「aftersun アフターサン」2度目の鑑賞で監督のお話も聞けました。観るほど感動します。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「aftersun  アフターサン」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占来日プレミア試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。

というお話です。

 

 

1度目の鑑賞以上に、何故か、感動をしてしまいました。こういう映画って、内容を知っているからこそ、その気持ちが痛いほど伝わってきて、自分と重ねてしまうんですよね。

 

まず、最初に映画が始まって、子供のソフィの映像が流れるのですが、タイトルが出る前か後に、大人のソフィの影が、今まで観ていたビデオが消えた一瞬、TV画面に写り込むんですよ。1度目に観た時は、気がつかず、何か動いているくらいに思っていたのですが、今回は、それが解りました。なので、既に最初に、大人のソフィが観ているビデオなのだと教えてくれているんですよね。そして、カラムとソフィの、トルコのバカンスが始まるんです。

 

既に一度観て、説明と解説をしているので、もう、今回は、感想のみにしますが、本当にカラムは、良いお父さんでいたいと思っているんだろうなと思いました。どんなに辛い事があっても、お金に困っていても、精神的にボロボロだったとしても、娘の前では、それを見せたくないと思ってるんです。でも、伝わっちゃうんですよね。だって、娘ですもん。お父さんが無理しているのも、解ってしまいます。

 

でも、その時は、何でお父さんが苦しんでいるのかは、よく理解出来ていなかったんだと思うんです。それが、大人になってから、ビデオを再生してみると、それが、見えてきたのだと思います。パパと同じ年齢になって、同じくらいの知識を付けたソフィは、生活をしていく為には、ただ、愛だけでも、堅実に生きているだけでもダメだということを理解し、家族を養い、子供を育ててという、大きなストレスを抱えながら生きていくのだと知り、父親も苦しんでいたという事に気が付いたんじゃないかな。

 

 

映画の途中でかかる音楽の歌詞が、その若い頃の苦しみを現しています。私は、特に、クイーン&デヴィッド・ボウイの”アンダー・プレッシャー”が心に響きました。カラムが、今、苦しんでいる心の内を、そのまま描いているのが、この曲だと思います。プレッシャーの中でもがく姿が描かれていて、観ていて唸ってしまいました。

 

カラムとソフィの演技がとても自然で、まるで本当の親子のように見えるのは、どういう演出をしたのかという質問に、シャーロット・ウェルズ監督は、ほとんどが台本通りのセリフで、アドリブは無いと言っていました。撮影の前から、二人には交流を持ってもらっていたそうです。

 

そしてソフィ役のフランキー・コリオさんには、ト書きの無いセリフだけの台本を渡し、覚えてこないで良いと言っていたそうです。現場で読んで直ぐに演技をして、忘れていたら監督が教えるという形だったそうです。このやり方は、日本の是枝監督が、若い役者さんに対して演技をさせる時の演出方法ですよね。広瀬すずさんの初主演の時、台本を渡さずに、その場でセリフを教えてやって貰ったと言っていたし、「奇跡」という映画の時も、同じように演出をしたそうです。国は違っても、監督が考えることは同じなんだなと思いました。

 

画面の中に、鏡に映ったり、TV画面に映ったりする映像が、エドワード・ヤン監督の映像を思い出させたのですが、影響を受けているのですかという質問に、エドワード・ヤン監督の映画が好きで、影響を受けましたと仰っていました。他にも、小津安二郎などの影響も受けていますという事でした。

 

 

もっと、監督にお話を伺っていたんだけど、Fan's Voiceさんのサイトで詳しくは見てくださいね。シャーロット・ウェルズ監督、とても大人しそうな優しそうな方で、とても恥ずかしそうに出てこられたので、失礼かもしれないけど、可愛いなって思ってしまいました。素敵な監督です。

 

最後に、ソフィを送り出すカラムが、ビデオを持ってソフィを撮影しているんです。別れるまでずっと撮っていて、カメラを閉じて、奥のフラッシュライトが光る部屋の扉を開けて去っていくんです。カラムがビデオを持って行ったのに、今はソフィがそれを持っている。私は、やっぱりカラムは既に、いないのだろうなと思いました。カラムは、弱そうな人でしたから。でも、そんな父親を感じながら、ソフィは強く生きていってくれるだろうと思います。2度目の鑑賞では、そう思いました。

 

 

この映画、観れば観るほど味が出る、申し訳ない言い方だけど、日本式に言えば、スルメのような映画です。本当に素晴らしい映画で、何度も観て、この映画の良さを感じて欲しいと思うような映画でした。私は、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、観るべきでしょ。絶対、観てください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「aftersun  アフターサン」