「銀河鉄道の父」賢治が大好きな政次郎って可愛く見えますね。素敵な家族のお話でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「銀河鉄道の父」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

岩手県で質屋を営む宮澤政次郎の長男・賢治は家業を継ぐ立場でありながら、適当な理由をつけてはそれを拒んでいた。学校卒業後は農業大学への進学や人工宝石の製造、宗教への傾倒と我が道を突き進む賢治に対し、政次郎は厳格な父親であろうと努めるもつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治だったが。

というお話です。

 

 

質屋を営む裕福な宮沢家。政次郎は長男が誕生したとの電報に大喜びで、家に向かっていた。政次郎の長男は賢治と名付けられ、跡取りとして大事に育てられる。

 

学校を卒業後、家業を継げと言われるが、質屋は「弱い者いじめ」だと言って断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。試しに質屋の受付をさせてみたが、賢治には、全く質屋としての才能が無いようだった。人の内面を見れないのだ。

 

 

さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。 そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。

 

「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。

 

だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる。そして。後は、映画を観てくださいね。

 

 

宮沢賢治を父親の目線で描いた映画です。原作は門井慶喜先生の小説です。実際はどうだったのかは解りませんが、父親の政次郎が、息子の賢治にべったりだったという事が描かれています。この時代、やっぱり長男は大切だったんですかね。

 

賢治が生まれた時から、大喜びの政次郎は、息子が病気になれば割烹着を着て付き添い、何から何まで、自分で世話をしないと納得出来ないんです。これこそ過保護っていうのかなと思いました。でも、学校には普通に行かすのよね。そして、いざ、家業を継がせようとしたら、”質屋は弱い者いじめだ。”なんて言い出す始末。

 

 

質屋は、弱い者いじめじゃなくて、助けてあげてるんだけどね。貧しい人たちには、銀行もお金を貸さないから、何か自分の持っているものをお金に換えるしかないでしょ。そんな時に、質屋が無かったら、みんな飢え死にしちゃいますよ。もちろん質屋だって、商売ですから、儲けが出るようにお金を貸します。そして、相手が返せない場合は、その品物を売ることになります。これ、凄く良いシステムですよね。だって、通常、お金を借りたら、必ず利子を付けて返さなければいけないでしょ。でも、品物が担保になるので、品物を諦めれば借金は返さなくて良いんです。これ、サラ金より、よっぽど親切なシステムだと思うけど。

 

まだ若い賢治は、そんな事もよく解らず、質屋を嫌がって家出をして東京に行ったり、我が儘放題で、自由に暮らしています。でも、これって、お父さんからお金が出てるから出来ることでしょ。本当にぼんぼんなのよ。甘やかされてますよねぇ。

 

 

でも、こんな奔放に生きた時間があったからこそ、あの小説が書けたのだし、時代を超えて読まれる作家になったのだと思いました。”銀河鉄道の夜”も良いけど、私は”注文の多い料理店”が好きなんです。あのお話は子供の頃に読んでゾッとしたけど、大人になっても、あれほど面白いホラー小説って無いですよ。あの衝撃は忘れられません。あの小説を読んでから、人を疑うことは大切なんだと知りました。この人を疑うというのは、質屋の仕事から学んだのかもしれませんね。

 

この時代ですから、結核は治らないという病気で、妹のトシが亡くなってから、賢治はお話が書けなくなってしまいます。妹のトシがお話をせがんでいて、妹の為に書いていたのが小説だったので、書く相手がいなくなっちゃったんです。悲しむ賢治を慰めて、また小説を書かせるように導いたのが、父親の政次郎でした。こういう事だったんですね。

 

 

今回、賢治を菅田さんが演じて、トシを森さんが演じていたのですが、私はイマイチのめり込めませんでした。この映画を観る前に、舞台で「ケンジトシ」を観ていて、賢治を中村倫也さん、トシを黒木華さんが演じていて、この二人が、あまりにもピッタリで、それが頭に媚びりついてしまったんです。賢治は、菅田さんも良かったので受け入れられたのですが、トシ役が、どうしても黒木さんの演じたイメージがピッタリだったんですよね。森さんの奔放だけど大人しそうな雰囲気だと、賢治に想像をさせるパワーを与えているように見えなかったんです。

 

この映画では、父親が主人公なので、父親が息子に力を与え続けていたという事なのだと思いますが、子供同士の想像力は、この賢治とトシが子供のころから、一緒に創り上げてきたもので、それが、小説の原動力となっていたと思うんです。トシは、どちらかというと賢治よりも想像力があり、ちょっと変わった妄想癖なんかもあって、それを賢治が文章にしていったというイメージが私の中にあったので、この映画のトシは、ちょっとイメージと合わなかったかなと思いました。

 

 

でも、父親は凄かったなぁ。こんなにも賢治、賢治って、大切にしていたら、他の子供が嫉妬するんじゃないかと思ったけど、みんな、上手く育っていましたね。ま、お父さんがこんなに賢治って言っていたら、家族も仕方ないなぁと諦めて、暖かく見守っちゃったんでしょうね。それにしても、弟は良くマトモに育っていたなぁ。

 

やっぱり政次郎役の役所さんが上手かった。本当に、こんなお父さんだったんじゃないかと思うほど、シックリしていて、好きになりました。どこのお父さんも、こんな風に子供の面倒を見てくれたら、ワンオペなんてことで悩まなくて良さそうですけどね。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、好きです。ちょっとイメージと合わない部分もあったけど、でも、お父さんがひたむきに息子を大切にする姿は、なんか、とっても可愛くて、素敵だなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「銀河鉄道の父」