イタリア映画祭にて、
「警官ジジのアドベンチャー」
を観ました
ストーリーは、
ジジこと、ピエル・ルイージ・メッキアは、イタリア北東部ヴェネト州の小さな町サン・ミケーレ・アル・タリアメントの警察に勤務する中年警察官。
地元の町をパトロールしながら、町の人々や同僚と何という事のない会話を交わす。勤務日誌のような映像が続いて行く。新米警官パオラとの無線機でのやりとりに心はずませるジジ。
私生活ではジャングル同然のカオス状態となった自宅の庭で過ごすひとときが何よりの楽しみだが、伸び放題の木を伐採しろと言い建てる隣近所とのいさかいが絶えない。
そんなある日、少女が線路で飛び込み自殺をする。目撃者の様子に不審を抱いたジジは、独自に捜査を始めるが、同僚の警官にたしなめられる。
ある日、パオラと共に一人の少女を精神医療センターに連れていったジジは、昔、精神疾患のある隣人を措置入院させねばならなかった時のつらい思い出を語り始める。
というお話です。
うーん、この映画、ドキュメンタリータッチで描かれているのですが、フィクションの映画なんです。でも、出演者は地元の人々で、実名で出演しています。そして、主人公のジジは、監督の叔父である、サン・ミケーレ警察の本物の警官、ピエル・ルイージ・メッキアさん。ジジというのは、ルイージの愛称だそうです。
映画の中で、庭がジャングルのようになっていても、木を切らずに、近所から文句を言われているという場面があるのですが、木を切ることは気を傷つける事と同じだと言う信念を持っていて、どんなに文句を言われても、切らないんです。これ、私は隣人の方がマトモだと思いました。ご近所が困っているのに、全く解決策を講じないというのは、どういう人間なんだろうか。
それに、木って、伸び放題だと、上手く成長しないんですよね。剪定してあげないと、気持ち良く生きていけないんです。人間が床屋に行ったり、マッサージに行くのと同じように、木も、それなりに慈しんで、剪定をして、空気の流通を良くしてあげないと、林全体にも影響が出てしまいます。
今、NHKの朝ドラで「らんまん」というのを放送していると思うのですが、ここに出てくる植物学者の牧野富太郎さんも、確かそんな事を仰っていたんじゃなかったかな。
他の部分は、ほとんどパトカーに乗って、町をパトロールしている映像なんです。一人で運転して回っている時に、無線で事故の連絡などが入ってきて、直ぐに向かうということをずーっと続けています。時々、助手席に他の警官が乗っていて、町の噂話をずっとしていたりと、何となく、題名を「のんきな警官」とかにしたいくらいでした。
最初に、列車のレールの上に女性が倒れていて、死ぬんです。姿は全く映らないけど、亡くなった直後を見たらしい男性は、何となくうろうろして落ち着かない様子なんです。まぁ、自殺現場をみたのだから、茫然としてうろうろしていたのだと思うけど、それを見て、ジジは何となく疑いだしたと言うんだけど、どこら辺が不自然だったのか、全く映画では解らないんです。
だって、レールに横たわっていて死んだという言葉だけで、状況は映らないし、列車も走って無いし、レールも映らないので、そういわれてもねぇって感じなんです。普段、サスペンス映画などだと、状況を全部映してくれるでしょ。もちろん、説明もしてくれちゃうのに、この映画は、何も無くて、ただ、警官の会話だけなんです。うーん、観る人によっては、素晴らしいのかもしれないけど、私、何が凄くて、面白いのか、ちょっと、解りませんでした。
ルイージさん、悪い人じゃないんだけど、単独行動が多いし、新人女性警官には愛想が良くなるしで、ちょっと、何となくイヤな感じなんですよねぇ。悪い人では無いし、警察官としては真面目なんだろうけど、ちょっと性格が悪いんじゃないかなと思ってしまいました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ずっと車の中での撮影や、語っている事の整合性などは、少し違っていたりするけど、今までにない撮影の仕方で、ちょっと変わった映画でした。新しいモノ好きな方には良いかもしれません。日本公開は決まっていないのですが、もし、観る機会があったら、ぜひ観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「イタリア映画祭 2023」