「アラビアンナイト 三千年の願い」
を観てきました。
Fan's Voice独占最速プレミア試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
古今東西の物語や神話を研究する学者アリシアは、講演先のイスタンブールで美しいガラスの小瓶を買う。ホテルの部屋に持ち帰ると、中から巨大な魔神が飛び出し、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」をかなえると申し出る。しかし物語の専門家であるアリシアは「願い事」を描いた物語にハッピーエンドがないことを知っており、魔神の誘いに疑念を抱く。魔神は彼女の考えを変えさせようと、3000年におよぶ自らの物語を語り出す。
というお話です。
古今東西の物語や神話を研究するナラトロジー="物語論"の専門家アリシアは、 講演のためトルコのイスタンブールを訪れた。講演中、会場内に何故か実際にはいないはずの古代ペルシャ人が見え、自分に向かってくる幻覚を見て倒れてしまう。
目を覚まし、会場を後にするアリシア。気を取り直して、バザールに出て、美しいガラス瓶を買い、ホテルの部屋に戻る。ビンが汚れているので、ブラシで磨いていると、蓋が外れて、中から突然巨大な魔人〈ジン〉が現れた。
意外にも紳士的で女性との会話が大好きという魔人は、 瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」を叶えようと申し出る。 そうすれば呪いが解けて自分も自由の身になれるというのだ。
だが物語の専門家アリシアは、その誘いに疑念を抱く。 願い事の物語はどれも危険でハッピーエンドがないことを知っていたのだ。 魔人は彼女の考えを変えさせようと、 紀元前からの3000年に及ぶ自身の物語を語り始める。
その昔に彼が瓶に投獄された話、次に願いを3つ叶える前に殺されてしまった話、次に瓶を見つけたは良いがそのまま海に投げ捨てられてしまった話。4つ目は知識のある女性と出会った話。どれも上手く行かない話だった。
話を聞いたアリシアは、魔人も、さらに自らをも驚かせることになる、 ある願い事をするのだった。後は、映画を観てくださいね。
夢のある、ちょっと大人のおとぎ話って感じで、私は好きなタイプでした。アラビアンナイト=千夜一夜物語、をモチーフにしたお話です。魔法のランプならぬ、魔法のガラス瓶を手にしたアリシアは、こするというか、洗っている拍子に蓋を開けてしまい、そこから魔人=ジンが出てきます。
瓶から出してくれたお礼に、3つの願いを聞きますって言うんです。ま、よくある話だわね。でも、そこでアリシアは、「歴史上、3つの願いを叶えて貰ってハッピーエンドで終った話は無いのよ」と言って、願いをするのを断ります。もちろんジンは大慌てで、願ってくれないと、自分にかけられた魔法が解けず、ずーっと閉じ込められ続けることになっちゃうと、半ベソで、お願いしてよって頼むんです。で、自分がどうして瓶に入る事になっちゃって、今まで、出ることが出来なかったのかという、長い長いお話をアリシアに聞かせ始めます。
三千年もの時間を、呪いを解くために費やしてきたジン。瓶の中に入っている時の方が長いけど、まぁ、色々なエピソードがあるんですよ。ジンがイドリス・エルバだから、なんか、凄い苦労してそうに見えるのよ。ディズニーのアラジンでは、ウィル・スミスが魔人だったでしょ。あっちは、悲壮感が無いんだけど、イドリス・エルバの魔人は悲壮感が漂っていて、もー、そんなに大変だったの?よしよしって言ってあげたくなるような感じで、ジンのそんな所に、アリシアはやられちゃったのかなと思いました。
アリシアは、ちゃんと願い事を始めます。今までのお話の願いとは違うけど、きっと、それなら二人とも幸せになれるんじゃないかと思えるような内容でした。アリシアは学者だから、理屈こねくり回して、これなら大丈夫と思って、願ったんじゃないかな。
実は私、この願いなら上手く行って、おとぎ話的なハッピーエンドになるのかもしれないと思ったんだけど、そこからの展開は、現代ならではの問題が出てきて、大変な事になっていきます。そこは、ネタバレになるから書きませんが、ちょっと悲しかったな。魔人も、そういうモノには弱いのねって感じの問題に考えさせられました。やっぱり、現代は病んでます。
