「高速道路家族」
を観てきました。
ストーリーは、
高速道路のサービスエリアを転々としながら、2度と会うことのない他人から2万ウォンを借りて食いつないでいるギウと3人の家族。ある日、以前お金を借りたことのあるヨンソンと、別のサービスエリアで偶然にも再会してしまう。ヨンソンは警察に連絡をし、ギウは逮捕されるが、残されたギウの妻ジスクと子どもたちを放っておけず、家へ連れ帰って一緒に暮らし始める。
というお話です。
テントで寝て、夜空の月を照明として暮らすギウと3人の家族。彼らは、高速道路のサービスエリアを転々とし、2度と会う事のない旅行者に2万ウォンを借りながら食いつないでいる。借りるという名目での詐欺を働いているのだ。ギウの妻ジスクは妊娠しており、子供は8歳くらいの女の子と5歳くらいの男の子。学校にも行けず、文字も書けない。
ある日、以前、お金を借りたことのあるヨンソンと別のサービスエリアで再び遭遇してしまう。ヨンソンは、ギウが連れている少女に見覚えがあり、詐欺に気が付き、警察に通報する。警察は、他からも詐欺の通報があり、捜査をしていたところだった。ギウは逃走するのだが、結局、捕まってしまい、警察に連れていかれてしまう。
ヨンソンは、犯人確認のために警察へ行き、ギウの顔を確認し、ギウは留置場に入れられてしまう。ヨンソンが家に帰ろうとすると、ジスクと子供2人は、行くところも無く、警察の前で座り込んでいた。あまりにも可哀想に思ったヨンソンは、自分の経営するリサイクルショップに来ないかと誘い、空いている部屋をジスクと子供に貸し、そこでしばらくは暮らしなさいと話す。
ジスクは不幸な過去があり、あまり世間を知らず、ヨンソンの優しさに触れ、素直にいう事を聞き、子供とそこで暮らし始める。ヨンソンは、子供は学校に行った方が良いとジスクに教え、親身になって、彼らの面倒を見始める。ジスクも出来るだけの手伝いをし、恩を返そうとする。段々と、暮らしになれて、良い生活のサイクルが出来始めた時、ギウが警察を脱走し、ジスクに会いに来るのだが…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。良く出来たお話でした。うーん、高速道路のパーキングエリアを転々として、詐欺をするというのは、よく考えているなぁと思いました。確かに、何度も会うことは無さそうだし、2万ウォンを課して欲しいというと、大体、2千円くらいでしょ。微妙にあげてもイイかなと思う金額なので、出す人もいるんじゃないかと思うんです。私なら、身分証明書を見せてというと思うけどね。お金を振り込みますから口座番号を教えてとか言ってたけど、人の口座番号を聞くというのも、詐欺に使われそうで嫌ですよね。韓国では普通なのかしら。
そんな家族なんだけど、妻のジスクと子供たちは、全く悪意が無いんです。何となく悪い事とは思っているんだと思うけど、罪の意識があまり無さそうでした。それにジスクは、ほとんど教育を受けていないようで、社会を知らないんじゃないかな。良い生活をあまり知らないし、詐欺をしながらの野宿生活は辞めたいと思っても、ギウに言えなかったのかなと思いました。
ギウは、マトモな教育を受けてきているようでしたが、ある事で騙されて、それまで持っていたモノを全て無くし、家族と一緒に詐欺をしながら放浪することになってしまったようです。どんなになっても、家族を守らなければという気持ちは強いようで、詐欺をしてでもとなったようですが、それなら仕事をすればいいじゃないですかねぇ。もし、公に就職が出来ないなら、裏の仕事だってあるし、そうでなければ、ちゃんと警察に行って罪を償ってから、家族と暮らせば良いのではないかと思いました。
ギウが逮捕されて、家族が警察に保護される事となれば、母親が妊婦なので生活保護か何かでしばらくは生活が出来るでしょ。韓国の警察は生活安全課のような相談が出来る部署は無いのかな?日本なら、警察が役所に繋げてくれて、保護制度を使ってくれると思うけど。さすがに、妊婦で2人の子供と一緒となれば、直ぐに働けとは言わないでしょ。
ジスクは優しくて、真面目な考え方をする女性なので、ヨンソンに保護された後も、一生懸命働いていました。ヨンソンにも、ある理由があり、彼女たちを、そのままほおっておくことが出来なかったんです。ヨンソンと夫も、ある事で心に傷があり、二人でその苦しみから抜けられずにいたんです。でも、ジスクと子供を保護することで、少しづつ、心の傷が癒えていきます。
そうそう、ギウは警察に拘留されていたのですが脱走するんです。あまりにも簡単に脱走出来てしまっていて、韓国警察は無能なの?と思ってしまいました。日本でも刑務所から脱走することはあるけど、いくらなんでも、こんなに簡単に脱走出来るのはあり得ないでしょ。逃げているのを、沢山の警察官が追っていくのに、全く捕まらないんです。もう捕まえたら、直ぐにGPSを付けた方が良いですよ。GPSをつけるだけでも人権侵害になるのかしら。逃走防止なんだから、そこは法律を変えた方が良いんじゃないの?
それにしても、ギウという男は、酷かったなと思いました。一度、失敗したことで、家族を巻き込んでホームレスになるなんて、酷いでしょ。自分だけで、ホームレスになりなさいよ。家族を思っているのなら、家族だけでも幸せになって欲しいと思うんじゃないの?自分と一緒に不幸になろうと連れまわすなんて。寂しいのは解るし、家族と離れたくなかったのは解るけど、やはりこれは、やってはいけない事だったと思います。
子供は学校にも行けずに、字も書けないんですよ。親が不幸にしてどうするんですか。自分中心な男だなと思いました。もし、ジスクが、もう少し社会に触れていて、学があったのなら、家族でホームレスになるような事は無かったと思います。周りに頼れる人もいなかったんだろうとは思うけど、誰が、助言してあげれば良かったのに。パーキングエリアで、ヨンソンに出会えて良かったですよ。ギウが詐欺で捕まったおかげで、普通の生活が出来るようになったのだから。父親がいないのは可哀想だけど、罪を償ってからでも遅くないんですから。
凄く考えさせられました。家族は一緒にいたいだろうと思うけど、お互いを不幸にするなら離れた方が良いと思います。そりゃ、辛いけど、一緒にいたら、もっと不幸になっていきますよ。そして、何か大変な出来事があったら、直ぐに逃げる人っているけど、一度は立ち向かうべきだし、どちらにしろ罪を償わなきゃいけないなら、どうなってでも、自分を騙した人間と戦うべきなんじゃないの?逃げたら相手の思う壺でしょ。
弱い人間の悪い部分を、良く描いていたと思います。弱い人間って、凄く強いんですよね。全てに蓋をしてしまって、見ないことにしてしまい、誤魔化して生きていくので、強い人間は太刀打ちが出来ないんです。だって、相対したくても、前に立ってくれず、すり抜けて行ってしまうから。いつもいつも逃げて、幸せなことしか見ないという、究極の自己中が弱い人間なんです。私は、そういう人間が大っ嫌いなので、このギウにも腹が立ちました。
最後、どうなるのかは、映画を観てくださいね。結構、凄かったし、面白く出来ていたと思います。私は、好きなストーリーでした。ポスターなどの写真は、ほんわかしているように見えますが、サバイバルで怖い展開になっていきます。やっぱり、韓国映画、上手いなぁ。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは面白いです。もっと、上映館が増えれば良いのになぁ。色々な人に観て欲しい映画だと思いました。ぜひ観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「高速道路家族」