イタリア映画祭「はちどり」イタリアの海辺の別荘を舞台に繰り広げられる群像劇。面白いです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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イタリア映画祭にて、

 

「はちどり」

 

を観ました

 

ストーリーは、

 

マルコ・カッレーラは少年の頃、小柄で“はちどり“と呼ばれていた。両親共に建築家の裕福な家庭に育ち、ある夏、海辺の別荘で隣に滞在する一家の娘ルイーズと恋に落ちる。しかしルイーズはマルコの弟とも付き合っており、微妙な関係だった。ある日、精神的に不安定だった姉が海で溺死し、恋は報われぬまま、2人は別に人生を歩むことになる。

 

 

眼科医になったマルコはルイーザと再会するが、2人にはそれぞれ家庭がある。ルイーザの存在を疑うマルコの妻マリーナは、やがて神経を病み、一人娘アデーレを残して療養施設に移り住むことになり、結婚生活は波状する。アデーレは、子供の頃から背中に紐が付いていてなどと、不思議な事をいう子だった。その事も、マリーナを追い詰めたようだった。

 

やがてアデーレは、父親が誰かを明かさぬまま、女の子を出産するが、ロッククライミングの最中に亡くなってしまう。子供の頃に言っていた、背中に紐が付いたままの姿だった。両親も亡くなり、予期せぬ不幸に襲われるマルコは、妻の精神科医だったダニエーレに支えられ、残された幼い孫娘を育てることに生きる喜びを見出していく。

 

 

時が経ち、老いて癌を患うマルコのため、孫娘は、海辺の別荘に家族や友人たちを呼び集める。

 

というお話です。

 

このお話、あらすじだと、こんな淡々とした話なんだけど、不思議な力が途中で何度も出てくるんです。きっと、亡くなった姉にも、この力があったから、それがアデーレに遺伝したのかなと思うけど、娘も自分では自覚していないけど、未来の自分の死に方を予知しているんです。それ以外にも、マルコの友人であるドゥッチオが、マルコと一緒の時に、ある時に予知をして、そこから流れが変わるということもありました。

 

 

マルコの周りでは、大変な出来事もいくつか起きるけど、それを予知したり、予知と気づかなかったりと、不思議な事が多いんです。映画では、時系列が行ったり来たりして、あらすじに書いた4つの時代を、順番に描くのではなく、入り組ませているんですね。そしてアデーレが紐の事を予知した時に、未来で紐にぶら下がる女性の映像が入ってきて、これは自分の事を予知しているのかなと気づかせるように作っていたりするんです。その入り込み具合が、とても面白くて、何でマルコが気づいてあげないのよぉ~!と思ったりしちゃうんです。ま、普通は気がつかないよね。

 

そんな時系列のマジックが使ってあり、まるで一つ一つの出来事をファイルにして、ケースに収めていくように描かれているマルコや周りの人々の人生が、最後にピタッと収まって、スッキリするというような感じで、私は、とても満足しました。マルコという男性が、沢山の事をして、満足をして、愛する孫娘に別れを告げるという、何とも言えない、素敵なお話でした。私、こういうお話、好きなんです。

 

 

人生って、不思議な事があったりしますよね。上手く行かない事もあるけど、上手く行くと念じると全て成功してしまう時もあったりして、それって、自分の力なのか、その時の星回りなのか、運なのか、何とも言えないけど、でも、ギャンブルなどでも、これは勝てると思うと、必ず勝てたりするんです。普段は、全く当たる気がしないから、遊びでくじ引きをしたりするけど、これは必ず来る!と思うと、来るんですよねぇ。そういう事ってありませんか?このマルコも、そういうタイプのようでした。私と同じだね。

 

そんなマルコでも、女性の気持ちは、上手く出来なかったようで、女性に関してはダメダメなマルコでしたね。笑っちゃうほど、アホで気がつかない奴だなぁと思ってしまいました。でも、その女性関係について、背を高くするホルモン治療が何か関係するのかしら。何となく、ルイーズとの事は、何故か、この治療の事で両親が喧嘩をしていた事が関係するような映像の組み方に見えたので、そこだけは、ちょっと解り難かったかな。両親の喧嘩で、姉の精神が不安定になり、ということなのかしら。ちょっとそこだけは解りませんでした。

 

 

マルコの生涯を通して、時代の流れも描いていたと思います。マルコの両親は、どんなに仲が悪くても離婚をしませんでした。あの時代、離婚をするのは珍しかったからで、世間も離婚に寛容ではなかったと思います。でも、マルコの時代は、上手くいかなければ直ぐに離婚という決断をします。無理して一緒にいる必要も無いんです。そして、娘のアデーレは、結婚せず、父親も言わないまま、シングルマザーとなります。この3世代で、世間の感覚が全く変わったことを描いているんです。面白いですよね。こんなに人々の感覚って変わるんです。

 

映画の中で、孫娘の名前に日本の言葉「未来人」からミラという名前にしたとか、日本のハンモックを孫娘の寝床として使っていたりとか、ちょっと日本にこだわっているような部分がありました。どうも、原作に描かれているようです。この原作は、イタリアでは有名らしいです。良い作品のようでした。日本で翻訳本は出ているのかな?

 

 

時代の移り変わりを描きながら、人間の不思議な感覚や思いの強さを描いていて、私は好きな作品でした。ショックな経験をして、どうしても立ち直れない人もいるけど、マルコは、その傷を心に刻みなザラも、前に進むんです。そんな姿が素敵でした。

 

マルコを演じた、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノさんは、今、50歳過ぎてノリに乗っているようで、今回の映画祭でも、彼の主演作が3作もありました。どの作品でも。全く違う顔を見せてくれて、その上、感動を与えてくれて、凄い役者さんです。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。人生の摩訶不思議を観れられて、感動し、驚き、楽しみました。公開するのか、まだ、分かりませんが、機会があったら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんで下さいね。

 

 

「イタリア映画祭 2023」