「ピンク・クラウド」
を観てきました。
Fan's Voice独占試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
高層アパートの一室で一夜を共にした男女ヤーゴとジョヴァナを、けたたましい警報が襲う。強い毒性を持つピンク色の雲が街を覆い、その雲に触れるとわずか10秒で死に至るのだという。2人は窓を閉め切って部屋に引きこもり、そのままロックダウン生活を強いられることに。事態は一向に好転せず、この生活が終わらないことを誰もが悟り始める。
というお話です。
一夜の関係を共にしていたジョヴァナとヤーゴをけたたましい警報が襲う。何の前触れもなく、突如として世界中に発生した正体不明のピンクの雲——それは10秒間で人を死に至らしめる毒性の雲だった。たまたま、ジョヴァナの母親の家で朝まで楽しんでいた二人は、そのまま、そのメゾネットタイプのマンションから出られなくなってしまう。
緊急事態下、外出制限で街は無人となり、家から一歩も出られなくなった人々の生活は一変する。友人の家から帰れなくなった妹、看護師と閉じ込められた年老いた父、自宅に一人きりの親友。ネットでは、スーパーに閉じ込められた人々など、どうしようもない状況でパニックになる人々の映像なども流されていた。
家族や友人とオンラインで連絡をとりあううち、いつ終わるともしれない監禁生活のなかで、彼らの状況が少しずつ悪い方へ傾き始めていることを知るジョヴァナ。そして、一夜を過ごしただけの見知らぬ他人であったジョヴァナとヤーゴも現実的な役割を果たすことを迫られる。
父親になることを望むヤーゴに反対していたジョヴァナだったが、やがて妊娠、出産する。医者が来てくれる訳でもなく、オンラインで出産のやり方を教わりながら自分たちで出産し、男の子・リノを授かる。
ロックダウン以前の生活を知らないリノは、家の中だけの狭い世界で何不自由なく暮らしており、父となったヤーゴも前向きに新しい生活に適応している。しかし、ピンクの雲が日常の景色となるにつれ、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなっていくのだった。後は、映画を観てくださいね。
この映画、衝撃作でした。これ、脚本が書かれたのは2017年、撮影は2019年だったそうで、コロナ禍前なんです。作っている時は、本当に映画のような事が起こるとは思わなかったそうです。編集している時に、コロナ禍が訪れ、監督は、まるで自分たちが作った映画の中にいるような感覚になったそうです。そうですよね、それまで、世界がロックダウンになるなんて、想定出来ませんでしたもん。
コロナを先取りしたような映画の内容に、驚きました。映画では、ピンク色の雲が現れて、それが、霧のように人々の街へ降りてくるんです。その雲に触れた人々は、10秒で即死するという恐ろしい雲。その成分などは全く解らず、ただ、死ぬということしか解りません。但し、雲なので、窓をピッタリ締め切っていれば、入ってくる事はありません。
そんな雲が突然に空から出現したので、誰も何も想定しておらず、ある日、突然に、外に出られなくなるという状況なんです。外を歩いていた人はすべて死に絶え、何処か建物などに入ったとしても、もし、どこかから雲が入り込んだら、その時点で死なんです。舞台はブラジルだし、涼しそうな服装をしていたので、建物だって、ほとんどが開けっ放しでしょ。どれだけ死んだんだろうかという感じですよね。
たまたま、前日に知り合って、一夜を共にしていたジョヴァナとヤーゴ。二人は、身体の関係だけで、前日までは、お互いを全く知らず、何の関係も無かったんです。それが、いきなり戒厳令で、外に出られなくなります。広いマンションだったから良かったけど、これ、ワンルームマンションとかだったら、あっという間に喧嘩になって、殺人が起きているだろうなって思いました。
最初の内は、直ぐにピンクの雲なんていなくなると思っているのですが、いつまで経っても状況は変わらない。外に出ることが出来ない。その内、政府のインフラ整備が進み、ドローンを使っての食べ物配給が始まって行きます。そりゃそうよね。食べ物が無かったら、餓死しちゃいますもん。栄養価は高いんだろうけど、マズいジュースや食べ物が配給され、何とか外に出ないでも生活が出来るようになっていきます。
まぁ、引き籠っている人は、この映画と同じような事なんだと思うけど、自分から外に出ないのと、外に出たいのに出れないのでは、全く違いますからね。出たいのに出れないとなると、凄いストレスになるから、やっぱり耐えられなくなる人も沢山いると思うんです。だって、その時以降、家族にも、恋人にも、触れ合う事が出来なくなってしまったんですから。見えても、触れることが出来ないというのは、辛い事です。
ジョヴァナの妹が、まだ10歳位だったと思うけど、友達の家に遊びに行って、そのまま帰れなくなっているんです。その家には、少女が3~4人くらい。家には父親がいたのですが、何年かして、その父親と少女の2人が関係して妊娠するんです。もちろん同意の上で。ジョヴァナがダメだというと、妹は10年後に妊娠しても今しても同じじゃないと言うんです。いやぁ~、私、これは衝撃でした。通常は幼児虐待、変態ロリコン野郎と言われてしまう案件ですが、こういう非常時ですから通ってしまう。信じられませんでした。でも、あり得ますよね。恐かったです。
このピンク雲、殺傷能力が高いという事で、何か毒素を持った微生物とか、そういう類のモノだと思うのよねぇ。ウィルスだと雲のようになって増えていくというのは考えにくいんです。ウィルスは何かに寄生しないと生きていけないからね。微生物なら、触れたとたんに毒素を出して殺すというのはあり得るんだけど、それならその微生物を殺す手立てを考えれば済むんだけどなぁ。コロナはウィルスだから、人から人へ移っていくから、根絶が難しいのよねぇ。
ジョヴァナとヤーゴは、二人で暮らすことになり、子供を作り、夫婦ではないけど、夫婦のような生活を強いられます。そして、子供のリノは、ピンク雲のある世界しか知らないので、何の疑問も無く受け入れていて、生活をしています。ヤーゴも、子供と共に、今の生活を受け入れ、段々と、全てに慣れて行きます。只一人、ジョヴァナだけは、以前の生活が忘れられず、いつ雲が晴れるのかを考えて、バランスを崩して行きます。
この生活に慣れて行く人と、慣れることが出来ない人、二通りあると思いました。自分はどうなるのかしら。でも、今、コロナ禍で、マスク生活に慣れているし、手洗いも消毒も、何の苦も無く出来るようになりました。飲み会も減り、外で食事も減りましたが、別に何てことはありません。という事は、やっぱり慣れるんでしょうね。どうしようもなければ、その生活に慣れて行くんです。環境への順応。もしかしたら、その内、人間の身体も、環境に合わせて進化や退化していくのかもしれません。
この映画、予算がかかっている映画ではないように見えますが、本当に凄い映画です。今見ると、心に残るというか、グサッと刺さってくるような内容でした。私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。もっと、色々と書きたいけど、止まらなくなりそうなので、ここで止めておきます。衝撃作です。これは、観るべきです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ピンク・クラウド」
「ホワイト・ノイズ」