【フランス映画祭 2022】
「フランスのストップモーション・アニメの世界」
を観てきました。
ストーリーは、
「風の娘たち」
自立を目指す女の子の前に風の娘たちが現れる。彼女たちは女の子に希望と成長するための勇気を与えるのだ。
そして新たな日が始まる。 というお話です。
ファンタジー映画です。子供から大人になる前の、ちょっと夢見がちな女の子の想像かなと思います。風の娘たちが少女の前に現れて、これから色々な楽しい事があるよって教えてくれているような、優しい内容でした。
「くすんだ海」
夏の盛り。
マロとゾエは、うつろな母親の視線を必死に自分たちに向けようとする。母親は絶望で今にも圧し潰されそうだ。母親は子供たちを連れて海へ向かい…。
きっと父親が出て行って、母親が絶望に打ちひしがれているのだと思います。そんな母親を見る子供たちの目が悲しそうでした。母親だって人間です。いつも子供の為に我慢して良い顔なんて出来ませんよ。そんな気持ちを解かっているのか、子供たちは母親の目を自分たちの方に向けようと必死です。そして、海辺でやっと、子供たちの姿に気づいて、意識を取り戻したようでした。考え深い映画でした。
「姉妹」
3人姉妹が住む海の近くの土地に、水没の危機が迫っている。大きな天災に直面することで姉妹の関係が揺らぎ、それぞれが心の奥底で、異なる形で迫りくる死に対処する。
今まで住んでいた家が水没するらしいと聞きます。三姉妹は、それぞれに考え、直ぐに逃げようとする者、様子を見ようとする者など、考え方が違います。でも、やっぱり一緒にいる事が、一番大切と思ったのかなと思いました。天災には勝てませんから。生きていてこその人生です。人間が自分で自分の首を絞めている状態の自然破壊の事も考えてしまいました。人形の顔が辻村ジュサブローさんの雰囲気に似ていて、懐かしい気がしました。
「レイモンド、もしくは縦への逃避」
家庭菜園、グリーンピース、アブラムシ、汚れたパンティ。レイモンドはもううんざり。結局のところ、彼女の望みはセックス、愛、それから広大な空なのだ。
不思議なお話でした。レイモンドはフクロウおばさんなんです。で、日本人はパンティが好きらしいんです。(笑)深い意味は無くて、ちょっと笑ってしまうお話です。うんざりなことばかりだけど、いつかはそれが解消されるのかな。
「記憶」
最近、画家のルイと妻のミシェルは妙な出来事を経験している。彼らを取り巻く世界が変化しているようだ。少しずつ、家具や物、人々が現実味を失っていく。まるで構造を失い、崩壊するように。
このお話、映画「ファーザー」の短編のようでした。人形が独特で美しくて、素敵でした。段々と記憶がおかしくなっていくルイの感覚が、よく描かれていたと思います。短編なのに、その変化に恐怖しました。これは素晴らしい作品でした。一番、気に入ったかな。
「崩れる関係」
今夜はリュシーとマヤ、仲間たちがパーティーに集まっている。マヤに気があるジミーも来た。楽しいパーティのはずが、マヤとリュシーの隠してきた感情が表面化し、関係が崩れていく。
人間が、生活グッズで作られていて、今回は鼻にスイッチが使われていて、面白かったです。内容としては、実は、同性で好きな子がいるのに、どうしても言い出せずに、異性の子と付き合う振りをするという、何とも悲しいお話です。仲間の中ではカミングアウトすることが出来ず、苦しむ様子が描かれていました。現実は、こういう子が多いのでしょうね。いつの日か、自分の好きに言える時代が来ると良いですね。
どの作品も、考えさせられる内容でした。そして、これだけ色々なストップモーションアニメが観れると、可能性が広がります。可愛らしい人形から、ちょっと怖い人形、リアルな人形など、様々な表現方法があって、全部違うので、面白いです。
一コマ一コマ撮影して、長い時間がかかるストップモーションアニメ。時間をかけるからこそ、良いものが出来ることもあるだろうけど、3Dの時代になり、これからどう変化していくのか、楽しい分野でもあります。このまま変わらずなのか、それともこの技術を元に、何か新しい事が始まっていくのか、とても楽しみです。日本も頑張って欲しいなぁ。
私は、ストップモーションアニメ、お薦めしたいと思います。この作品たち、きっとショートショートフィルムフェスティバル系のサイトで、いつか観れるようにしてくれるんじゃないかな。気になる方は、ぜひ、調べてみてください。面白いですよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「フランスのストップモーション・アニメの世界」
「ショートショートシアター」