「フェイブルマンズ」
を観てきました。
ストーリーは、
初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされる。家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し、夢を追い求めていくサミー。母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親はその夢を単なる趣味としか見なさない。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく。
というお話です。
1952年10月の夜、ニュージャージー州ハドンタウンシップで、ユダヤ人の夫婦のミッツィとバート・ファベルマンが幼い息子のサミーを連れて、映画館を訪れます。初めての映画を怖がるサミーに楽しいからと言って、セシルB.デミルの「地球上で最大のショー」観ます。
電車激突のシーンに魅了されたサミーは、模型を組み立て、映画の事故シーンを何度も再現します。サミーの意図を理解したミッツィは、バートの8mmカメラを使用してクラッシュシーンを撮影し、何度も楽しめる事を教えます。
サミーは撮影を覚え、妹のレジー、ナタリー、リサを撮影したりしていました。父親バートはそれまでの仕事が認められ、アリゾナ州フェニックスの会社に引き抜かれます。彼と家族は1957年初頭にそこに引っ越します。ミッツィの願いで、バートの親友でビジネスパートナーのベニー・ローウィも一緒に行くことに。
数年後、10代のサミーは映画を作り続け、そして家族でキャンプに出掛けた時も、サミーが休暇の撮影をしていました。ある日、祖母が亡くなり、母親が酷く落ち込んだ時、父親がサミーにキャンプの映像を編集して、母親を楽しませて欲しいと言い、映像によって、ミッツィは元気になります。しかし映像を編集中に、サミーはミッツィとベニーが浮気をしている事に気が付いてしまいます。
バートとミッツィそしてベニー、大人の世界の難しさと感じたサミーは、高校での恋愛も体験し、自分も大人の世界へと、足を踏み入れていきます。そして彼の未来は…。後は、映画を観てくださいね。
とても良い映画で、スピルバーグ監督の自伝的な映画だと聞き、こんなに小さな頃から、映像に興味を持っていたんだなという事が、よく解りました。でも、何度も列車を衝突させて喜んでいたというエピソードは、ちょっと怖いなぁと思ったかな。物を壊すということで快楽を得るというのは、その後、命を壊すという事に繋がりかねないという精神医学的な事があるので、変な方に行く前に、母親が映像に撮れば、何度も壊す必要は無くなると教えたので、良かったのかもしれません。
子供の頃からカメラを回し、映像の美しさを自然と学んだのでしょう。母親がピアニストだったこともあり、芸術的なセンスもあったんでしょうね。美しいモノが解かったのだと思います。一方、父親がエンジニアだったようで、この映画では、小さな会社から引き抜かれて、最後はIBMで開発をしたりしていたようでした。両親とも、兄妹とも仲が良くて、楽しそうな家庭に見えましたが、高校の頃に、母親の浮気に気が付いて、そこからは苦しそうでした。
でも、夫の友人と浮気するって、やっちゃいけない事だよなぁと思いました。もちろん浮気は良くないですよ。でも、夫と全く関係の無い人なら、まだ許せるけど、夫の友人でしょ。完璧な裏切りじゃないですか。いくら素敵だなと思っても、そこは踏みとどまらないといけないんじゃないの?
