イタリア映画祭「デルタ」ポー川の三角州地帯で、起こる追う者と追われる者の攻防が続きます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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イタリア映画祭にて、

 

「デルタ」

 

を観ました

 

ストーリーは、

 

ダムの現場責任者のオッソは、産業廃棄物の汚染が原因で父を亡くし、妹とポー川河口の三角州地帯で暮らしていた。2人は環境保護団体で活動し、汚染調査や廃棄物の処理など、河川敷の管理を、団体のみんなと共にやっている。

 

 

ルーマニア人一家とイタリアの故郷に戻ってきたエリアは、川沿いの廃墟に住み、違法な無差別猟(電気ショッカー猟)で生計を立てていた。オッソたち環境保護団体が河川敷の見回りをし、エリアたち密猟者を見つけて警察に通報する。そして、密猟に使っているバンを警備隊に見つかり、危険を察した彼らはルーマニアに帰る決意をする。エリアは魚の代金を回収しようとバールの経営者カウゾを訪ね、揉み合いになって彼を撃ち、指名手配されてしまう。

 

仲間を殺された住民の恐怖と怒りは頂点に達し、エリアを追い始める。オッソの妹ニーナも犯人捜索隊に混ざって捜索していたところ、トラックで逃走していたエリアを見つけ、その場で撃たれて殺されてしまう。

 

 

温厚でルールを重んじるオッソだが、妹を撃たれ、とうとう豹変する。陸空の大規模な捜査が続き、エリアは追い詰められ、深い悲しみをかかえたオッソもひとり銃を手に森に入っていく。

 

というお話です。

 

キツイ映画でした。ポー川河口では、川魚を獲って暮らしていた人々がいたのですが、工場からの排水で川は汚染され、魚は食べられなくなり、汚染により人も亡くなりました。オッソは、川の汚染で父親を亡くして、今は、妹と二人で暮らしています。ダムの管理責任者の仕事を得て、仕事の傍ら、河川の環境を守る環境保護団体で、妹と共に活動をしています。

 

 

川が汚染された後、環境保護をして、やっと美しい川に戻り、魚も戻ってきたというのに、ある日、魚が死んでいるのを見つけるんです。オッソは工業廃水だと考えますが、ニーナは、電気ショッカー猟だと言います。また密猟者が戻ってきて、猟を始めているらしいことが確認され、パトロールをして、密猟者を見つけるのですが、環境保護団体には逮捕する権限も無く、警察に通報するしか出来ません。密猟者も強気で、オッソとニーナは脅されて逃げるしかありませんでした。

 

警察に通報し、取り締まりが始まったので、密猟者たちは逃げようとして、その前に、今まで魚を卸していたバーのカウゾに金を受け取りに行くのですが、カウゾに銃で脅された為に、反撃して、彼を撃ってしまいます。このカウゾっていう人、環境保護団体にも所属していながら、密猟をさせて魚を買い取っていたんです。酷い奴でしょ。殺されても仕方が無い人間なんです。魚を受け取りながら、お金を払っていなかったんですから。

 

 

密猟は悪いんだけど、貧困で生活に困っていたからなので、ただ、密猟者を排除するんじゃなくて、密猟を辞めてこの仕事をしてみたらと交渉をするとかは出来なかったのかな。どんな時でも、犯罪をするのが悪いけど、それをしなければならなかった理由も考えて、何か、回復のチャンスを考えてあげて欲しかったな。そうしたら、こんな酷い事件にならなかったと思うんです。まぁ、密猟者につけ込んで、利益を得ていたカウゾという人間が一番悪いんだけどね。

 

オッソは、保護団体のリーダー的な存在なので、いつもみんなを抑える立場にいるんです。でも、ニーナが、”兄さんはいつも自分から動かない”と責めるんですよ。それ、違うんだけどなぁと思いました。みんなが騒いでいる時に、一緒に騒いだらリーダーじゃないでしょ。それを抑えて、理性的に解決する方法を見つけるのがリーダーなの。どんなに怒ったとしても、それを抑えられる人でなきゃ。

 

 

オッソは、最後の最後まで、必死で抑えていたんです。でも、色々と会って、最後にエリアを敵とみなして、追い詰める為に動き始めます。日本では、堪忍袋の緒が切れると言うでしょ。オッソもそれでした。もう、許せん!となって、エリアを追うんです。これは当たり前ですよ。エリアはやり過ぎたんです。頭が悪いといったら、それでおしまいだけど、ホント、いくらでもやり方があったのに、悪い方に向かってしまう。こういう奴、いますよねぇ。

 

ホラー映画でも、何で?っていうのに、せまい方に入っていくでしょ。もっと広くて、人のいる方に逃げなよって思うけど、何故か、せまい方に入るのよねぇ。それ、自分の首を絞めてるだけだよって言ってるのに、ダメな奴、いるんです。

 

 

この映画、ルイージさんが仰っていましたが、俳優だけじゃなく、三角州(デルタ)が、もう一つの俳優だったそうです。ポー川に、こんな凄いデルタ地帯が広がっていてというのは、イタリアの人でも、知ってはいても行ったことが無い人が多いだろうと言っていました。この特殊な地域で、色々な人々が暮らすことで、大きな問題が起こってしまうというのは、とても良く出来たお話だと思いました。

 

追う者と追われる者、守る者と壊す者、どこまでも相容れる事が出来ない両者が、闘ってしまうのは、仕方の無いことなんでしょうかね。難しい問題だと思いました。スリルとサスペンスが交錯し、誰が敵だか味方だかわからなくて、とても面白かったです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、こういう追い詰めていくお話って好きなので、この映画、気に入りました。日本公開は決まっていないようですが、ロカルノ国際映画祭で上映された作品で、主演はアレッサンドロ・ボルギとルイージ・ロ・カーショです。面白いですよ。上映してくれると良いな。機会があったら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「イタリア映画祭 2023」