「世界は僕らに気づかない」日本にまだまだ残っている差別を、少しづつでも無くしていきたいですね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「世界は僕らに気づかない」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

群馬県太田市でフィリピン人の母と暮らす高校生の純悟。父については何も聞かされておらず、毎月振込まれる養育費だけが父とのつながりだった。純悟には同性の恋人・優助がいるが、彼からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自身の生い立ちが引け目となり決断できずにいる。そんなある日、母が自宅に恋人を連れて帰り、再婚したいと話す。見知らぬ男と一緒に暮らすことを望まない純悟は、実の父を探すことにするが…。

というお話です。

 

 

群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親レイナと一緒に暮らしている。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がりとなっていた。

純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めず、一人苛立ちを抱えていた。

そんなある日、レイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がった純悟は、母親が隠し持っていた自分の実の父親の写真を手に入れ、実の父親を探すことにする。



 

その過程で、レイナが、日本に来てすぐに偽装結婚をして、在留資格を取ったことを知り、その人物が父親かと思い探すのだが、彼は仕事で偽装結婚をしただけの男性・渡辺だった。しかし渡辺との出会いで、父親という存在を感じ、苛立ちは抑えられていく。そんな時、ひょんなことから、実父の行方を知ることとなる。

高校3年になり、卒業後の進路を学校で聞かれ、自分という存在を確立するためにも、本当の父親に逢いたいと思ったのだが…。後は、映画を観てくださいね。


 

フィリピン人と日本人のハーフである純悟は、高校3年生。そろそろ卒業後の事を考えなきゃいけない時期なのですが、未来のことなんて、考えられません。子供の頃から、フィリピーナの子供と言われていじめられてきて、父親のこともわからず、純悟はゲイでそのことでも揶揄われて、自分でも自分のアイデンティティというか、その存在価値を見出せずに、とても悩んでいるんです。

 

母親のレイナは、そんな純悟の悩みなど考えてくれず、自分のことで精一杯。フィリピンパブで稼いで、フィリピンに仕送りしなければならず、その上、彼氏も出来て、結婚するっていうんです。もう少し、息子の事も考えてあげようよと思うのですが、細かいことを気にしていたら、日本で働いて仕送りをするなんて出来るわけがありません。とにかく図太いというか、レイナは大したことを気にしないんです。

 

 

なので思春期の純悟は、悩みを誰にも相談出来なくて、とても苦しんでいるんです。恋人の優助に相談したくても、優助は日本人で、良いお家の子供なので、純悟はコンプレックスを抱いて、相談も出来ません。観ていて、とてもかわいそうでした。周りには、彼と同じ境遇の子がいないんです。

 

父親がいれば相談も出来るのにと思い、父親を探し始めて、レイナが昔働いていた店とか、知り合いに、話を聞いて回ると、タクシー運転手がそうなんじゃないかと言われて、タクシー会社に渡辺という男性を尋ねるのですが、話を聞いてみると、レイナが日本で仕事をするために、偽装結婚をした相手でした。恋愛関係も何も無く、仕事で請け負っただけだと教えられ、本当の父親は知らないと言われてしまいます。

 

 

手がかりを失って、がっかりする純悟は、優助とも上手くいかなくなり、母親とも喧嘩をしてしまい、とても孤独になってしまうんです。純悟は、ただ、自分は誰で、どうしてここにいるのかという事を確認したかっただけなんですけどね。やっぱり、父親が判らないというのは、本当に可哀想だと思いました。たとえ、いなくても、父親は誰だったのか、自分は本当に日本人とフィリピン人のハーフなのかということが確認出来たら、それだけで自分に自信が持てたと思うんですけど。

 

私は、やっぱり母親が悪いと思いました。せめて、息子には父親の名前と、本当に日本人なのだということをしっかりと伝えてあげないと、子供は不安になると思うんです。特に、純悟の場合ゲイで、人と違うということで非難されて、自分が何者か、わからなくなっちゃったんだと思うんです。

 

 

そんな思春期の若者の心が、よく描かれていたと思いました。純悟だけのことじゃなくて、この年齢の子だったら、自分が何者なのかと考えることってあると思うんです。その時に、親が話を聞いてやらなかったら、本人は自分を見失ってしまうし、将来を考えられなくなりますよね。それは、フィリピン人でも、日本人でも同じだと思うんです。

 

でも、やっぱりフィリピン人の子供ということだけで、差別されたりするし、ゲイという部分でも差別があると思うんです。そんな差別に潰されることなく、自分の未来を探し続ける純悟の姿は、素敵だと思いました。自分の未来ですから、探すのには努力が必要ですよね。辛いこともあると思うけど、どんなに文句を言ったとしても、世界は変わらないし、人間の感覚は簡単には変わらないんです。差別を無くそうと思っても、そう簡単になくなるものではありません。そんなことに潰されることなく、突き進んで欲しいと思いました。差別する人間ばかりじゃないんです。ちゃんと、見てくれる人もいるんです。諦めないで頑張って欲しいと思いました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと、もたつく部分もありましたが、楽しめる映画でした。差別はどこにでもあるけど、人の意識は、少しづつ変わっていくと思います。今は苦しくても、きっと、いつかは良くなるんじゃないかな。この映画、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできて下さいね。カメ

 

 

「世界は僕らに気づかない」