「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
を観てきました。
Fan's Voice独占最速試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
経営するコインランドリーは破産寸前で、頭の痛い問題だらけのエヴリン。そんな彼女の前に、突如として「別の宇宙(マルチユニバース)から来た」という夫のアルファ・ウェイモンドが現れ、混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせる。ワケも分からずマルチバースに飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、救世主として覚醒。全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じる。
というお話です。
今日もエヴリンは頭を抱えていた。経営するコインランドリーの税金問題で、国税局から呼び出しを喰らっていたのだ。領収書の山を選り分け、やっと書類も揃った。
今日は、国税局に行き、その後に父親の誕生日パーティーもしなければならない。ボケているが頑固な父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、盛りだくさんのトラブルを抱えたエヴリン。なんとか今日を乗り切らなければ。
通訳の娘・ジョイがエヴリンの嫌味で帰ってしまい、3人で国税局に着くと、トイレに行ったはずの夫が目の前に立ち、何故か襲ってきた警備員をカンフーで倒していく。
何故か夫に乗り移った“別の宇宙の夫”から、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と世界の命運を託される。
何のこと?と驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバースにジャンプしてしまい、カンフーの達人としてスターになった“別の宇宙のエヴリン”の力を得て、闘いに挑むのだが、なんと、巨悪の正体は娘のジョイだった! 後は、映画を観てくださいね。
うーん、おバカ映画の極みというか、大好きなタイプの映画ですが、これがアメリカで流行ったというのが、私には理解が出来ないなぁ。日本のギャグ漫画をそのまま映画にしたような内容で、はぁ?みたいな展開でも、そのままグイグイ行ってしまうんですよ。それでも、基本となる話の筋が通っているので、どんなに脱線しようとも、問題無く話しは進むんです。
そう、この映画は、コインランドリー経営者家族が、国税局へ資料を持って行って、検査を受けるだけの内容なんです。それ以外は、ギャグなのよ。それって、日本人は昔からギャグ漫画で読んでいるけど、アメリカにそういう文化って無いでしょ。だから、これがウケたというのに驚きました。凄く面白いんだけど、この脱線して行く内容が受け入れられたというのが嬉しいです。
私が思うに、”Dr.スランプアラレちゃん”や”まことちゃん”、”マカロニほうれん荘”、”ハイスクール奇面組”、って感じかしら。イヴリンがアラレちゃんと思えばイイ感じかな。下ネタも満載で、”マカロニほうれん荘”とかで、お尻の穴に花火を刺して打ち上がる、みたいな内容があったでしょ。あんなのを、実際にやっているところが、もう、笑っちゃうんです。
なんたってマルチバースだから、やりたい放題で楽しいのよ。ちゃんとマルチバースの正しい解説もしていましたよ。イヴリンが、何故、選ばれたかというと、いくつものマルチバースの中で、一番貧乏くじを引いているのが彼女で、選択がいつも悪い方のようなんです。で、良い選択をしたエヴリンは、他の世界でカンフースターになったり、シェフになったりと、しあわせな生き方をしているんだけど、この世界のエヴリンは、不満が溜まっているからなのか、生きていて、一番強いらしいんです。なので、エヴリンが世界を救う為に選ばれたらしいんだけど、うーん、ザックリな説明で嬉しいな。
ここで、マルチバースにいる無数の自分の能力を使うために、ある行動をしてアクセスしろといわれるんだけど、その行動が、”最強の変な行動”なんです。それは、敵も同じだから、誰もが闘いながら、”最強の変な事”をするのよ。そこがギャグ漫画そのものなんですね。あまり書くと面白くないから書かないけど、下ネタ爆発です。もちろんモザイクもありました。うーん、日本的!
