「土を喰らう十二ヵ月」田舎暮らしを楽しめるか不便と感じるのかは、個人の感覚だと思います。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「土を喰らう十二ヵ月」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

長野の人里離れた山荘で1人で暮らす作家のツトム。山で採れた実やキノコ、畑で育てた野菜などを料理して、四季の移り変わりを実感しながら執筆する日々を過ごしている。そんな彼のもとには時折、担当編集者である歳の離れた恋人・真知子が東京から訪ねてくる。悠々自適な暮らしを送るツトムだったが、13年前に他界した妻の遺骨を墓に納めることができずにいた。

というお話です。

 

 

作家のツトムは、人里離れた信州の山荘で、犬のさんしょと13年前に亡くなった妻の八重子の遺骨と共に暮らしている。口減らしのため禅寺に奉公に出され、9歳から精進料理を身に着けた彼にとって、畑で育てた野菜や山で収穫する山菜などを使って作る料理は日々の楽しみのひとつだ。とりわけ、担当編集者で恋人の真知子が東京から訪ねてくるときは、楽しさが一段と増す。

山荘から少し離れたところに、八重子の母チエが畑を耕しながらひとりで暮らしている。時折様子を見に来るツトムを、チエは山盛りの白飯、たくあんと味噌汁でもてなした。八重子の墓をまだ作っていないことを、今日もチエにたしなめられた。帰りには自家製の味噌を樽ごとと、八重子の月命日に供えるぼた餅を持たされた。

塩漬けした梅を天日干しにする季節、ツトムの山荘に文子が訪ねてくる。彼女は、ツトムが世話になった禅寺の住職の娘。住職に習った梅酢ジュースを飲みながらの昔話。文子は、亡き母が60年前に住職と一緒に漬けた梅干しを持参していた。「母は、もしツトムさんに会うたらお裾分けしてあげなさい、と言うて死にました」と文子。夜、ひとりになったツトムは、作った人が亡くなった後も生き続けている梅干しの味に泣いた。



 

チエが亡くなった。義弟夫婦に頼まれて山荘で葬式を出すことになったツトムは、大工に棺桶と祭壇を頼み、写真屋に遺影を頼みと、通夜の支度に大忙しだ。東京から真知子もやって来て、通夜振る舞いの支度を手伝うことに。夜、思いがけなくたくさん集まった弔問客は、チエに作り方を習ったそれぞれの味噌を祭壇に供えた。

葬儀のあと、真知子を栗の渋皮煮でねぎらったツトムは、「ここに住まないか」と持ち掛ける。「ちょっと考えさせて」と応じた真知子だが、しばらくして、ふたりの心境に変化を生じさせる出来事が起こる。後は、映画を観てくださいね。


 

何とも言えない、味のある映画でした。私は好きな方だけど、これは、好き嫌いがあるかもしれないな。ゆったりしていて、何の答えも出ないように見えるけど、でも答えは全部自分の中にあるんです。自然の中で、自分に素直に生きるのか、周りの人に合わせて、たくさんの人の波を泳いで行くのか、どちらかで生きていくとなったら、どっちにしますか?って事なんだと思うんです。

 

作家のツトムは、信州の山奥で暮らしていて、編集者の恋人がいます。彼女は、ツトムの前の奥さんの後輩のようでした。作家と編集って、どうしても距離が近いので、恋仲になることも多いのかな。でも、随分と年が離れているようでした。この年齢差って、とても問題だと思うんです。

 

我が家も、ひと回り以上年が離れているのですが、歳を取ってくると、歳上の夫は、後何年生きられるかという考え方なんだけど、私は、次は何をやりたいという気持ちなので、その辺りが全く合わないんです。この映画でも、きっとツトムは、後何年かなという考え方だからこそ結婚は眼中に無いんですよね。でも、彼女の方は、結婚して、できたら子供も持てたらという願いがある。そんなツトムが、いつまでも奥さんの遺骨を家に置いておくとか、言わないけどイラっとするよね。だから、彼といると、とても居心地が良いけど、未来が見えないんだと思うんです。

