TIFF2022 コンペティション部門
「カイマック」
を観ました。
ストーリーは、
北マケドニアの首都スコビエ。エヴァとメトディは若く裕福で、成功している夫婦です。夫のメトディは子供を欲しがっていますが、エヴァは妊娠することに恐怖を感じています。自分の身体の中に寄生されるなんて、恐ろしいと思っているようでした。
でも、裕福な友人たちとの集まりで話しをしていると、皆、子供との幸せな生活を自慢するので、子供がいないという劣等感を感じ始めます。それに、結婚して何年も経つのに、子供が出来ないことを心配する周りの目が気になり、エヴァは、自分だけ子供を持たないのは体裁が悪いと考えます。
ある日、エヴァは、生まれ故郷の村に向かい、知的障害のある親戚の子を連れて帰ります。そして、自分のために子供を産ませようと画策して…。
一方、中年夫婦のダンチェとカランバは、貧困ではないけど裕福でもなく、崩れかけたような家で暮らしています。ある日、夫のカランバは、市場の”カイマック”の売り子ヴィオレトカとイイ感じになり、浮気を始めます。最初の頃は、上手く隠していたのですが、ある日、カランバはヴィオレトカを家に連れ込み、夫婦のベッドでSEXをしているところに、ダンチェが帰って来てしまいます。
浮気のバレたカランバは、もう、どうにでもなれと諦めて目をつぶっていると、何故か、今度はヴィオレトカとダンチェがベッドに雪崩込み、SEXを始めます。3人はそれぞれに関係を持ち、しあわせな生活を送り始めるのですが…。3人での生活は、それで終わる訳が無い。3人はどうなるのか。
後は、映画を観てくださいね。
不思議な映画でしたが、私は楽しめました。裕福でも貧困でも、それぞれに幸せと不幸があり、思い悩むことはどちらも同じだけあるという事が描かれていました。
この2組のカップルなのですが、隣り合わせの建物に住んでいて、一方が高層階、一方が下層階に住んでいます。そして、上に住んでいる、エヴァとメトディは、はっきり言って、下層階に住んでいる人たちを見下しています。嫌な人達だなと思いました。だって、タバコを下のダンチェに投げつけるんですよ。酷いでしょ。
今回の映画祭で思ったんだけど、これだけ喫煙が悪いと言われて、どこも禁煙になっているのに、何故か、映画では喫煙シーンが多いんですよ。凄く違和感がありました。誰もがタバコは吸わなくなっているのに、映画ではこんなにも喫煙していて、その上、道路に投げ捨てをするという場面が多く嫌悪感を抱きました。大体、現代では地位が高い人や裕福な人はタバコを吸わないというのに、裕福という設定でもタバコを吸っているというのが、どうにも不自然だなと思いました。
そんな事があり、エヴァがタバコを吸っているのは違和感があったのですが、まぁ、嫌がらせでタバコを投げつけるという事をしたかったので、吸わせたのかしら。それに、妊婦の周りでもタバコを吸うシーンがあり、マケドニアでは、まだタバコの規制があまり無いのかなと思いました。
そんなエヴァは、子供を産むのを嫌がります。お腹の中に、エイリアンみたいに寄生されているみたいで嫌だと言っていました。体形が変わるのも嫌だし、妊娠中に仕事が出来ないのも耐えられないようでした。とにかく、自分が一番好きな人なんです。そして、親族の子に代理出産をさせます。結構、酷いよね。
エヴァが子供を持とうと思ったきっかけが、どーも、友人たちが来て、子供を産めないんじゃないかというような事を言われ、子供はいいよ~みたいに自慢されたのを聞いて、嫉妬心で子供を持とうと思ったように見えました。でも、彼女にとっての子供は、ペットと一緒。世話をするのも面倒だし、うるさいのも嫌みたいで、こういう人に子供を持たせちゃダメだよなぁと思いました。
一方、ダンチェとカランバの夫婦は、カランバの浮気で、大騒ぎになるのかと思いきや、何故か、3P状態となり、上手い関係を築くことになります。ダンチェとヴィオレトカが、結構、お互いを気に入り、カランバ抜きで楽しんでしまったりして、二人で仲良くなっていってしまうので、ちょっとカランバは可哀想な状態になっていきます。
こちらの夫婦と愛人の関係は、結構、明るめで、淡々と進んで行くので、楽しいだけだったかな。あまり深い面は無く、3人の愛の行方が問題になっていきます。まぁ、やっぱり3人で、愛し合うというのは、そんなに長くは続きませんよね。どうしても、関係の中に嫉妬とかそういうものが出てきてしまいますから、簡単ではありません。
こんな2組のカップルが、どう絡み合って、どんな結末に辿り着くのか、とても楽しいですよ。え?!と思うような展開になっていて、ちょっと驚きました。でも、この展開は楽しかった。どんな生活をしていても、人間性によって、幸せになるか不幸になるか、それは、神のみぞ知るという感じですかね。人のレベルでは決められないことのように感じました。
この映画は面白かったなぁ。私は好きでした。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。色々と考えさせられながらも、ちゃんと結末に辿り着き、スッキリしますので、楽しいですよ。これは、日本公開して欲しいなぁ。これなら楽しめると思うんだけど。機会があったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「カイマック」