「ノック 終末の訪問者」
を観てきました。
ストーリーは、
ゲイのカップルであるエリックとアンドリュー、そして養女のウェンの家族が山小屋で穏やかな休日を過ごしていると、突如として武装した見知らぬ謎の男女4人が訪れ、家族は訳も分からぬまま囚われの身となってしまう。そして「家族のうちの誰か1人が犠牲になることで世界の終末を止めることができる」と告げ、エリックとアンドリューらに想像を絶する選択を迫ってくる。
というお話です。
ペンシルバニア州の人里離れた場所にある小屋を借りた家族。エリックとアンドリューとウェンは、そこで休暇を過ごしています。エリックとアンドリューは同性婚をしていて、養子のアジア系のウェンを育てています。
ウェンが、外でバッタを獲って遊んでいると、大柄な男性が声をかけてきます。彼はレナードといい、悪い人では無さそうです。バッタ獲りを手伝ってくれて友達になりますが、レナードは、世界を救う為に君たち家族の助けが必要だと言い出します。恐くなったウェンは、直ぐに家に駆け戻り、両親に戸締まりをしてと叫びます。
小屋の扉を叩く音がします。無視していると激しく叩き、ドアを壊して入ってきます。そこには4人の人物が立っていました。そして、エリックとアンドリューを拘束し座らせて、ウェンも一緒にし、話を始めます。
「私たちは、”終末”を防ぎに来た。君たちの”選択”に懸かっている。」
「家族3人のうち、犠牲になる1人を選べ」「しくじれば、世界は滅びる」と言い出します。果たして、4人の訪問者は何者なのか?全くの謎だらけです。
アンドリューは、4人の中の一人を見て、以前にバーで自分に暴行を働いた男だと気が付きます。復讐に来たのかというのですが、男は昔に罪を働いたことはあるが、今は全て償い、神のお告げで来たと言います。突然にそんな事を言われても、信用が出来ないアンドリューとエリックとウェン。そんな3人に、TVを見せるレナード。TVでは、大きな災害が起きて、人々が大勢亡くなる光景が映し出され…。後は、映画を観てくださいね。
うーん、これ、どうなのかなぁ。M・ナイト・シャマランの新作なのですが、ヨハネの黙示録に書かれているハルマゲドンが起こって、それを阻止するという話なんです。4人というのは、映画の中で四騎士と言われていて、聖書では、封印を解く時に現れた最初の4人で、支配、戦争、飢饉、疫病を現しているんです。でも、この映画に出てきた4人は、これに該当していないような気がしてしまい、悩んでしまいました。
ヨハネの黙示録第三章20節に、”わたしは戸の外に立って叩いている。”とあるので、神が戸を叩いていて、”戸を開けてわたしを受け入れるなら、勝利がもたらされる”という事らしいので、この4人を受け入れて、犠牲を払う事をすれば、ハルマゲドンを止めることが出来るらしいんです。
でも、突然に押し入ってきて、ハルマゲドンが起きてるから、誰か犠牲になってと言われても、難しいですよね。通常、現代人として生きているなら、その言葉を信じることは出来ないと思います。だけど、目の前で惨劇が映し出され、4人が一人づつ、身を捧げていくので、さすがにこれはヤバい話なのかもしれないと、アンドリューとエリックは考え始めます。
何故、この家族に最後の選択が託されたのかというのは解らないんです。たまたまなのか、それとも何かあったのか。エリックが言うには、お互いに正直に生きてきた者として、選ばれたのではないかと言っていました。二人は、ゲイカップルで、親にカミングアウトをして、認めて貰おうとしましたが、どうしても理解して貰えずに苦しむ場面が描かれていました。そして、養子を貰う手続きをして、ウェンを引き取ります。何を言われても、二人の信頼は揺るがず、しあわせに暮らしてきた3人なので、選ばれたのかもしれません。
但し、キリスト教的に同性愛が許容されているかという事は、宗派や聖職者の考え方によって違うので、アンドリューとエリックのカップルが、正直者だったから選ばれたのか、罪人として選ばれたのかは解りません。その辺りも描いてはいないんです。聖書の解釈としては、”男色はダメ”とか、”男女が結ばれるべき”という紋々があるので、その辺りを、どう解釈すべきなのか、難しいです。監督の意図を聞きたいなと思いました。
途中まで観て、これ、もしかして大どんでん返しで、実は嘘でした~ってなるのかなと期待していたのですが、そういうことは無かったですね。真面目にハルマゲドンが起きていたし、大きな津波も本当に起こって、空から人が落ちて、疫病も流行っていたようです。その大災害のビジョンを見たのが、訪ねてきた4人で、3人家族の誰かが犠牲となって、ハルマゲドンを終わらせて欲しいと懇願するというのは、本当の事なんです。
エリックが4人の内一人と戦った時に脳震盪を起こして、その時から、彼も、ビジョンを見るようになっていきます。そして、今、起きている事は現実に起きているという事を感じ始め、それでも3人で生きていく、周りに誰もいなくても生きていこうと確認し合うのですが、それも限界になっていきます。
だから、何ていうのかな、この映画、難しいこねくり回しとか、謎とか、トリックとか、そんなものは一切無くて、真っ直ぐに、ハルマゲドンが起きて、そのビジョンを見た人達が、世界を救うために、選ばれた家族の元に来たというだけの話なんです。もう、ネタバレも何も無い、最初から行っている通りの話なんですよ。4人が来て、世界を救うために、誰か犠牲になってという、ただそれだけのお話なんです。
これだけストレートな映画って珍しいので、観る方も戸惑ってしまいます。言っている事、そのままが目の前で起こっていくだけなんですから。よくありそうで、今まで無かった映画だと思いました。なので、これを面白いと思うのか、面白くないと思うのかは、何とも言えません。人によって、違うと思います。ハルマゲドンが起こって、それを止めるまでという、ただそれだけの映画です。
まぁ、私には面白かったんですけどね。だって、アンドリューとエリックが、あまりにも疑うんですもん。突然に言われれば、そりゃ、こうなるのが当たり前なんだけど、何だか、笑ってしまいました。それに、ウェンという子供が、あんまり可愛くないので、その子を犠牲にすればいいじゃんって思っちゃった。あ、酷い事を言って、ごめんなさい。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。賛否が分かれると思います。シャマラン監督の作品は、毎回そうなんですけどね。凄くキリスト教的な話なので、ハルマゲドンくらいは知ってから行った方が良いと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ノック 終末の訪問者」