「The Son 息子」大切な愛する息子。どんなに愛していても冷静な目で見てあげて欲しいです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「The Son  息子」

 

を観てきました。Fan's Voice独占最速プレミア試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

家族とともに充実した日々を過ごしていた弁護士ピーターは、前妻ケイトから、彼女のもとで暮らす17歳の息子ニコラスの様子がおかしいと相談される。ニコラスは心に闇を抱えて絶望の淵におり、ピーターのもとに引っ越したいと懇願する。息子を受け入れて一緒に暮らし始めるピーターだったが、親子の心の距離はなかなか埋まらず…。

というお話です。

 

 

ピーター・ミラーは、再婚した妻であるベスとの間に息子が生まれ、仕事では、弁護士の仕事と予備選を控え、順風満帆という日々を送っています。

ある日、元妻のケイトが、突然に家を訪ねてきます。何事かと言うと、二人の息子であるニコラスが学校に行っていないというんです。今朝、校長から電話があり、それを知ったらしく、17歳になるニコラスは、何かで落ち込んでいるようで、何を聞いても苦しいというばかりのようでした。そして、父親と暮らしたいと言い出します。

ピーターはベスに相談し、ニコラスをしばらく引き取って、一緒に暮らすことにします。学校での虐めでもあったのかもしれないと思い、新しい学校に転校させました。これでニコラスは安定するかもしれないと期待をします。



 

一方、ピーターは、父親の具合が悪いようだと人伝てに聞き、父親の家に寄ることにします。ピーターと父親の関係は悪く、仕事一筋の父親を軽蔑しており、自分だけは良い父親になりたいと思っています。父親を訪ねても、相変わらずの態度に嫌気がさして、直ぐに帰ってきました。

ニコラスも安定し、何事も無く幸せに暮らして行けると思っていた矢先、学校から電話があり、ニコラスが最初の日以降、一度も学校に行っていないと連絡が入ります。驚いたピーターは、とうとうニコラスに怒りをぶつけます。するとピーター不在時に、ニコラスは自殺を試み、病院へ運ばれることに。そして…。  後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、フロリアン・ゼレール監督の戯曲を、彼自身が映画化したものです。2年ほど前に、日本でも舞台化され、「Le Fils 息子」という題名で上演され、岡田健一と岡田圭人の親子が演じて話題になりました。私も観に行きたかったのですが、なんたって圭人さんはジャニーズの子ですから、チケットを取るのが難しく、断念したんです。その舞台が、映画化されて、日本で公開されるのは嬉しい事です。舞台でも観たい内容ですが、映画でも、心に迫る感動作でした。

 

主人公のピーターのような立場の人って、現代は多いですよね。離婚をして、子供は前妻が養育しており、自分は再婚して子供が産まれる。そして前妻との間の子供に問題が起きてしまい、振り回されることになり、仕事にも影響が出てしまうって、よくあることです。でも、自分の子供だからね。振り回されようがどうしようが、仕方のないことです。

 

 

子供の身になって見れば、父親は一緒には暮らしておらず、時々会っては未来の展望ばかり、母親はうるさいことばかり言い、頼りになる人がいなくて、不安で不安で潰れそうになってしまう。気持ちは、よく解るんです。学校に行っても役にたつとは思えないことばかり、周りの生徒は親の言いなりで、不安など何もなさそうに見える。何で自分だけ、こんなに不安なのか。自分でもその理由はわからないけど、不安で怖い。

 

こういう気持ちって、大体、14歳頃や17歳頃に、起こるよね。もうすぐ高校、もうすぐ大学、新しい世界に入る前に、みんなと同じことをしていて良いんだろうかと考えてしまう。当たり前です。新しい世界に入るのに、何も考えずに周りと同じことをしろと言われても、頭が良ければ良いほど、ロボットのような行動で良いのかと考えてしまう。勉強をした先に、何があるのか。父親と同じように仕事をし、心を無くして良いのか。

 

 

それに、両親が離婚する時の辛い状況が、自分にも起こるのかも知れないというのが我慢出来なかったのもあるんじゃないかな。自分に好きな人が出来たとしても、父親と同じように裏切ることになるんじゃないかという、それも不安の一つだったと思います。どんなに好きでも、それって続かないのかも知れないと思ったら、不安ですよね。

 

そんな不安がたくさん押し寄せて、心が壊れてしまう。そんな時、親の力だけでは、もう無理になることも多いのではないかと思います。専門家に任せないと、不安は取り去ることが出来ません。適切な時に、適切な人物が対処しないと、間違った方向に向かってしまう。その見極めって、難しいですよね。どんなに子供を愛していても、間違う事はあると思います。難しいと思いました。

 

 

ピーターは、自分が自分の父親に厳しく育てられ、愛情を貰えなかったという気持ちがあるようで、息子に対しては、厳しく出来ないんです。自分と同じ気持ちを味合わせたくないと思ったのかな。確かに、自分が一番大切な親っていますから、子供に対して、俺の子供ならこれくらい当たり前に出来るだとと押し付ける親もいると思います。そんな親に対して、不満があるなら、大人になってからでも、”あんたの事、嫌いです。”って言っていいんですよ。親が悪いんだから。何も我慢しなくていいんです。でも、親に不満があるからって、殺すのはダメよね。最近、ニュースで母親を殺したとか聞くので、殺すくらいなら、離れることをお薦めします。

 

うーん、凄く考えさせられる映画でした。これ、舞台も観たかったなぁ。良い作品です。これは、誰にでも起こりえる事で、その時の判断が難しい、究極の選択を迫られる事です。でも、いつ、自分に起こったとしても、その自分の選択を、間違いだったと思わないことが大切です。でないと、自分が潰れてしまうから。全て、仕方が無い事で、罪悪感を持ってしまうと、自分が壊れてしまいます。どんなことも運命なので、自分を責めてはいけません。誰も悪くないんです。

 

 

やっぱり、ヒュー・ジャックマンが上手いです。離婚してしまった事で息子に悪いと思っているけど、自分の人生もあるし、という葛藤を見事に演じていました。完璧な父親なんかになれませんもん。仕方ないです。その上、父親のアンソニー・ホプキンスとの確執もあり、可哀想な息子としての姿も演じていて、人間って、こんな感じよねって思いました。

 

そんな事を考えてしまう映画でした。良い作品だったなぁ。これを岡田さん親子が演じたんだと思うと、うーん、観たかった。また、再演してくれることを願っています。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。どんな家庭にも起こりえる現実を、リアルに再現しており、それぞれの心の動きを良く描いていると思いました。この作品は、色々な人に観て欲しい。きっと、どの人物にも、自分が当てはまる部分があって、考えてしまうと思います。人間だから、どんなに考えても限度があるんですけど、精一杯考えての決断なら、後悔しない方が良いです。”なるようになる”なんです。そんな事を思う映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「The Son  息子」