「レジェンド&バタフライ」信長ではなく木村拓哉の映画でした。それはそれで伝説になるのかな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「レジェンド&バタフライ」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

「大うつけ」と呼ばれる尾張の織田信長は、敵対する美濃の濃姫と政略結婚する。信長は嫁いで来た濃姫を尊大な態度で迎え、勝ち気な濃姫も臆さぬ物言いで信長に対抗。最悪な出会いを果たした2人だが、尾張に今川義元の大軍が攻め込んでくる。兵力の差は歴然だったが、2人は共に戦術を練って奇跡的な勝利を収める。いつしか強い絆で結ばれるようになった信長と濃姫は、天下統一へと向かって共に歩み出す。

というお話です。

 

 

政略結婚で結ばれた、格好ばかりの織田信長と密かに信長暗殺を目論む・濃姫は、全く気が合わない水と油の関係。女ながら文武に長けた濃姫は、事あるごとに信長を負かしており、そんな濃姫に怒りながらも惹かれていく信長だった。

ある日、濃姫の祖国で内乱が起こり、兄と父の戦いとなり、父が命を落とす。濃姫が嫁いでくる時に父親が予言していた通りになってしまったのだ。自身の存在意義を失い自害しようとする彼女に、再び生きる意味と場所を与えたのは、他でもない信長だった。



 

そんな信長もまた、今川の大軍に攻められ窮地に立たされた時、濃姫にだけは弱音を吐く。自爆放棄になる彼を濃姫は鼓舞し、父親から教わった戦の極意を信長に授け、二人は桶狭間の激戦を奇跡的に勝ち抜く。これをきっかけに芽生えた絆はさらに強くなり、いつしか天下統一が二人の夢となる。

しかし、戦さに次ぐ戦さの中で、信長は非常な”魔王”へと変貌してゆく。本当の信長を知る濃姫は、引き止めようと心を砕くが、信長は目の前の敵を倒すことばかりになり、濃姫を顧みることは無かった。濃姫は諦め、信長に離縁を申し出る。離ればなれになった二人だったが、濃姫が病に倒れ、駆けつけた信長は心を取り戻し、また一緒に二人の夢に向かって進み始めるのだが。運命は容赦なく「本能寺」へと向かって行く。 後は、映画を観てくださいね。



 

この映画ですが、まず、織田信長ではないです。木村拓哉さんの映画で、信長を演じる木村さんが前面に出ています。なので、今までの信長のイメージを持って観に行くと、はぁ?となります。私のイメージとは、全く違ったモノでした。でも、これは、きっと、木村さんの為の映画なので、それで良いのかもしれません。そこに文句を言っても仕方ないですから。
 

”うつけ”と呼ばれた信長は、発達障害があったのではと言われているように、若い頃は、乱暴で手に負えない人物だったという歴史があります。裏を返せば、人を良く見て、相手が困る事をしていたという事ですから、この頃からサイコパス的な悪知恵の働く頭の良い人物だったのでしょう。でも、この映画の信長は、根本的に頭が悪いような雰囲気でした。濃姫の才能があってこその信長だったというような脚本になっていて、私には、それがイマイチでした。濃姫も頭が良い方だったと思いますが、同様に、信長も頭が良く無ければ、あの天下統一はあり得なかったと思います。但し、明智にやられるなんて、詰めが甘いとは思いますが。

 

 

そんな信長の歴史を、駆け足で2時間半に詰め込んでありますので、結構、カスッカスの雰囲気でした。合戦の場面はほとんどありませんし、信長の魔王と呼ばれるほどの残虐な行為も、ほとんど描かれてはいません。織田信長ではなく、木村拓哉なので、何処までも良い人なんです。なので、明智が”魔王”という言葉にこだわっても、そんな人物は出てきません。一応、そういうようになっていますが、今まで、色々な方の信長を観てきていると、どう考えても信長には見えないんです。

 

一方、帰蝶は、実際はほとんど歴史上に名が残って無くて、その性格や生死に関しても、判っていません。濃姫という名も、帰蝶という名も、正しい名前かも判っていないんです。でも、これまでの描かれ方では、斎藤道三の娘ということで、気が強く、頭の良い女性で、信長との間に子供はいなかったらしいということしか解りません。この映画でも、その諸説のひとつのように、気が強く、父親を尊敬していて、文武に優れているように描かれています。

