【演劇】観貯めた演劇の感想を。「しびれ雲」「ツダマンの世界」の2作です。続けてもっと書く予定です | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「しびれ雲」

 

日本の何処とも判らない”梟島”。亡くなった夫の七回忌の準備で忙しく動いている波子。何故か、妹の千夏がやってこないので探しに出てきた。すると、千夏の夫が昨日から帰ってこないと言うのだ。直ぐに友人の家で見つかり、支度を始める。波子に思いを寄せる佐久間や、他の亡き夫の友人たちも集まってきた。

 

そんなある日、海辺に記憶を失くした男が寝ていた。海に入ったらしいが、打ち上げられたようだ。フジオと名付けられた男は、波子の家で預かる事となり、何やら心がざわざわし始めるが、梟島では、みんな変わらずに和やかに暮らして行く。というお話でした。

 

おばけ        

 

小さな島に暮らす人々は、何やら色々な事があっても、誰もが顔見知りで、心配事を、そう心配事として考えず、穏やかに暮らすことを優先しているので、事は大きくなりません。みんな、それはそれで納得してしまい、多くを求めないんです。

 

その島で出来る事、その島で生きていくことを優先し、それ以上の事を欲することをしない人々は、一見、やる気がないように見えますが、実は、人間として確実に前に進んで生きていく事だけを欲しているんです。自分たちの生活を守っているんです。

 

そんな内容でした。昭和10年代のお話として描かれているので、これから戦争に突入するか、又は既に戦争が始まっているのかもしれないのですが、離れた島だから、一見、その影響もないように見えるけど、空に浮かぶ「しびれ雲」が、何か不穏な空気を醸し出して、彼らにも不安を与えていたんじゃないかな。何の変化も無い生活が続けられるしあわせを、描いていたように感じました。

 

時には変化も必要だけど、変わらないしあわせを堪能するのも、また、人間の良さじゃないのかなと思いました。良い舞台でした。やっぱりKERAさんの作品は、何か、心に沁みてきます。じーんとして、感動でした。やっぱり、たまきさん美しい!もう、大好きです。

素晴らしい舞台でした。うーん、また観たい。

 

 

 

「ツダマンの世界」

 

小説家・津田万治家の女中・オシダホキや、縁ある人々からの視点で振り返る、津田万治=ツダマンの半生。それは昭和初期から戦後にかけての物語。

生まれてすぐ母と離れ離れになり、義母に育てられた万治。十歳で父が他界すると、育ての母からいびられて何かと反省文を書かされたことが彼ののちの文章力につながっていく。万治の小説家人生はそこから始まった。

地味に小説を書き続ける中、中年にさしかかった頃、ようやく新作が文壇最高峰の月田川賞の候補作に。それを機に、賞の選考委員でもある万治の幼なじみ、大名狂児が薦める戦争未亡人の”数(カズ)”と結婚することとなる。だが万治には、劇団の女優にしてカフェで歌も歌う神林房枝という愛人がいた。また、数との結婚話が進む中、弟子になりたいとやってきたのが佐賀の豪商の三男坊、長谷川葉蔵で、彼のそばには常に世話係で番頭の強張一三の姿もある。

やがて大名に続き、万治のもとにも徴用令状が。戦地へと向かうことで人間関係は微妙に変貌し始め、そこに葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女、兼持栄恵なども現れ、万治と数と葉蔵を取り巻く人間たちの愛憎関係は、さらに複雑に絡み合っていく。 というお話でした。

 

波

 

戦前、戦中、戦後に、小説家として有名になりたかった津田万治という男のお話なんだけど、もう、めちゃくちゃなのよ。この万治、美しい妻を友人の紹介で娶るんだけど、歌手の愛人も手放さず、どっちつかずでいい顔をしながら、好き勝手をやっているんです。で、万治は、自分はとっても上手くやっていると思っているんだけど、実は、戦争未亡人の数は、大名と色々とあったりして、みんな、好き勝手しているんです。そこに、葉蔵という若者が混ざってきて、人間関係が、どんどん面倒になっていくという内容です。

 

もー、阿部さんが最高でした。いつものあのスピードで、ワイワイ進んで行くから、え、そんなんでイイの?って考える間もなく、人間関係がぐちゃぐちゃになっていくんです。その人間関係の中に、小説家として有名になりたいという願いがあるんです。

 

万治は、ある程度の名声は得ている小説家なのですが、これと言って素晴らしい賞などを貰った事が無いんです。なので、一度で良いから文学賞のようなモノが欲しいと考えていて、今度の選考委員会に大名が入るというので、仲良くして、自分を選んで欲しいと考えているんです。

 

もう、インチキでも何でもいいから賞を取らせてくれれば、確実に有名になるじゃんって事で、大名がいるから大丈夫と思っているんだけど、戦争が起きちゃって、大名が選考委員を外れ、賞が取れずにガッカリしていると、万治にも召集令状が届いてしまいます。この頃の人々は、やりたい事があっても、全て戦争に潰されて、思うように生きれなかったという事なんだと思いますが、そんな中でも、万治は、必死でもがいて生きていました。生命力強って思いましたもん。

 

 

阿部さんと皆川さんは、いつも通りのパワフルな演技でした。間宮さんはカッコ良かったなぁ。吉田さんは、万治の義母と妻を演じていて、どちらも美しく、時に厳しく、ちょっと笑える役でした。江口さんは、そんな人々を、”家政婦は見た”状態で、伝えてくれる役でした。面白かったです。この時代を、苦しみながらも生きた人々の群像劇でした。松尾スズキさんの原作なので、辛いけど笑えるって内容でした。

 

この2作品だけ、やっと感想が書けました。続けて、まだまだ書いて行かないと、演劇の感想が溜まってしまって、大変です。こうやって残しておかないと、脳の中の引き出しにはしまってあるんだけど、引き出せないからね。きっかけさえあれば、引き出して思い出せるので、こうやって記しておかなければ。

 

やっぱり、演劇は素晴らしいです。今も、定期的に観に行っていますが、生で観るのは、やはり最高です。映画も良いですが、その1回をお客様の前で演じるというのは、役者さんたちも痺れるだろうし、観る方も、新しい世界を観れたような気持ちになるんです。ぜひ、演劇も観に行ってください。これは、その人の財産となるモノだと思います。

 

では、また、他の演劇も書いて行きます。お楽しみに。カメ