「ウーマン・トーキング 私たちの選択」あまりに完璧で真剣に向き合う映画でした。これは必見です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

2010年、自給自足で生活するキリスト教一派のとある村で、女たちがたびたびレイプされる。男たちには、それは「悪魔の仕業」「作り話」だと言われ、レイプを否定されてきた。やがて女たちは、それが悪魔の仕業や作り話などではなく、実際に犯罪だったということを知る。男たちが街へと出かけて不在にしている2日間、女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。

というお話です。

 

 

2010 年、自給自足で生活するキリスト教一派。アーミッシュやメノナイトと言われる、現代社会とは切り離して、古くからの生活を続ける人々である。その村で、連続レイプ事件が起こる。やり方は卑劣で、牛用の麻酔用スプレーを巻き、その家の人々を全員を眠らせて、レイプを行っていたのだ。朝起きると性行為の痕があるが、誰も覚えておらず、知らない内に妊娠をしている。どんなに訴えても、誰も信じず、悪魔の仕業だ、女の妄想だと言われ続けていた。

 

ある日、たまたま麻酔スプレーを嗅がなかった女性が現行犯でレイプを見つけ、犯人を逮捕したのだった。村の女性のほとんどが被害にあっており、子供までも傷つけられていた。

 

 

事件が明るみに出て、村の女性たちは、犯人グループが捕まり、その付き添いで男たちが村にいない2日間に、今後どうするかを集まって決めようとしていた。このまま、男たちに支配されたままの生活を続けていくのか、男たちと戦うのか、村を出ていくのか、3つの選択肢から、1つを選ばなければならない。

 

タイムリミットが過ぎれば、男たちが帰ってきて、保釈金を作り、犯人グループも何事も無かったように帰って来てしまう。そうすれば、どんなに抗っても、また被害に遭ってしまう危険があるのだ。特に、小さな子供たちが危険な目に遭ってしまう。


緊迫感のなか、尊厳を奪われた彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。最初は、民主主義らしく投票を行い、それから話合いをするのだ。しかし意見は分かれ、3家族の女性たちが代表して話し合う事となった。そして。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄い映画でした。「She Said その名を暴け」も凄かったけど、この映画もMe Too 運動の1つを担える話だと思います。2010年の出来事として、舞台をカナダに変えて描かれていますが、南米ボリビアで、2008年頃に本当にあったお話が元になっています。

 

アーミッシュとか、古きを大切にする生活を続けているコミュニティがあるんです。日本でも、オウムとか、パナウェーブとか、色々とあったでしょ。あんな感じです。子供たちは学校に行かせず、そこで何世代も続いているので、中にいる女性たちは文字を書けず、読めず、男たちの世話をするだけ。男たちは、コミュニティの中に学校があり勉強をするんです。酷い差別でしょ。

 

キリスト教の一派なので、聖書に忠実なハズなのに、レイプをするなんて、信じられません。聖書に配偶者以外との姦淫は罪であると書いてあるでしょ。もしも罪を犯した場合、男も女も死刑になるって、レビ記20章とマタイ5章に書いてあるんです。聖書には、思っただけでもダメって書いてあるのにレイプだなんて、神が怒って天を落としてきますよ。七つのラッパが鳴ってしまいます。

 

 

いや、もう、信じられません。聖書を重んじる集団と言いながら、ただ都合よく女を奴隷として使っている集団じゃないですか。女性たちは、子供の頃から、あまり考えないように、知識を付けないようにとされているので、現代においても、男に太刀打ちが出来ないんです。そんなコニュニティの中で、初めて女性たちが、反旗を翻すお話なんです。

 

このお話、女性がレイプされていると訴えても、誰も信じずに、何年も放置されて、実際は300人近くレイプされていたらしいとの話があり、3歳の子供の処女膜さえ破られていたと報道にありました。何もしないで妊娠するわけが無いじゃないですか。もし、一般社会と繋がっていれば、2010年ですから、DNA鑑定だって出来るんだから、子供の父親が誰かは直ぐに解っただろうけどね。実際は、犯人グループは捕まって、警察に引き渡されたらしいです。