夫の立場だったら、妻にも友達にも裏切られるって事でしょ。心はボロボロになるよね。これは、いくら何でも、ダメなケースでしょ。浮気相手が、ずーっと家に遊びに来ていて、子供たちとも仲良くしていたのに、突然に、本当の父親と別れて、昨日まで知り合いのオジサンだった人が父親になるんでしょ。それって、子供の教育上も良くないよね。うーん、酷い母親だと思いました。
確かに、ミッツィという女性は、とても奔放で、考え方が柔軟な人だったようでした。というか、柔軟過ぎるかな。主婦として生活をしていたけど、人前でピアノを弾くことになったら、突然に食事の皿やフォーク、ナイフを使い捨てのモノに買えて、手を傷つけるかもしれない洗い物などを辞めてしまうんです。人前でピアノを弾くことになっただけなのに、凄い徹底しているでしょ。極端なんですよ。そんなバランスの悪いミッツィなので、精神的にも弱くて、バートのように生真面目な人だと、結構、辛かったんじゃないかな。バートは、とっても良い人なんだけど、真面目なんですよ。
ミッツィは芸術科タイプでバートは技術者タイプ、息子のサミーは、どちらも受け継いだようで、芸術的な部分で映像の撮影を行っていたけど、技術的な部分の受け入れや吸収も早かったようでした。だから、あの映画の変革期というか、特撮からCGへの移行や、撮影技術のアナログからデジタルへという時代に、それ程問題無く、活躍出来たのかなと思いました。
高校時代に、カリフォルニアへ引っ越して、新しい高校へ行くのですが、そこでユダヤ人だという事で、酷い虐めに合います。アメリカはユダヤ人の国のように思っていましたが、アメリカでもユダヤ人差別のようなものが合ったんですね。地域によって違うのかもしれませんが、アメリカでユダヤ人が差別されるというのに、ちょっと驚きました。黒人差別なら、肌の違いで直ぐに分かりますが、ユダヤ人って、どうやって見つけているのかなと思ったら、名前や苗字で判るようですね。何処に行っても、何かしら、文句を言う人たちっているんですね。
両親の問題や、高校での虐めなどを経験して、段々と大人になっていくサミー。サミーだけは、大学まで父親と一緒に暮らしていたようですが、妹たちは、母親に付いて行ったようでした。父親と暮らしていたカリフォルニアで、映画関係の仕事に入ったようです。詳しくは描かれませんが、サミーは、大学に言っていたんだけど、どうしても合わないと言っていて、中退するんです。
スピルバーグ監督自身は、大学に行きながら、ユニバーサルスタジオに入り浸り、スタッフたちと仲良くなってしまって、大学が詰まらなくなってしまったらしいんですね。で、ユニバーサルに契約で雇ってもらえることになり、大学を中退となったらしいんです。実際とは、ちょっと違うように描かれていましたが、ジョン・フォード監督に遭ったというエピソードは、本当の様です。この映画では、ジョン・フォード監督役を、なんと、あのデヴィッド・リンチ監督が演じていました。顔に口紅を沢山付けて帰ってきた姿には、笑ってしまいました。面白いですよ。
何ていうのかな、両親は離婚したのだけど、どちらが悪いとは描かず、それぞれの個性が違っていたから一緒にはいられなかったと言っていて、バートもミッツィも、お互いに愛し合ってはいるんだけど、それ以上にミッツィには一緒にいたい人がいたというように描かれていました。うーん、一緒にいて楽しくないなら、別れて、友人として付き合うのが良いかもしれないですね。ま、バートは、別れても本当に好きだったようで、写真を見るだけでも、心を痛めていて、可哀想でした。
色々な人生があるから、別れるでも、我慢するのでも良いけど、一緒にいて苦しいのは良くないと思いました。それは、子供たちに対しても、精神的に圧迫してしまう部分が出てくると思うので、よく考えるべきですよね。サミーは、母親の不倫を知り、ショックを受けてましたもん。そりゃ、そうよね。息子は悩むよねぇ。
この映画、スピルバーグ監督の自伝的な映画で、サミーの成長を描いて行きますが、結構、両親の生き方についても描いていて、彼らの姿が、サミーにとても影響を与えたんだなという事が描かれていました。ミッツィ役のミシェル・ウィリアムズさんが上手くて、彼女に振り回されるけど、ずっと静かに我慢しているのが、バート役のポール・ダノさんで、良かったです。セス・ローゲンが浮気相手のダニーを演じていて、最初は明るくて良いオジサンなんだけど、時間が経つにつれて、ちょっと怪しげな姿が見えるようになり、うーん、魅力的でした。彼に惹かれるのも解る気がするんだよなぁ。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。自伝的な映画なので、何か大きな事件が起こったり、ドキドキハラハラなどはありませんが、ジーンと心に沁みる感動作だと思いました。こんな事があったから、あんな素晴らしい映画が出来て来たんだなと、観た後に思いました。とても良い映画なのですが、ちょっと物足りなさはあるかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「フェイブルマンズ」