悪の帝王ジョブ・トゥパキは、娘のジョイに乗り移って、エヴリンを殺そうと向かってくるんです。エヴリンは、娘の自由な選択を非難して、理解しようとしなかったことが関わってきていると思うんだけど、母親と上手くやるって、難しいですよね。どんなに仲が良くても、それは許せないとか、それぞれの考え方があるから、どうしても文句を言ってしまったりして、お互いに傷つけあってしまうこともあると思うんです。それが、ここに響いてきているという事なんだと思いました。
夫のウェイモンドは、とっても優しいんだけど、事なかれ主義みたいで、なんでもエヴリン任せ。エヴリンに指示をされればやるけど、それがなければ、周りでウロウロしているような男性です。でも、マルチバースのアルファ・ウェイモンドはカンフーの達人で、強かったですよ。色々と指示をしてくれて、この世界のエヴリンを助けてくれるんだけど…。色々と大変なことが起きていきます。
なんだけど、基本は国税局へ行って、監査を受けて、お爺ちゃんの誕生日会をやるというだけの映画なので、それさえ忘れなければ大丈夫。色々と振り回されるんだけど、それはお遊びだから、そんなに重要に考えず、ただ、楽しんで良いんです。でも、アライグマは見逃さないで欲しいかな。完璧にぬいぐるみって解るのを使っているのが良かったなぁ。おいおいっていうほど”ぬいぐるみ”なのよ。それが好きです。スターウォーズのルークが、ぬいぐるみのヨーダを背負っているのを思い出しちゃった。(笑)
あともう一つ、手がソーセージになっちゃうとこが面白いです。戦おうとすると、ぺちぺちって叩くだけになっちゃうの。もう戦意喪失でしょ。大笑いしちゃいました。
この映画、あの「スイス・アーミーマン」や「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」の監督をしたダニエルズ(ダニエル・クワンとダニエル・シャイナート)が、脚本・監督・制作をしています。その二人に、あのルッソ兄弟が制作に加わっているので、強力タッグですよね。そりゃ、面白いモノが出来るでしょうって感じなんだけど、まさか、こんなにウケるとは。まして、アカデミー賞に最多でノミネートされたとかで、信じられません。いつ、この日本的ギャグを受け入れたのかしら。不思議だわぁ。
ウェイモンド役が、あのキー・ホイ・クァンなんです。そう、インディ・ジョーンズのショーティーなの。可愛かったよねぇ。子供の頃に、ホントに好きだったもん。今回も可愛い夫でしたよ。
そうそう、何故、主人公が、もう還暦になるミシェル・ヨーなのかという事なのですが、映画の後のトークショーで説明してくださって、監督がおっしゃるには、いつも30代の男性がヒーローだから、それは嫌だという事で、自分たちのお母さん世代がヒーローだと良いなということで、ミシェル・ヨーになったそうです。頑張るお母さんってイイでしょ。この年代の母親って、ほとんどが家を取り仕切っていて、一番頑張ってくれていて、考えてみれば最強なのよ。それなのに、誰も”ありがとう”って言わないのよね。だから、この映画で、頑張るお母さんを描いてくれたんじゃないかな。
もう一回、アライグマの事なんだけど、頭に乗っているアライグマ、あれは、「レミーのおいしいレストラン」のオマージュだそうです。あの映画も良い映画だったなぁ。何故かというと、この映画は、どんな人でも、誰かの力を借りることでヒーローになれるという、そんな事を描いているそうなんです。レミーの力を借りて、トップシェフになったリングイニ。マルチバースの自分の力を借りて、世界を守ったイヴリン。同じでしょ。
うーん、いつまでも書いてしまいそうだから、この辺で止めましょう。だって、面白かったから、いくらでも話したくなっちゃうの。ごめんなさい。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、大好きなタイプの映画なんだけど、このマルチバースの描き方だと、全く付いて行けない人が出てくるんじゃないかなと思うんです。ギャグ漫画と一緒だから、考え始めてしまうと理解不能になるので、賛否が分かれるかなぁと思いました。これは、若い人にも良いけど、出来れば、昭和ギャグ漫画を知っている人たちに観て欲しいな。とても懐かしい気持ちがすると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」