「バビロン」豪華出演者による饗宴は素晴らしいですが、衰退期の描き方がちょっと辛かったな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「バビロン」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せて…。

というお話です。

 

 

1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。サイレント映画の大スター、ジャックは毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。彼の周りには、たくさんの映画関係者やマスコミなど、ありとあらゆる人々が集まってくる。そんな中に、まだ何者でもない二人が紛れていた。

新人女優ネリーは、招待状もなくパーティーに入ろうとし、警備員に止められてしまう。そんな所に、映画製作を夢見る青年マニーが現れ、連れとしてパーティーに紛れ込ませる。運命的な出会いを果たした二人は心を通わせる。恐れ知らずで奔放なネリーは、下品で粗野だったが、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。

 

 

しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。ジャックは、サイレント映画では大スターだったが、トーキーでの話し方が良くなかったため、その人気に翳りがさしてしまう。マニーは、いち早くトーキーの未来を予測し、多くの映画に関わり始める。プロデューサーとなり、ヘッドハンティングを受けて、大会社の重役となっていく。

 

ネリーは、サイレントでスターとなったが、トーキーになり、その行動が問題視され、どんどん落ちぶれていく。ヘロインにハマり、ギャンブル三昧の日々を送り、それまでに稼いだ金はあっという間になくなり、借金だらけとなってしまう。マネージャーをしていた父親も、娘の金が目当てだったために、何の役にも立たないようだった。

 

そんな3人の未来は、果たして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、出だしは勢い良く、その時代のハリウッドのバカ騒ぎを描いていて、本当に楽しい時代というのが伝わってくるんです。映画を作れば、沢山の人が映画館に詰めかける時代です。多くの娯楽が無かった時代、映画は庶民にとって、唯一の楽しみと言えたのではないかと思います。そんな時代なので、映画の主演をするジャックは、誰もが憧れる大スターでした。

 

もちろん本人も、今はとっても偉そうです。映画が始まった頃、出演者は大して大切にされておらず、労働者と同じでした。なので、舞台俳優などからは、レベルが低い人たちとして認識されていました。でも、ジャックが人気になったことで、俳優のレベルが上がり、賃金も上がったようでした。それについて、ジャックが、自分が映画俳優の立場を変えたと偉そうにいう画面があります。確かにそうだったのかなと思いました。

 

 

日本でも、舞台俳優の方がレベルが上だという認識が強く残っていましたよね。だから、舞台俳優は、あまりTVや映画に出演しなかったと思いますが、現代は、舞台俳優が映像にも進出してくれて、随分と映像のレベルも上がってきたように感じます。そして映像だけに出演してしていた俳優も、舞台に出演し、その技術を高めてきているので、全体的な俳優の技術が高まり、観る方も楽しめるようになってきました。

 

少し思うのが、俳優の技術は高まっているのに、TVなどの企画、構成など、作る方の能力が低いままなので、面白くないのかなと思っています。TVは、本当に面白くないですよね。大体、民法がNHKに、ドラマ制作で負けるなんて、恥ずかしいと思って欲しい。予算の問題じゃなく企画でしょ。“エルピス“のように、攻めた内容をやらないと、もっとTV離れが進むんじゃないかな。

 

 

話を戻して、サイレント映画で人気だったスターたちが、トーキーになり、人気を失っていきます。それまでのイメージがあるから、人々のイメージと違う声だったり、話し方が上手くなかったりすると、なーんだって事になりますよね。ジャックはまさに、それだったように思えました。見た目は超カッコいいのに、話したら酷いと思われたようです。

 

同じように、ネリーもサイレントに出演し、大人気になったのですが、トーキーになり、自分の声でやるようになると、何度も同じことをやらされ、話し方も指導され、色々な指示が入るようになり、彼女の性格からいって、我慢が出来ないことが増えたようでした。撮影所でも上手くいかないことが多くなり、下品で勝手な彼女は、段々と出演作が無くなります。

 

 

そんなネリーを心配したマニーは、自分の力を使って、ネリーに上品に振舞うための教育をし、再度、映画界で使って貰えるように、映画関係者のパーティーに参加させます。そのパーティーには、上流階級の人々が集まり、一昔前のドンチャン騒ぎの映画界パーティーとは違っていました。コカインも無く、上品だけど裏でドロドロとした欲望が渦巻く世界で、田舎育ちの奔放な娘が我慢出来るわけがありません。

 

マニーが、せっかく作ってくれたチャンスだったのに、ネリーはそれをぶっ潰してしまい、映画界から遠のくことになってしまいます。田舎から出てきた女性を、マイ・フェア・レディのように、ちゃんと教育してくれる教授のような人がいれば良いけど、そのまま人気が出てしまうと、いきなり持ったことのないお金を手にしてしまうので、こんな風に失敗してしまうのかなと思いました。

 

 

そんな映画界の転落劇を描いている映画なのですが、前半は、まとまっていて、とても観やすいのに、段々と、主役の3人がバラバラしてきてしまいます。哀しい顛末を描いているのに、どーも、それが心に響いてこないんです。

 

最初は絡んでいた3人ですが、それぞれが落ちぶれていくので、分かれてしまうのは解るんですけど、もう少し、関わらせられなかったのかなと思いました。トビー演じる、ハリウッドのボスが出てきますが、もっと前に彼が関わっていれば、最後の方でも、彼を中心として、3人の末路の描き方があったんじゃないかな。どーも、最後がしっくりこなくて、私は、ぼーっとしてしまいました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。前半は面白いです。大きく運命が動いていきますし、その時代の華やかさが描かれていて、とても楽しく観ることが出来るんです。でも、後半に、ちょっと失速するので、その部分をどう観るかで、好き嫌いが変わるかも知れません。私は、ちょっと残念と思ったのですが、人によっては、人の人生の儚さのようなものを感じるかも知れません。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「バビロン」