【フランス映画祭 2022】
「フルタイム」
を観てきました。
ストーリーは、
夫と離婚したジュリーは田舎町での2人の子供と暮らしている。仕事は、パリの高級ホテルでのハウスキーパー。以前はキャリアを重ね、マーケティングなどの仕事をしていたのだが、会社の倒産を機に辞めたらしい。その後は、子育てをしながらも、パリで働きたいという希望から高級ホテルで働き始めたようだ。今の住まいは、パリと元夫の住居の中間地点ということで住み始めた。
かねてから希望していた職種の面接にようやくたどり着いたその時、ゼネストの影響で公共交通機関が麻痺してしまい、ギリギリのバランスで成り立っていたジュリーの生活がぐらつき始める。交通機関は止まり、タクシーの相乗りでパリまで通っていたが、それも、利用者が増えて、難しくなっていく。
ホテルのハウスキーパーの仕事にも遅刻してしまい、何度も文句を言われるが、ジュリーにとっては、新しい仕事の面接に受かる方が大切で、遅刻しながらも、途中で中抜けしたり、早退したりと、周りの仲間たちにも迷惑をかけていた。ジュリーの上司は、これ以上は助けられないと苦言を呈するが、自分を解雇したら教育係がいなくなると言い、強気に出ていた。
しかし、面接後にいつまでも返事が来ない。問い合わせをしてみるが、面接をしてくれた部長は出張中で、部下に聞くと、受かった方には連絡がいっているハズですと言われてしまう。何も決まらずにモヤモヤしながら、動かない交通機関に文句を言う毎日。その上、子供たちの養育費も、元夫から振り込まれていない。お金にも困ってきたジュリーが、仕事場のホテルに着くと…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、仕事をしている人は、皆さん、グッとくる内容じゃないかなぁと思いました。家庭の事情などで郊外に住んでいて、首都圏まで通勤していると、このジュリーと同じように、毎日毎日、混んでいる電車に乗って、通うことになるでしょ。もし、ストライキをされてしまったら、どうしようもないですよね。日本では、ストライキと言っても全く動かないということが無いし、大体、1日とかで終るけど、パリは違うみたいでした。
ストライキだからと言って、遅刻して良いという事にはならないし、ストの間だけは仕事場の近くに泊まるといっても、ジュリーには子供がいるし、もう、どうしたら良いのか解らなくなっちゃうんです。元夫が協力的なら良いですが、全く協力はせず、電話にも出ずなんです。酷いですよねぇ。
その上、その時期に新しい仕事の面接をすると言われてしまい、ジュリーは、本当におかしくなりそうになっちゃいます。元々やっていた仕事ををやりたいし、お給料も良いので、面接を無理をしてでも受けに行くのですが、その時間は、仕事を抜け出さなければならず、既に、何度もシフトを変わって貰ったり、抜けたりをしていて、同僚から嫌がられているんです。上司にも文句を言われていて、八方塞がり。
ジュリーの言い分も解るのですが、雇っているホテル側からすれば、仕事を何だと思っているんだと言いたくなるし、同僚は、いつも自分の都合ばかりを周りに押し付けてるから嫌な奴だと思うだろうし、はっきり言って、ジュリーがとても手際が悪いというか、立ち回りが下手なんです。もう少し、周りへの配慮とか、そういう事を気を付けていれば、そんなに嫌がられないで済むと思うけど、ジュリーのやり方だと、周りは嫌だろうなと思いました。
彼女を観ていると、仕事はパリでしたいとか、そういうプライドというか自己顕示欲が強いのかなと思いました。子供の事を思ったら、近くのスーパーなどで働けばよいのに、わざわざ1時間くらいかけてパリのホテルのハウスキーパーをするというのは無駄でしょ。子供が大きくなってからならまだしも、考えた方が良いですよね。それか、どうしてもパリで働きたいなら、パリに住めばよいだけの事でしょ。元夫は、何も手伝わないなら、会いに来る度にパリまで来させれば良い。なんだか、凄く不思議でした。
働く場所って、そんなに重要ですかね。私なんて、家から出ないで済むなら、ずーっと家でやりたいです。事務所にも、現場にも行きたくないですもん。フランスでは、職場はパリですとか言うと、やっぱりカッコいいのかな。不思議だよねぇ。低レベルの争いみたいに思えてしまいます。何処でも出来る仕事なら、空気の良い田舎で、夜は音がしない場所が良いなぁ。どんなに防音サッシやらを使っていても、やっぱり音はしますからね。田舎が良いなぁ。
話を戻して、ジュリーは、そんな調子で、毎日、毎日、走り回っています。もう、観ている方が息切れしそうなほど、走っているんです。そんな母親なので、子供も落ち着きません。下の子が、嫌に騒ぐように見えていて、やっぱり、母親がガチャガチャしていると、子供も落ち着かないんじゃないかなと思いました。そうなると、預かってくれる人もいなくなるよねぇ。全てが、マイナス方向に進んでいるような状況で、彼女がどうやっていくのか、映画で確認してください。
でも、私は、きっと、彼女は変わらないんだろうなと思います。こういう行き当たりばったりで、色々な事を誤魔化して生きていくと、どこかで行き詰るハズなんです。いつまでも、調子良く回ってくれる訳がないんですから。どこかで、誰かに助けを求めない限り、好転はしないだろうなと思いました。だから、もっと早く、カッコ悪くても、みっともなくても、誰かに助けを求めないと、家族みんなが辛くなるだけなんです。周りにも迷惑をかけるしね。自分だけで出来ると思っちゃ、いけないと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。結構、身につまされる気がする内容だと思います。この通勤ラッシュって、日本の名物じゃなくて、どこでもあるんですね。フランスでも、同じようにギュギューってなってて、同じだなと思いました。日本公開は、まだ決まっていないのかな。発表されていませんが、これ、内容が面白いので、きっと公開するのではと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「フルタイム」