になるんです。だって、雨が降らないから水が無くて、節水制限してるって言ってたでしょ。雨水なのよ。そこを説明すれば、何てことない水道料金なんです。だから、お金を払わなければ停水されるのは当たり前。ライフラインとか言うけど、それなら自分で雨水貯めればいいんです。それで生きられます。

 

確かに、水道は最後に止められるし、貧困な方には大変な料金なのかもしれません。もし、本当に大変なら、生活保護もあるし、親がいなければ、児童相談所に連絡しましょうよ。子供だけで住んでいるなんて、やっぱり良くないでしょ。昔のように、村のみんなで面倒を見てあげるとか、そんな時代じゃないですから。子供たちにだって、学校で、もし、一人になっちゃったなら、周りの大人に助けを呼びなさいと教育すべきです。「誰も知らない」のように、子供が死んでしまってからでは遅いんですから。

 

 

映画の内容に戻って、岩切も良かったですが、同僚の木田も良かった。彼は、まだ若くて、彼女と結婚しようかどうか悩んでいて、その事を岩切に相談しているのですが、彼が一番、この中でノーマルな人物だったんじゃないかな。彼が一番標準的な考え方をしているし、かわいそうなら、そう口にするし、アイスを買ってきたりして、木田がいてくれるからこそ、ちょっと偏った人々を、標準の考えに戻すことが出来るんです。磯村さん、若いのに上手いですよねぇ。無くてはならない人物です。

 

他にも、良い役者さんが揃っていて、水道局の課長が池田成志さんで、こんなとこにも顔だしてる~って、笑ってしまいました。好きですよぉ~、成志さん。舞台でいつも楽しませていただいています。

 

 

設定が田舎町のようでしたし、時代は少し前と思っても良いのかしら。岩切が、何故か、凄い勢いでタバコを吸っているんです。それも電子タバコではない、普通のタバコ。今どき、あまりあんなにタバコを吸っている人、いませんよ。庭で、あんなにスパスパ吸っていたら、ご近所から、洗濯物のタバコの匂いが付くのでやめてくださいって言われます。私のマンションでは、ベランダでタバコを吸うと洗濯物に匂いが付くので吸わないようにと注意が回ってきました。今、本当にうるさいんです。

 

話を戻しまして、岩切は、今まで、親に恵まれず、潤いというか愛を感じずに生きてきて、結婚して子供も生まれ、優しい妻に愛されているのに、それを受け入れることが出来ず、いつも渇いている気持ちを抱いて仕事をしていたのですが、周りの人々の言葉や、二人で生きる姉妹に出会い、自分から、潤いや愛を受け入れなきゃいけないことに気が付くというお話でした。良い映画でした。少し残念な部分もありましたけどね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。水道を停める=停水執行によって、出会った姉妹と関わることで、潤いが必要だと言うことに気が付いて行く姿が、じんわりして感動的でした。何度も言いますが、水は無料だけど、浄水して運ぶ料金=手間賃が水道料金です。だから、停水執行は、何も間違っていません。水道局さんは正しいんです。(私は水道屋じゃないですけど。)払わない人が悪いんです。払いたくないなら、自分で雨水を貯めてくださいね。この映画、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : 何度もしつこいけど、やっぱりエンドロールでジャニーズの社長の名前で嫌な気持ちになりました。このトラウマ、何とかしてください。ジャニーズの方々が全員被害者ではないと解っていても、どうしても同じに思えてしまうし、今の社長だって、男の子たちに何もしていないだろうけど、もしかしてと思ってしまいます。しっかり、何も無いと言って欲しいし、子供は安全だと証明して欲しい。何とかしてください!

 

「渇水」