「ワース 命の値段」命に値段は付けられないけど、どこかで線を引かないと諦めがつかなくなる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ワース 命の値段」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを受け、米政府は被害者と遺族救済を目的とした補償基金プログラムを立ち上げる。その特別管理人を任された弁護士のケン・ファインバーグは独自の計算式により、個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、被害者遺族が抱えるさまざまな事情と、彼らの喪失感や悲しみに接する中で、いくつもの矛盾にぶち当たる。

というお話です。

 

 

2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生した。未曾有の大惨事の余波が広がる同月22日、政府は、被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを立ち上げる。

プログラムを束ねる特別管理人の重職に就いたのは、ワシントンD.C.の弁護士ケン・ファインバーグ。調停のプロを自認するファインバーグは、独自の計算式に則って補償金額を算出する方針を打ち出すが、彼が率いるチームはさまざまな事情を抱える被害者遺族の喪失感や悲しみに接するうちに、いくつもの矛盾にぶち当たる。



 

命の値段を、亡くなった人物の仕事の給料や年齢から算出するという計算式だったが、仕事内容によって、命の値段が変わるのはおかしい。人間は平等だろうという遺族に対し、命の価値は平等だが、何か基準を決めなければ誰もが納得しない。平等だが、公正に精査させて貰ったと説明をするファインバーグだったが、彼の説明には心が無く、納得出来ないという遺族が多数で、その筆頭が、チャールズ・ウルフだった。

被害者遺族の対象者のうち80%の賛同を得ることを目標とするチームの作業は停滞する一方、プログラム反対派の活動は勢いづいていく。プログラム申請の最終期限、2003年12月22日が刻一刻と迫るなか、苦境に立たされたファインバーグが下した大きな決断とは。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、9.11同時多発テロ事件の後に、国が行った保証についてのお話なのですが、どちらの言い分も解るんだけど、難しいなぁと思いました。言っている事は、どちらも正しいんです。でもね、気持ちの問題が絡んでくるから、簡単には合意が出来ないんだと思うんです。弁護士たちは、こんなに尽くして良い提案をしているのにと思うだろうけど、被害者遺族たちは、お金じゃなくて言い方の問題なんだよ!っていう事なんです。

 

あのテロ事件で、ツインタワービルが壊れて、沢山の人が亡くなりました。あのビルの倒壊は、ハッキリ言って、建築をやっている人間にも予想が出来なかった事です。ジェット燃料の熱量で、あんな風に熱が伝わって、ビルが倒壊するなんて、想像が出来ませんでした。その後、検証されていますが、防ぎようが無いですよ。だって、超高層ビルを建てるのに、鉄骨や鉄筋を繋げていなかったら建ちませんから。今は、凄い人たちが何か考えてくれているのかもしれませんが、まず、ジェット燃料を積んだ飛行機が突っ込んだら、どうしようもありません。恐ろしい事です。突っ込む前に撃ち落とすしかないんです。

 

 

そんなテロ事件の後、国は遺族への補償をどうしようか考えます。もし、遺族が飛行機会社や国を訴えたら、テロ事件ですから遺族が勝つ見込みは無いとしても、弁護費用が莫大になり、飛行機会社は倒産してしまいます。アメリカで飛行機が飛ばなくなったら、経済の打撃は計り知れません。何とかして、訴訟を止めなければと考えた国は、弁護士のケン・ファインバーグに遺族との交渉を頼みます。

 

そこでファインバーグは交渉にあたって、遺族への補償金の金額をどう決めるかを検討します。一律に同額では、会社のCEOや、高額所得者の家族が不満を訴えます。となると、所得金額によって算定基準を決めていくしかなく、計算式を作成し、それに沿って、交渉を進めることにするんです。

 

 

でも、遺族からしてみれば、命に優劣は無く、みんな一緒でしょと言うんです。確かにそうなんだけど、何か基準を決めなければ、今まで月20万で暮らしていた家族と、月200万で暮らしていた家族に同額しか払わなかったら、20万の家族は贅沢が出来ても、200万の家族は家賃も払えないかもしれない。問題が出てくるんです。そこを、理解して欲しいと訴えるのですが、ファインバーグの言い方や態度が、遺族を怒らせて、交渉は決裂します。

 

一般的な弁護士って、書類を見せて、ここに書いてあるからという言い方をするでしょ。そうじゃないのよね。相手の話を聞いて、書類上にはこういう事が書いてありますと説明して、さて、どうしましょうかと相談に乗るべきなんですよ。相手も人間なんだし、家族が被害に遭っているんだから、気持ちがまだ追いついてきていないんです。そんな時に、機械的にいくら払いますなんて言われても、腹を立てるだけですよね。この人、バカだなぁと思いました。偉そうに弁護士というけど、営業マンと一緒なので、そこは、相手の話を聞くところから始めなくちゃ。

 

 

チャールズ・ウルフという、遺族側の代表者のような人物が出てきますが、彼は、とても冷静で理性的です。どちらの言い分も良く理解しながら、遺族としての言い分をファインバーグにぶつけます。彼も奥さんを亡くしている遺族なんです。ウルフの言葉に気が付いたファインバーグは、自分の取り組み方が間違っていたんだと気が付いて、そこからは、遺族の人々に、真摯に向き合っていきます。

 

色々は人達がいました。同性婚をしていた方は、ニューヨーク州では認めれていても、被害者の実家のあるバージニア州では認められておらず、遺族としては認められませんでした。不法移民の被害者の遺族は、交渉の末、補償金が受け取れることになります。

 

 

消防署員の男性は、正式な妻と子の他に、浮気相手とその間に2人の子供がいる事が解かり、子供は補償金を受け取る権利があると弁護士から連絡があり、ファインバーグは困り果てます。正式な妻が補償金を受け取ると言わない限り、婚外子は受け取ることが出来ません。そんなワチャワチャした案件が山とあり、どうなるんだろうと思いましたが、まぁ、何とかまとまりが付きます。

 

何千人という人が働いていて、亡くなったのですから、それぞれに人生があり、歴史がありますよね。だから、簡単に補償金をあげますから納得してくださいと言っても、相手は怒るだけで話し合いにならないのも理解出来るんです。だって、テロがあってから、10日後くらいに、この補償基金が設立されて、計算式などが作られたのですから、遺族にしてみれば、まだ悲しんでいる途中に何言ってんだよ!金の問題じゃないんだよ!って怒りますよね。

 

 

未曾有の事件だったので、誰もが初めての事ばかり。本当に大変だったんだなという事が、この映画に描かれていました。それにしても、よく、あんな酷い事をしたなと思います。アメリカの人々が、イスラムの人々に悪い印象を持つのも、解らないではないです。だって、あの酷い映像を観た後は、少し私もおかしくなりましたもん。大きなビルは怖いし、飛行機もあまり乗りたくないし、あの映像を観る度に恐ろしくて、知らぬ間に涙が流れていたりしました。もう、二度と、あんな事は起こって貰っては困ります。なので、こんな命の値段を計算することも、二度とあって欲しくないなと思いました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。とても解りやすく、テロ事件の後にあったことを描いてくれていたと思います。マイケル・キートンの自信ありげな表情が不安に変わり、自分の間違いを認めて動き出すところまで、観ているこちらに気持ちが伝わってきて、やっぱり上手い人だなと思いました。彼と対するスタンリー・トゥッチも上手いので、心に沁みました。面白い映画でした。とても真面目な映画なので、頭を使います。疲れている時にはお薦め出来ないかな。でも、素晴らしい映画なので、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ワース 命の値段」