 

生まれてしまった子供たちは、可哀想ですよね。父親がレイプ犯なんですから、どういう心境なんだろう。普通なら、父親って誰かなと思うのだろうけど、レイプ犯って解っちゃったら、ショックだろうな。うーん。

 

 

問題はレイプされた被害者が、どうして悩まなきゃいけないのかって事です。今、日本でも、性被害を受けた、元男性アイドルたちが声を上げて、騒ぎになっているでしょ。でも、TV局が全然取り上げない。この映画の中でも、同じなんです。声を上げているけど、誰も助けてくれず、2日後には、もしかしたら犯人が帰って来てしまう。あり得ないけど、被害者が泣き寝入りなんて許せません。

 

あのね、被害者がいるなら、真摯に声を聞いて調べて、報道すべきだし、謝るべきだし、精神的苦痛を受けた分をお金で解決すべきじゃないの?何で被害者が助けてもらえないの?この映画の中の女性たちは、こういうコミュニティの中で生きてきたから、こうやって悩んで、苦しまなければいけないけど、なんで一般社会に生きている人々まで、同じように、周りからのセカンドレイプを受けなきゃいけないのか、私には理解が出来ません。レイプ被害者の声を聞くべきです。被害にあった時は、恥ずかしいし、自分が悪いのかもと思ってしまうし、みんな同じことを我慢しているのかもと思って、言えないんです。


 

もっと、レイプの問題は大きく取り上げるべきなんです。相手の尊厳を壊しているんですから。簡単に考えてはいけないんです。以前から私は書いていますが、日本の法律を、レイプ犯に関しては、局部を切り取るなどの性欲を失くす方法で対処して欲しい。性犯罪は、ほとんど再犯があるので、局部を切り取れないなら、せめてチップを身体に埋め込んで、子供に近づけないなどの対応をして欲しい。子供の頃に、性的虐待を受けると、心が壊れてしまうんです。

 

そして、誰もが性的暴行を受けたら駆け込める場所を、大きく広げて欲しいです。それは、男性でも女性でもです。どちらにも被害者がいますからね。そして、もちろん時間が経っていても、話を聞くべきです。

 

話が映画から反れましたが、この映画を観ると、本当に辛くなります。何で反撃出来ないのか。闘えないのか。どうして赦さなければならないのか。人間としての権利を主張するべきだし、正しく犯罪を罰するべきなんです。話し合いを続ける中で、それぞれの考えが述べられて、今まで支配されてきた為に、前に踏み出せない人や、我慢すればと考える人など、色々な意見が出てきます。

 

 

日本でも、選挙をすると、変えなくちゃと思うけど、結局、自民党が勝つでしょ。他にマトモな政党が無いから。この女性たちも、闘っても勝てないし、逃げても生活が出来ないかもしれないという不安が、結局、変えることを拒んでしまっているんです。そういう人間の心理も、良く描かれていました。でもね、どこかで変えていくべきなんです。

 

いやぁ、この映画、なんでアカデミー賞を貰わなかったのかな。エブエブも面白かったけど、映画としては、この作品の方がよっぽど訴えるものは大きいし、キャストも素晴らしいし、バランスが良いんです。映像も良いし、なんたって、演出が上手い。納屋での女性たちの話し合いがほとんどなので、密室劇と言って良いようなのですが、それが凄いのよ。うん、これ、演劇で観ても、凄いだろうなと思いました。

 

もっとどんどん感想を書きたいけど、この辺で止めておきます。止まらなくなっちゃう。それくらい、凄い映画です。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは素晴らしいです。キャストの事を少し書き足しますと、女性キャストの中に、書記として男性のオーガスト(ベン・ウィショー)がいる事で、女の厭らしさや生臭さが消えて、被害者の話し合いとして成立するんです。そのバランスが絶妙です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ウーマン・トーキング 私たちの選択」