 

 

綾瀬さん演じる帰蝶は、情が厚く、かわいらしい女性だったので、とても好感が持てました。武芸に関しても、アクションが得意な方なので、動きが美しく、見ていて気持ち良いほどでした。但し、成長してからは、動きが無くなるので、ちょっと寂しい気がしました。病気になったという設定なので、仕方がないのですが、もっとアクションが見たかったな。

 

私、信長と濃姫というと、小学生の頃だったか、大河ドラマで役所広司さんが信長を演じていて、濃姫が藤真利子さんで、本能寺で槍を持って、一緒に戦う最後だったんです。女性が槍を持って相手をなぎ倒して行くと言う姿がカッコ良くて、あの姿が私のイメージなんです。どうせ、歴史に残っていない人物なのですから、あれくらいカッコ良く描いてくれても良かったのになぁ。

 

 

思っていたよりも、織田信長の歴史的な部分は描かれず、濃姫との関わりを中心に描かれていたので、家督争いの兄弟との戦いや、桶狭間や伊勢侵攻などは、名前が出て来たくらいで終わり、比叡山焼き討ちだけは、筋肉質な坊主たちとの戦いが描かれましたが、サラッと終わりました。もう少し、戦の方も描いて欲しかったな。

 

気になったのは、小姓の美少年・蘭丸が出てきたのに、濃姫にかかりっきりで、全く小姓に興味が無さそうに見えちゃって、残念でした。信長はバイだろうからこそ小姓がいたはずなので、”愛い奴”的に可愛がってくれる場面も欲しかったんだけどな。そうじゃなきゃ、魔王じゃないでしょ。第六天魔王と呼ばれたハズの信長とは、全く違う人物でした。

 

 

あー、観る前から解ってはいたんだけど、どうしても文句を書いてしまいます。ごめんなさい。信長じゃなくて、木村さんだって解ってはいたのに、帰蝶が綾瀬さんということだったので、つい、期待しちゃったんですよ。だって、信長が好きなんですもん。これほどに木村さんが木村さんのままで信長を演じられると、もう、どうしようもなくて、自分でもどうして良いのやらという感じで、ダメダメでした。

 

役所さんの信長のイメージは脳に焼き付いていますが、今、大河ドラマ「どうする家康」で、岡田さんが信長を演じているでしょ。彼の信長がイメージにピッタリで、そちらを基本として、脳に書き換えるようにしたいと思います。あれくらい、嫌らしく、意地悪な感じがなければ、信長じゃない!全てが自分の思い通りになり、自分に逆らう人間は切り殺すくらいの狂気が見えないと、魔王じゃないですよ。木村さんの信長は、良い子過ぎるんです。

 

 

あとね、この映画、主役をカッコ良く、美しく撮るために、周りの人間たちの描き方が雑なんです。それぞれに個性があって、重要な人物なんだけど、ただ、顔を出すだけで、全く内容が描かれないので、とても残念でした。斎藤さんが家康を演じているんだけど、恰幅の良いオッサンというだけでほとんど何も描かれないし、沢山、良い役者さんが出演されているんだけど、勿体ないなという感じでした。

 

東映の70周年ということで、トップアイドルの木村さんを掲げての大映画だったのだと思うけど、これだけ木村さん推しなら、信長を演じなくても良かったんじゃないですか?現代劇で、良い人でありヒーローである木村さん主演のドラマの方が、よっぽど受けたと思います。信長を演じてしまうと、他の沢山の信長を演じた役者と比べられてしまうし、まして、それぞれが持っている信長のイメージがあるので、それをここまで崩されてしまうと、私のように反発する人間も出てきます。木村さんには、木村さんに合った作品をやっていただくべきなんじゃないかな。

 

 

私は、この映画、一応、お薦めしたいと思います。木村さんファンの方には良いと思うし、アイドルの信長と思って観る分には良いと思います。綾瀬さんの帰蝶も良かったですから。でも、それなりに歴史を読んでいて、イメージがある方には、難しいかな。人物も、脚本自体も、イメージからはかけ離れているので、私個人としてはお薦めは出来ません。面白くないです。アイドル映画を観に行くと思って、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「レジェンド&バタフライ」