「ウィ、シェフ!」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
一流レストランで副料理長を務める女性カティは、シェフと大ゲンカして店を飛び出してしまう。やっとのことで見つけた新しい職場は移民の少年たちが暮らす自立支援施設で、まともな食材も器材もない。施設長ロレンゾは不満を訴えるカティに、少年たちを調理アシスタントにしようと提案。天涯孤独で人づきあいが苦手だったカティの人生にも変化をもたらしていく。
というお話です。
一流レストランの副料理長として働くカティ。夢はいつか自分のレストランを開くこと。だが、あまりのシェフの横暴さに嫌気がさし、大ゲンカをしてしまい、”辞めます”と言って店を飛び出してしまう。
辞めたはいいが、次の仕事を見つけなければならない。以前、スカウトされたレストランなどに連絡をしてみるが、今、来て欲しいというレストランは見つからない。求人を探してみると、ひとつだけ「魅惑の店」という求人を見つける。直ぐに面接に行く約束をし、その場所に向かう。
車で向かうと、人里離れた場所に立つ大きな施設。ここ?と思いながら入っていくと、そこは、移民の少年たちが暮らす自立支援施設だった。施設長のロレンゾが、誇大広告を出したらしい。しかし、他に行くところが無いカティは、そこで働くことに。
調理室に案内して貰うと、まともな食材も器材すらない。あるもので食事を作るが、70人前を昼までに出すことが出来ない。そこの人々は、質よりも量が重要で、決まった時間に出さなければ意味がない。不満をぶつけるカティに施設長のロレンゾは、少年たちを調理アシスタントにするアイデアを提案する。
フランス語がちょっと苦手な少年たちと、天涯孤独で人付き合いが苦手なカティ。料理が繋げた絆は、少年たちの将来だけでなく、一匹狼だったカティの世界もかえてゆく。後は、映画を観てくださいね。
素敵な映画でした。観ていて、気持ちが良くなる作品です。主人公のカティは、有名レストランのスーシェフなんです。カティは、実力はある(自分ではそう思っている。)んだけど、トップには立てず、イライラしているんです。レストランのシェフはマスコミ対応が上手く、本を出したりTVに出たりして人気があるので、そのレストランの顔なんです。なので、どんなに料理が上手く無くてもシェフなので、カティの料理を平気で変更したりして、カティは許せなくなってしまうんです。
これは解るなぁ。料理全体のバランスを見て、味付けをしているのに、横から来て、そのメニューだけ味付けを変えてしまったら、バランスが崩れて、美味しく食べれるモノがまずくなりますよね。そういう事が解からないシェフが、偉そうに本を出したり、TVに出たり、良くある話だけど、ムカつきます。
我慢出来なかったカティは、とうとうレストランを辞めて、何故か、自立支援施設の料理長になるんです。たまたまだったんだけど、ここでの出会いが、少年たちにも、カティにも、新しい道を開いて行くんです。最初は、調理器具もまともに揃っておらず、食材は缶詰とインスタント的なものばかり。
カティが、まともな食材と調理機器を揃えるようにと施設長にいうと、予算が、1人につき、8ユーロまでの予算とか言っていたような気がします。人手は、施設の子たちに手伝わせればよいと言うんです。フランスの物価が解からないけど、少ないからなのか、食材は、自分たちで栽培したり調達したりして、調理器具は買ってきたと思うけど、施設の子たちに手伝わせるんです。すると、みんな料理の楽しさを知っていき、進んで訓練をするようになっていきます。
これが、自立支援の為の職業になるんじゃないかと考えた施設長は、行政に掛け合って、料理人になる為の訓練も自立支援としてのプログラムとして認めて貰おうと動き出すんです。
確かに、料理人になれば、手に職を付けることが出来るのだから、自立出来て、国の為にもなると思うんです。でも、まぁ、行政の事だから、それにフランスだし、直ぐには答えが出ないんですよねぇ。これは、どこの国でも一緒ですよね。急いでいるのに、国や行政がやる事は、いつものらりくらりで、たらい回しにして、どこまでも待たせるという、何なんでしょうね。
でも、フランスって、偉いですよね。不法移民とかを、直ぐに収監して、強制送還するんじゃなくて、フランスの人手になるような職を身に付ければ、国に置いてあげますよっていう制度があるんです。だから、こういう自立支援施設で訓練をさせるんです。日本だって、”技能実習生”なんていう制度を辞めて、不法移民として収監した人に、技能訓練をさせれば良いんですよね。
そして、人手不足の所で働けるような技能を取得したら、特別移民として受け入れればいいんじゃないかな。人手不足と騒ぐなら、そこにボーっとしている人がいるんだから、働かせてあげればいいんじゃないの?わざわざ、海外から呼び寄せて、文句を言われて、2度と日本に行かないとか言われるくらいなら、自分から日本に来た人たちに働いて貰えばいいんですよ。フランスの行政も、映画の中では頭が固かったけど、日本はもっと酷いですからね。こんな事が出来るようになれば、入管施設の問題も、少しは良くなるんじゃないの?
話を戻して、この施設に滞在してる子たちは、未成年であり、自立をして働きたいと思っている子ばかりなんです。なので、一生懸命勉強もするし、技術も覚えようと思っているんです。フランス語も、まだカタコトだけど、勉強をして段々と上手くなっていくんです。努力している子たちって、助けてあげたくなりますよね。
この映画は、実際に訓練施設で移民の子たちに教育を行っている、実在のシェフのお話を元にしているそうです。フランス在住のライターの高崎さんが、アフタートークでお話をして下さったのですが、移民の子たちの話を描きながら、ミソジニーという言葉が出るように、料理界でまだ男性優位の状態が続いている事や、施設長の名前がイタリア系で、フランス人として働いていても先代は移民だっただろうという人が沢山いるというフランスの現状を、良く描いていると仰っていました。
日本にも色々な問題があるように、フランスにもそれなりに多くの問題があるようです。そんな事を盛り込みながら、新しい扉を開いて行く人々のお話を描いていて、とても気持ちが良くなる映画でした。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。難しい映画ではありません。深く考えれば、フランスの問題などが盛り込まれているのかもしれませんが、サクセスストーリーだと思って、軽く観ることが出来る作品です。観た後も、気持ち良くなります。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ウィ、シェフ!」