「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」素晴らしい映画でした。巨悪は潰さなくちゃ! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始めるが、ワインスタインがこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいた。問題の本質が業界の隠蔽体質にあると気づいた記者たちは、取材対象から拒否され、ワインスタイン側からの妨害を受けながらも、真実を追い求めて奔走する。

というお話です。

 

 

2017年、ニューヨーク・タイムズ紙の記者ジョディ・カンターは、女優のローズ・マッゴーワンがハーヴェイ・ワインスタインから性的暴行を受けたという情報を手に入れる。本人に確認すると、当初は否定していたのだが、後から23歳の時にレイプされたことを告白する。

取材を進めると、女優のアシュレイ・ジャッドとグウィネス・パルトロウも同様の被害を受けたらしいが、どちらもキャリアを潰されることを恐れて、オフレコを要求してきた。



 

ジョディは同僚のミーガンと組み、女優だけでもこれだけ多いのだから、きっと会社内でも被害者がいるはずと思い、取材を進めると、数十年前にミラマックス社に勤めていたローラ・マッデン、ロウェナ・チュウ、ゼルダ・パーキンス、他、多数の女性が被害に遭っている事が解かってきます。どの女性も、ミラマックスの弁護士から示談の申し出があり、その時に口外しないという書類にサインをさせられ、証言すれば訴えられるという。ミラマックスの弁護士に何件くらいの示談があったのかを聞くと、8~12件だという。

沢山の女性が声を上げられないまま、長年苦しみを抱えていた。何人かは声を上げても相手の力によって潰され、声も挙げられなかった者は自分を責めるように生きていた。彼女たちの心を知ったジョディは、取材を進め、問題の本質は業界の隠蔽構造だという事に気付いて行く。



 

彼女たちは、何度も調査を妨害されながらも信念を曲げず、証言を決意した勇気ある女性たちと共に、ハリウッドの裏に隠された汚い部分を記事にし、ワインスタインに突き付ける。最後まで抵抗したワインスタインだったが、タイムズの記事は、2017年10月5日に公開される。

その後、82人の女性がワインスタインに対する訴えを起こし、この記事が世界的な"MeToo"運動を起こす引き金となった。 後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄い良い映画でした。この事件は、本当に世界常識を変えなければいけないという発端だったと思います。どの国でも、女性は男性の付属品であり、力のある男性に屈していることが正しいのだという考えが根底にあり、どうしても女性が訴えても、受け入れて貰えない社会があったと思います。でも、何人もの女性が一緒に声を上げたことで、日本風に言えば、”やっと土俵に乗った”という感じかしら。

 

今までにも、セクハラ事件などで男性を訴えるとかはあったけど、どこかで女性にも隙があったのではないかと思われがちだったけど、この運動によって、女性には全く何の問題も無かったのだという事が、はっきりと示されたと思うし、女性が声を上げやすくなったと思います。

 

 

私、以前から、このセクハラという問題が出てくると、何故か敵になる女性が出てくるという問題を書いていますが、何故なんでしょうね。同じ女性なら、この苦しさや悔しさが解かると思うんだけど、何故か女に隙があったんじゃないかとか言う人がいるのよね。そんなもん、無いですよ。ただ、男が変態なだけなのよ。職場で、仕事だからと言ってレイプするなんて言語道断です。もし、それでも何か言うなら、その人が男脳を持っている変態なんです。自覚してください。

 

ハーヴェイ・ワインスタインは、本当に沢山の女性に性的虐待を繰り返していたようですね。部屋へ呼んで強姦しようとして、逃げられたら仕事を与えないとか、そういう嫌がらせをしていたようです。アシュレイの証言が生々しかったです。よく、出てきて、話しをしてくれました。人前で、自分がこんなセクハラを受けたとか、レイプされたとか、話しをするのは、本当に辛いと思います。思い出しますからね。それでも勇気を出して話してくれたのは、ありがたい事です。

 

 

内容としては、ジョディが集めた情報と資料を基に、ミーガンと一緒に取材を進めていきますが、レイプ事件ということで、誰もが口を閉ざしてしまいます。ワインスタインという巨大な力を持つ人物が相手なので、何をされるか解らないという恐怖と、性的な問題ということで、話したがらなかったんです。でも、二人の根気強い説得により、一人、また一人と、話しをしてくれるようになります。

 

そして、誰もが悪人ではないので、ミラマックスの弁護士や、元会計士などにも話しを聞き、どれだけ酷い事件なのかという事を、説明していきます。すると、やっぱり男性でも、これはマズいと思って、ぽろぽろと情報を出してくれるんです。そりゃ、そうですよねぇ。役員室に新入社員を呼んで、ソファに座らせてレイプするなんて、普通じゃ考えられない事なんですから。常識のある人間なら、この問題を放置してはいけないと思うハズですよ。

 

 

情報が集まり、証言も取れて、とうとう名前を出しても良いと言ってくれる被害者も出てきて、記事を書き上げるのですが、それでも、まだワインスタインは抵抗して、記事を潰しにかかろうとします。いやぁ、しぶといなぁと思いました。何処までも、”嘘つき女”呼ばわりして、自分がやったことを認めないんです。信じられないでしょ。どんだけ図々しいんだよ。

 

この映画の上手い所は、感情的に描いていない事かな。ミーガンとジョディという二人の記者の日常生活の中に、彼女たちの仕事があり、取材があるんです。仕事には、とても誠実で前向きなんだけど、それぞれに生活もあり、個人的に具合が悪かったり、都合があったりする。それって、誰もが一緒ですよね。よく、映画やドラマでは、仕事だけ熱心にしているように描かれていて、生活が描かれないことが多いでしょ。でも、生活の中に仕事ってあるんですよ。

 

 

私、よく仕事時間を聞かれるんだけど、365日24時間仕事だけど、365日24時間遊びと休みですって言うんです。この映画の彼女たちもそうだけど、生活の中に仕事があるから、電話がかかってくれば、どんな時間でも休日だろうが何だろうが、電話に出るんです。それは仕事だけど、でも、家族の時間もあり、休みもある。

 

仕事と休みを時間で分けるなんて出来ない仕事って、本当は多いと思うんですよ。9時~5時なんて決められても、考える仕事をしていたら無理ですから。自由に動いて、その働き方が、彼女たちの不安やストレスも解消していたように思いました。だって、机に座って良いアイデアなんて浮かばないよね。働き方改革ってそういうもんじゃないの?

 

この映画、"MeToo"の発起となった事件がどんなものだったのか、しっかり教えてくれますし、女性の働き方は、もっと良くなるんじゃないかということも描いてくれていました。オフィスに縛りついているだけが仕事じゃないんです。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。本当に良い映画で、考えさせてくれました。それに面白かったです。何人もの女性を説得して、ワインスタインを追い詰めていく様は、素晴らしかったです。キャリー・マリガンとゾーイ・カザンも、すっごく良かったのですが、そのボスである、パトリシア・クラークソンがカッコ良かったなぁ。この人がいれば、きっと大丈夫と思えるような貫禄で、素敵でした。こんな女性になりたいな。素晴らしい映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」