イタリア映画祭にて、
「乾いたローマ」
を観ました
ストーリーは、
3年間、まったく雨が降らないローマ。水は配給制。警察は水の違法な使用者を処罰する(植木の水やりも洗車も違法。)。テヴェレ川は干上がり、川底を掘ると古代ローマの新たな遺物が見つかる。ゴキブリが町中を飛び回り、爆発的に流行したパンデミックの媒介源と疑われる。
この黙示録的世界を背景に、さまざまな登場人物の「干上がった」人生が交錯する。両親や元雇い主の政治家の亡霊に悩まされながらも、配車サービスの運転手としての再出発を図るロリス。SNSのインフルエンサーに転身し「いいね!」の数に一喜一憂する自己中の元舞台俳優アルフレード。妻殺しの罪で服役中のアントニオは、心ならずも脱走する羽目になり、娘を探す旅に出る。
デル・ヴェッキオ教授はクソ真面目な気候学者だが、テレビ出演をきっかけに一躍メディアスターとなり、色気たっぷりのディーヴァに誘惑される。
というお話です。
雨が降らなくなり、ローマは大混乱しています。水は配給制となり、水の無駄遣いをしたら罰せられるほどでした。乾燥しているからなのか、家の中や街の至る所にゴキ〇リが大量発生し、衛生的にも危険な状態になっているんです。乾燥すると、こんなに虫が大量発生するのかしら。このビジュアルだけで、結構、私、この映画、辛かったんですけど。
そんなイタリアで暮らしている人々の群像劇でした。刑務所に服役中のアントニオは、あれ?という間に脱走出来てしまい、自分の娘を探す旅に出ます。水を手に、一人で以前住んでいた地域を探すと、娘は病院の看護師になっているらしく、娘を訪ねて、病院に探しに行きます。
病院は、この乾燥で増えたゴキ〇リにより、媒介されたと疑われる感染病が爆発的に流行してしまい、救急患者が沢山運ばれててきます。医者のサラは、この感染病を見つけ、その治療にあたっています。すると元夫のロリスが運ばれてきて、危険な状態であることが解かります。
ロリスは、タクシー運転手をしており、この暑さで少しノイローゼ気味になっており、幻覚で両親や元雇い主が現れ、文句を言ってきます。お客を載せていても、突然に眠くなり寝てしまったりと、身体の具合も悪いようです。娘と会って、近況などを話していますが、どーも身が入りません。そして、とうとう倒れて、救急病院へ運ばれたんです。
サラは、ロリスと離婚後、弁護士のルカと再婚しますが、二人の中は冷めており、ルカは、スーパーでレジ打ちをしているミラと浮気をしています。ミラの夫・アルフレッドは、舞台俳優ですがSNSにハマって働きません。ミラとアルフレッドの息子は、義父を嫌がり、家に寄り付きません。
このそれぞれの問題が、全て乾燥に繋がるかというと、そうではないかもしれませんが、でも、人々の心も乾いてしまっている様子が伺えるんです。街が乾くと、人々の心も乾いてしまうという、そういう映画だったのかなと思いました。
出演者は豪華で、シルヴィオ・オーランドやヴァレリオ・マスタンドレア以外に、モニカ・ベルッチも出演しています。群像劇なので、どの俳優も、そんなに多く出演はしていませんが、それぞれのストーリーがありました。
全く雨の降らない、乾いたローマが描かれますが、日本から見ると、ローマって、噴水などを見ると水が多そうだけど、建物が石で出来ているモノが多いので、元々、乾いている雰囲気がありますよね。石畳だけ見ても、乾いていそうな気がしてしまいます。土を見つけても、サラサラしていそうだしね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、群像劇なので、そんなに凄く面白いという事も言えません。それぞれのお話が幾つも連なり、繋がっていたり、繋がっていなかったりで、全体的な結末には至るのですが、それぞれの話の結末が無いので、あまりスッキリはしないかな。でも、豪華俳優陣を観るだけでも、満足出来るかもしれません。日本公開は決まっていないようですが、公開してくれるかなぁ。もし、機会があったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「イタリア映画祭 2023」