「帰れない山」北イタリアの山で育った二人は、それぞれの道を歩き出し、居るべき場所を見つける。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「帰れない山」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

北イタリア、モンテ・ローザ山麓の小さな村。山を愛する両親と休暇を過ごしに来た都会育ちの繊細な少年ピエトロは、同じ年の牛飼いの少年ブルーノと出会い、一緒に大自然の中を駆け巡る中で親交を深めていく。しかし思春期に突入したピエトロは父に反抗し、家族や山と距離を置いてしまう。時は流れ、父の悲報を受けて村を訪れたピエトロは、ブルーノと再会を果たす。

というお話です。

 

 

北イタリアのモンテ・ローザ山麓にやってきたピエトロと母親。両親共に山を愛しており、夏の間だけ、この山麓の村に家を借りていたのだった。ピエトロは、その村で暮らしている牛飼いの少年ブルーノに出会う。ブルーノが同じ年と知り、母親がお友達になればと言い、二人は大自然の中を走り回り、色々な遊びを楽しみ、夏を過ごしていた。野性味たっぷりのブルーノと、都会育ちで繊細なピエトロは対照的だったが、とても仲良くなり、親交を深めていく。

ピエトロの父親も仕事の合間に山に来て、二人を登山に連れて行ってくれていた。まだ二人にはキツい登山もあったが良い思い出となり、少年の二人には強い想いが刻まれることとなった。



 

ある時、ブルーノが中学校を留年することを聞き、ピエトロの母親は教師なので勉強を教え、トリノの高校に、ピエトロと一緒に通わせようとするが、ブルーノの父親が彼を連れに来て、仕事に連れ去ってしまう。

一人になったピエトロは成長し思春期を迎え、父親に反抗するようになり、山の村から距離を置いてしまう。大学も中退し、一人で好きに生きていたピエトロは、ある時、父の悲報を受け、自宅に戻る。山の村を訪ねたピエトロは、ブルーノと再会を果たし、父親の遺言ともいうべき事をブルーノから聞き、ある土地にブルーノと共に、山小屋を建てることになる。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、良い作品でした。原作はイタリアの小説で、世界的ベストセラー小説です。私は、原作は読んでいないのですが、映画は、原作からほとんど変えずに映像化されているようです。147分の長編作品で、私があらすじとして書いた内容でも、まだ半分も来ていないくらいかな。結構、内容はドッサリありました。

 

でもねぇ、凄く良いお話なんですよ。子供向けに言えば、「都会のネズミと田舎のネズミ」って感じかしら。内容は違うけど、都会のピエトロと、山のブルーノという感じで、同じ年齢で、仲が良いんだけど、全く考え方が違うという事が、大人になっていくにつれ、強く二人を分けることになってしまうんです。その描き方が上手いんですよ。

 

 

山小屋を建てる時に、山小屋を建てる場所にあった”木”を、可哀想だからと思い、ピエトロが他の場所に移すんです。それを見たブルーノが、生えた場所から移すと枯れてしまう事がほとんどだと言うんです。その言葉が、後々、効いてくるんですよ。育つべき場所に生えてきているのだから、そこから動かしてはいけないんです。でもねー、生きる為には仕方ない事もありますよね。

 

2人は子供の頃からとても仲が良く、いつも一緒に遊び周る姿が描かれています。とても楽しそうだし、これこそこどもたちって感じで可愛いんです。でも、ブルーノはピエトロの兄弟じゃないので、ピエトロの両親が勉強を教えるくらいなら良いけど、学費を出してあげるからピエトロと一緒にトリノの高校に行かせようというのはやり過ぎなんじゃないかな。ブルーノの親がどんなに酷い親でも、そこまでやったら、ムカついて連れて行ってしまいますよね。だって、子供を取られると思うと思うんです。もう少し配慮すべきだったんじゃないかと思いました。可哀想なのは解るけど、そこまでは踏み込むべきじゃないですよ。

 

 

そんな事があり、突然に別々になってしまった二人。成長し、それぞれの生き方をしています。ピエトロは、父親のようなサラリーマン人生に反発し、大学を辞めて、家を出てしまいます。その時から、父親との折り合いが悪く、何年も会わない時期を過ごします。そして、父親の死の知らせを受け取るんです。

 

ピエトロは、作家志望で、レストランで働きながら、小説を書いているようでした。父の死の後に山小屋へ行くと、ブルーノが待っており、久しぶりの再会でした。そこで、父親がブルーノとずっと連絡を取っており、相談に乗っていたことも知ります。そしてブルーノから、父親の遺言を聞き、二人で山の土地に山小屋を建て始めます。

 

 

この時点では、まだ、ピエトロは父親の本当の想いを解かっていないのですが、毎年の夏、この小屋で過ごすようになり、段々と父親の思いを理解し、人間としての成長を遂げていきます。この山小屋を作るまでが序章のように思えて、ここからが、本当の意味での言いたかったことなのかなと思いました。

 

それぞれに生き方は違うんだけど、それぞれが生きる場所を見つけ、生きていきます。もちろん失敗もします。成長して、自分だけじゃなくパートナーが出来たりして、自分の希望だけじゃ生きられなくなっていくんです。家族が増えて、自分が守れると思っていても、上手く行かない事もあり、いつも良いことばかりではありません。そういう、自分一人の生き方を貫けるばかりではないことを知っていくんです。

 

 

そんな自分の人生を味わいながら、ピエトロは、父親も悩んでいて、苦しんでいたんだろうという事を知っていくんです。そして、父親が登った山を自分も訪れ、山頂にある”ノート”を見て、父親の言葉を探します。山頂には、登った人が感想を残して行けるようにノートが置いてあるんです。日本の山にもあるけど、海外にもあるんですね。

 

父親の思いを心に刻み、自分の道を歩き始めるピエトロですが、一方、ブルーノは段々と苦しい立場に立たされていきます。それについては、ネタバレになるので、映画を観て確認してください。ここが核心なんです。人は生きるべき場所を変えて生きることは出来ない。周りがどんなに簡単だろうと言ったとしても、出来ない事があるんです。心に刺さりました。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。素晴らしい映画でした。原作も読みたいと思っています。これは、ベストセラー小説になりますよ。人の心が、とても良く描かれている作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「帰れない山」