色の使い方というか、画面の雰囲気が、ルネ・マグリットっぽくて、美しかったです。あの「マッドマックス」と同じ、ジョージ・ミラーさん?って思ってしまうほど、色のバランスや、派手な色と空の青、という感じが良かったです。アラビアの衣装とかは、凄く派手なんですけどね。
この映画、アラビアンナイトと同じように、アリシアが、ジンに話しをせがんで、長い長い話を聞いているような雰囲気なんです。あのシャフリヤール王が、毎夜、シェヘラザードに話しを聞き、悪行を辞めたというお話と同じように、アリシアは、”物語論”の学者で、”物語”は空想の域を出ず、未来的には科学的なものに負けていくというような理論を、最初の講演で話していて、謎のペルシャ人に襲われるんです。そして、その後にジンと出会い、物語の中の1人に自分がなっていき、きっと、物語は、科学的なモノには負けずに、これからも末永く語り継がれていくことになるんだろうという考えに変わったんじゃないかな。そのおかげで、物語の中に住んでいる人々は、消える事が無くなるという事なのかなと思いました。
アリシアは、一人で生きていて、学者として強い意志を持っている女性というイメージなのですが、段々と、美しいけど弱い女性に見えて、ジンと出会った事で、やっと自分の弱い部分も受け入れて、生きていく自信が出来たのかなという雰囲気に変わりました。人間って、やっぱり1人では生きていけないんですよね。誰かいてくれるからこそ、弱さも受け入れられて、それが強さになっていくんです。うーん、素敵でした。
イドリス・エルバさんとティルダ・スウィントンさん、ピッタリだったなぁ。ホント、最初の方は笑えましたもん。だって、願いを叶えるって言っているのに、願いなんて無いし、ハッピーエンドになったこと無いから願わないなんて言う人いる?大体は、有名になりたいとか、お金持ちになりたいとか、美しいままでいたいとか、そんな事を望むんじゃないの?私なら、今なら、ずーっと寝ていたいとか言っちゃうかもしれないな。(笑)それなのに、願わないと言い切るアリシアに、困っちゃうジンっていうのが、この二人が演じていると、笑っちゃうのよ。良かったです。
ここで、ちょっと映画のお話から外れるけど、私、映画好きだけど、マニアじゃないんだなと、今日、つくづく思いました。映画上映後に、ジョージ・ミラー監督が、リモートでQ&Aをして下さいまして、カメラがどうだとか、あの場面がとか、ホントにマニアの人が質問をしていたんです。でもね、私は一つもピンと来ないんですよ。
こんなに映画が好きなのにどうしてかなと考え、私は千夜一夜物語のシャフリヤール王と同じなのだと思いました。映画の話を観ている=聞いていることが好きなんです。ストーリーを次から次へと聞き、それによって、頭の中の考えをグルグル巡らせて、貯蓄して行くのが好きなんです。その1作の細かい部分にこだわったりするマニアではなく、物語を狩っていくいくシャフリヤールなんです。もちろん、大好きな映画は、詳細まで記憶していたりしますが、それはその映画の物語の一部なんです。
話が飛びましたが、このアラビアンナイトを観て、自分は、物語というものを大切に観ているタイプなんだなと改めて知りました。そうそう、この映画、3という数字がキーワードになっています。三位一体の3、素数の3、3つの願い、沢山の3が出てきますので、どこに3が隠れているのか、楽しみに観てください。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私、こういうおとぎ話的なファンタジーがとても好きなんです。昔から、アニメや漫画で読んでいたので、ワクワクするんです。今回も美しい学者とイケメン魔人ということで、素敵なおとぎ話でしょ。ちょっと笑えるけどね。素敵なお話でした。深く考えれば考えるほど、楽しめると思います。ジョージ・ミラー作品だけど、マッドマックス系じゃなくて、ベイブ系と思った方が良いですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「アラビアンナイト 三千年の願い」