「死体の人」死体役って難しいですよね。動かないだけじゃ生気がありますもんね。難役です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「死体の人」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

役者を志していたのに、気づけば死体役ばかり演じるようになっていた吉田広志。後輩俳優は要領よくテレビで活躍しているが彼にはそれができず、リアルな死体の演じ方を探求する日々を送っていた。ある日、彼はデリヘル嬢の加奈と運命的な出会いをする。明るく振る舞う加奈だったが、彼女もまた自分の人生に問題を抱えていた。そんな中、吉田のもとに母が入院するという報せが入る。

というお話です。

 

 

役者を志していたものの、気がつくと“死体役”ばかりを演じるようになっていた吉田広志。開いたスケジュール帳はさまざまな方法で“死ぬ予定”でいっぱいだ。

「厳密にリアリティを追求するなら。」と演じることへの強いこだわりを持つ彼だが、効率を重視する撮影現場では、あくまで物言わぬ“死体”であることを求められる。劇団を主宰していた頃の後輩俳優は要領よくテレビで活躍を果たしているが、彼にはそれができない。

死体役には死体役のリアルが彼の中にはあるのだ。ひとりのときでも発泡酒を口にすれば“毒死のシーン”を、浴槽に浸かれば“溺死のシーン”を演じ、常に死に方を探求する日々を送っていた。



 

そんな〈死体の人〉が、人生を変えられるような運命的な出会いを果たす。ある日、自宅に招いたデリヘル嬢・加奈との情事の後、彼は「ベタな質問で恐縮なんだけど、何でいまの仕事をしてるの?」と彼女に問いかける。それはそのまま〈死体の人〉にも跳ね返ってくる質問だった。

「けっこう喜んでもらえるし、こんなことくらいでしか人を喜ばせられないから」と答える加奈に対して、「俺なんか誰も喜ばせられないよ。」と自嘲気味に〈死体の人〉は続ける。明るく振る舞う加奈だが、彼女もまた自身の人生に問題を抱えていた。

しかし、ある日唐突に〈死体の人〉の元に、母が入院するという報せが父から入る。気丈に振る舞う母だが、どうにも病状は良くないらしい。さらにそこに、新たな問題が発生。偶然見つけた妊娠検査薬を何気なく自分で試してみたところ、何と陽性反応が出たのだ。これはいったいどういうことなのだろうか?



 

消えゆく命、そして、新たに生まれてくるかもしれない命。〈死体の人〉こと役者・吉田広志は、一世一代の大芝居に打って出る。(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、死体ばかり演じている役者・吉田を真ん中に据えて、生と死という抗えない人間の現象を描いていました。役者なので、実際に死ぬわけではありませんが、死をリアルに再現したいという追求をしていて、どうしたら本当に苦しんでいるように見えるか、死んでいるように見えるか、そんな事ばかりを考えているんです。

 

そんな吉田の周りで、新しい命が誕生するかもしれないという状況になったり、母親が身体を壊し、死というものが近づいてきたり、生と死がリアルに目の前に広がってきて、自分でも、どうして良いのか解らなくなってきてしまいます。でも、彼に出来るのは、死体の役をリアルにこなすことだけ。死を演じることにより、生きていけるんです。

 

 

若い頃から演劇で役者をやってきた吉田ですが、ある程度の年齢になり、劇団はバラバラになって、役者として活動している者もいれば、止めた者もいます。吉田は、役者を続けていますが、死体の役ばかりが周ってきます。他が来ません。ある日、現場に行くと、劇団時代の後輩が、役者として演じていて、自分は死体の役だけ。悲しい気持ちになりますが、吉田は、イケメンでもなく、口が上手い訳でもない。この芸能界で上手く立ち回るなんて出来ないんです。そんな自分にガッカリしながらも、今の仕事は辞められない。

 

ある日、ティッシュに入っていたチラシを見て、デリヘル嬢を呼びます。初めてだったので、やっぱり断ろうと思うのですが、玄関に立ったデリヘル嬢・加奈と話をし、家の中へ。ここら辺は、とっても笑えましたよ。こんなサービスもあります、こんなサービスもって言われると、つい、頼んでしまう吉田。完全に相手のペースに巻き込まれ、どんどんお金を巻き上げられちゃって、うーん、イイお客でした。

 

 

この出会いで仲良くなった二人。吉田は、また加奈を指名して呼んだりしています。その加奈が、妊娠検査薬で検査をしていて、吉田の家に1セット、忘れていくんですよ。それを、何故か吉田が使ってみたら、なんと、”陽性”となってしまいます。おいおい、男性が妊娠って、どういうこと?となって、慌てて色々と調べますが、全く原因が解りません。加奈に相談すると、あり得ないといい、穴が2つしかないのに、何処から出すんだよ!という話になります。笑えるでしょ。

 

でも、鶏の話をすると、鶏は穴が2つしかなく、卵はウ〇コの穴から出てきます。え?と思うでしょ。私、これを知って、カルチャーショックで、しばらく卵が食べられませんでした。だって、卵は出てくるとき、鶏のウ〇コまみれなんだよ。でも、ご安心ください。卵が作られる器官は腸とは別の所で、出口だけ一緒なんだそうです。ウ〇コまみれになったとしても、卵自体は綺麗ですし、もちろん、市販されている卵は、洗浄されて販売しています。でも、しばらくは食べられませんでした。(笑)

 

 

話を戻して、そんなアホなやり取りをしている一方、吉田の母親の具合が悪くなり、実家に帰ります。吉田はひとりっ子のようで、お母さんは息子をとても大切に思っているようでした。母親は元気そうに振るまいますが、あまり良いようではありません。吉田は心配しながらも、どうしようもなく、死というものを感じ始めます。自分はいつも演じているのに、リアルな死に向き合うと、どうしようもなく怖くなってしまう姿がありました。そりゃ、そうですよ。やっぱり怖いですもん。

 

加奈とは妊娠の話で盛り上がり、母親の具合は悪くなっていく。生と死の両面を見ることになり、自分を見つめ直すことになります。そして、最後の方に、どんでん返し?と言って良いのか、おおーっ、と思うような出来事が解ります。あ、そうなんだって思いました。ちゃんと、色々な謎が、ちゃんとスッキリ収まりますよ。


 

死を演じてきたけど、本当の事を何も知らずにやってきた吉田は、ここで本当に死と向きあって、生きながら死というものを演じることを、真剣に考えます。そして、同時に、生きる事に関しても、親の愛を感じて、今があることに幸せを感じます。

 

今まで、何となく生きて来た、何となく演じてきたことが、違って見えてきて、これからは、ちょっと違った生き方が出来るのかなという感じが見えました。死体の役しか出来ないのではなく、死体ならこの人と言われるほどに、極められるようになるんじゃないかな。

 

 

ひとつだけ、ごめんなさい。あのね、私、どうしても唐田さんが生理的にダメで、良い映画なんだけど、彼女が出てくると、否定的な目になってしまいました。スキャンダルの事なんてもう忘れて、一人の役者として見ようと思っても、どこかが反応して、悪い印象になってしまいます。なので、出来るだけ彼女を観ないようにしていたので、イマイチ、のめり込めませんでした。ごめんなさい。

 

奥野さんは、素晴らしい役者さんなんですけどね。彼は、バイプレイヤーの若手トップと言って良いんじゃないかな。悪役も良い役も何でも出来て、安心して頼れる役者さんですよね。好きな役者さんです。沢山の映画やドラマに出てますもんね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。良い映画でした。死体を演じながら、ちゃんと前を向いて生きていく吉田という人物が、最後はとても眩しく見えました。素敵な映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「死体の人」