 

 

観ていて、うーんと考えました。結婚したいと思う人は、年配の人とは付き合わない方が良いですよ。未来が見えないですもん。でもね、芸能人の加藤茶さんが、若い方と結婚されて幸せそうに見えるので、彼は良い人を見つけたなと思うけど、そう上手くは行かないよね。通常は、このツトムみたいな感じだと思います。

 

ツトム側から見れば、凄く幸せだと思います。残り少ない人生を、好きな生き方をして、好きな人と一緒にいられるなら、そんな幸せなことはないじゃないですか。好きな山で山菜を取り、育てた野菜を収穫し、土の香りがするような料理方法で、好きな人を横に食べるなんて、そんな贅沢ないでしょ。

 

でもねそんな事に付き合ってくれる人は少ないです。映画を観てもわかると思うけど、真知子は、一緒に住まないかと言われて、考えさせて欲しいと言います。そりゃ、彼女だって、未来の事を考えますよ。彼女には、自分の人生もあるのだから、ただ、彼を送るだけの人生になりたくなかったんだと思います。そういう、それぞれの人となりとか、年代とかの人生観の違いが、良く描かれていると思いました。

 

 

とても現実的な事を書いてしまいますが、山で暮らして、山菜を取ったり、畑で農作物を作ったりというのは、土地を手に入れて、それなりに管理をすることが必要となります。簡単に山で暮らしたいと思っても、そう簡単に行かないところが、現在の事情なんです。

 

ツトムは、簡単に山に入って山菜を採っていましたが、その山も自分の土地なら良いけど、他人の山なら、了解を取って、使用料を払わなければいけないし、畑を作るなら、その土地は自分の土地でなければならない。田舎の方の土地の値段は安いですが、それでも手に入れたら管理もしなければならないでしょ。もし、歳を取って、放置する事になったら、また、それも非難される事になります。土地を持つということは、どこまでも責任が伴なうんです。

 

 

だから、簡単にはこんな生活は出来ず、若い頃に成功してお金を貯め、地位を手に入れていればこそ、こんな優雅な生活が出来る訳で、ただ、田舎暮らしをしたいと思っただけでは、こんな生活はできないかなと思いました。

 

ツトムさんは、小説家として地位を確立しているし、こんな生活をしながら小説を書くからこそ、良い作品が出来るのかなと思いました。日々の生活の中で、子どもの頃に寺に奉公に出されたという話が何度も出てきますが、この歳になっても、その事がやっぱり心に引っかかっているんですかね。口減らしと言っていましたが、本当にそんな事が日本でもあったんですね。現代では考えられないけど。今なら、預かってあげるからお金を用意して下さいって言われそうですもん。

 

 

こんな生活が送れたら、どんなに幸せだろうかと思います。自分の好きなことをして、好きなものを食べて、人に時間を左右されず、電話に煩わされることもない。そんな生活が出来たら、ストレスも無くなって、病気も治りそうですね。でも、私は、田舎暮らしは難しいかな。虫が苦手だから、虫がブンブン部屋の中を飛ばれたら、そこには居られないですもん。ダイオウグソクムシやカブトガニは好きなのに、虫はダメなのよ。(笑)

 

ツトム役を沢田さんが演じていて、今までとはちょっと違う、静かな大人を演じています。料理は土井先生が監修しているようでしたが、沢田さんが料理をする手先は、器用そうでちょっと素敵でした。料理をする男性の手とか腕って、横に立って見ていると、ちょっと素敵ですよね。自分で持つフライパンは重いけど、彼が持つと軽そうに見えたり、そんなちょっとしたところが、素敵に見えました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。アクション映画などが好きな方には、あまり好まれないかもしれませんが、静かに自然に寄り添って暮らすという大切さを描いている映画で、そんな生き方もあるのかと考えられる映画です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「土を喰らう十二ヵ月」