「オマージュ」1960年代、男社会の映画界で撮られた女性監督の作品を修復することは出来るのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「オマージュ」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督の女性ジワンは、60年代に活動した女性監督ホン・ジェウォンが残した映画「女判事」の修復プロジェクトの仕事を引き受ける。作業を進めているとフィルムの一部が失われていることがわかり、ジワンはホン監督の家族や関係者を訪ね、失われたフィルムの真相を探っていく。その過程で彼女は、今よりもずっと女性が活躍することが困難だった時代の真実を知り、フィルムの修復が進むにつれて自分自身の人生も見つめ直していくことになる。

というお話です。

 

 

ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督のジワン。彼女が引き受けたのは、60年代に活動した韓国の女性監督、ホン・ジェウォンが残した映画「女判事」の修復作業だった。

欠落した音声を吹き込み、フィルムを完成させて欲しいと言われたのだが、作業を進めていくと、フィルムの一部が失われていることに気づく。検閲で切られたのかもしれないというが、その内容とフィルムがなければどうにもならない。

ジワンは、「女判事」の脚本が無いかと、ホン監督の家族や関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく。ホン監督の娘から手紙などを借り、編集に携わっていた女性の元を訪ね、話を聞いてみると、その頃に「女判事」を上映した映画館を探してくれる。



 

50年も前なので、ほとんどの映画館は潰れており、残っていた映画館を訪ねるが、既に閉館が決まっていて、電気も通っていない。仕方なく、次の日の昼に行き、フィルムを探すが見つからなかった。

映画を撮り続けたいという思いを抱きながらも、ジワンには母、妻としての日常生活がある。キャリアの曲がり角で立ち往生しそうになっている彼女がはじめた、失われたフィルムをめぐる旅。そこでジワンは、女性が映画業界で活躍することが、今よりもずっと困難だった時代の真実を知る。

夢と現実、現在と過去。その狭間を行きつ戻りつしながらも、ジワンはフィルムの修復とともに自分自身を回復させるようかのように人生を見つめ直し、新しい一歩を踏み出していく。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、じんわりと心に沁みてくる感動作でした。この映画が描いている、女性の悔しさと虚しさ、哀しさを、解ってくれる人たちはいるんだろうか。どんなに良い映画を撮っても、女の作品と言われ、いつも男の影に押しやられて、予算も貰えず、映画制作を続けられなくなるという悔しさを「女判事」という映画を追っていく中で、描いて行くんです。1960年代では、出る杭は打たれるではなく、出る女は打たれるだったのでしょう。まだまだ、性差別が強く残っていた時代です。女性は、家で家事をしていればよいと思われていたんです。

 

主人公のジワンは、映画監督を仕事にしながら、家庭では主婦として頑張っています。夫には家事をやれと言われ、息子にも監督をやめろと言われ、それでも今まではやって来たんです。作品は売れなかったかもしれないけど、仕事を両立してきたのは素晴らしい事だし、もう少し、夫も息子も優しくしてあげればよいのに、ちょっとドライでした。

 

 

でも、「女判事」の女性映画監督を追って行くと、女性というだけで、まともに取り合っては貰えず、随分と苦労をしたようだという事が解かってきて、今の自分が随分と恵まれていた事に気が付きます。映画の検閲なども、今とは比べ物にならないほど、厳しい制限があり、フィルムが切られてしまったりしたようでした。そんな厳しい中でも、映画を撮りたいという情熱を捨てずに、最後まで撮り続けていたんだと思いました。でも、その作品を最後に、もう、作品は撮っていないようでした。

 

ジワンは、性別の違いだけで、どうしてこんなにも差別的な扱いを受けなきゃいけないのかと考え始めます。そんな時に、ジワンは体調を崩し、病院に運ばれます。子宮筋腫じゃないかと思うのですが、手術を受けることになります。子宮の病気は女性だけでしょ。ストレスなどでも、酷くなることがあるし、やっぱり性別の違いもあるよなと、また、ここで考えます。もちろん、男性特有の前立腺ガンなどもあるけど、子宮と卵巣の病気は辛いですよね。

 

 

この映画は、とても誠実な描き方をしているなと思ったのですが、どんなに男女同権と言っても、身体のつくりの違いがあるし、それぞれに得意な部分がありますよね。脳も、男女で違うと言われています。だから同権と言っても、お互いに理解し合って、得意な事をやり合えば良いと思うんです。だって、同じようには出来ない事もあるでしょ。女性は、毎月生理が来るし、妊娠したら激しい運動も出来ないですもんね。

 

昔は、男女差別は酷かったけど、今なら、それを上手くやって行けるような気がするんです。随分と周りの意識も変わってきたし、映画業界でも女性の影響力が強くなってきたでしょ。これからは、女性監督にも、どんどん大作の監督をして欲しいな。アクションとか、フィルムノワールとか、男性監督の仕事とされていたのを、女性もやって欲しい!新しい視点が見えてくるんじゃないかしら。だって、人間の身体を綺麗に映せるのは女性だと思うのよね。美しいアクションや、ハードボイルドを、女性に撮って欲しいです。

 

 

そうそう、ジワンが、マンションのご近所さんのポストが手紙で一杯になっていて、玄関ドアにも貼り紙があって、気にしていたんです。そしたら、マンションの駐車場で女性が一人で自殺したという事件に遭遇します。まさか、あの部屋の人かしらと、ずーっと気になっているんです。きっと、以前から女性の一人住まいだなと知っていて、もしかして悩んで亡くなったのかもと、心に残っているんです。すると…。この事件の顛末は、映画で確認してください。これも、ジワンの考え方を変えてくれます。

 

一見、女性全てが苦しんでいるように思うけど、実は、それぞれがそれなりに上手く生きていて、ちゃんと、みんな戦っていて、勝ってきているんです。だから、今の時代、これだけ女性が進出してきているんでしょ。女性の力は、捨てたもんじゃない。でもね、別に、男性を潰そうとかしているんじゃなくて、一緒に生きていきたいと思っているんです。男性の付属品のように扱われてきた時代があったからこそ、付属品ではなく、一人の人間として、並んで歩きたいなってだけなのよ。そこら辺を、解って欲しいなって、この映画は言っているように、私には見えました。

 

凄く良い映画で、なんか、あの「パラサイト」のお手伝いさんが、こんな可愛い女性監督を演じているなんて、笑ってしまいました。あのお手伝いさん、ちょっと怖かったですもん。(笑)今回は、本当に普通のオバサンで、とても素直な女性の役でした。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。良い映画でした。男性も、この映画の意図しているところ、解ってくれるかしら。差別に対して喧嘩を売っているんじゃなくて、一緒に歩いて行きたいってだけなんだよって事が、描かれています。特に、病院から夫婦で出てくるところは、とっても素敵な夫婦でしたよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「オマージュ」