「ミセス・ハリス、パリへ行く」
を観てきました。
Fan's Voice独占最速試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは
1950年代、第2次世界大戦後のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦ミセス・ハリスは、勤め先でディオールのドレスに出会う。その美しさに魅せられた彼女は、フランスへドレスを買いに行くことを決意。どうにか資金を集めてパリのディオール本店を訪れたものの、威圧的な支配人コルベールに追い出されそうになってしまう。しかし夢を決して諦めないハリスの姿は会計士アンドレやモデルのナターシャ、シャサーニュ公爵ら、出会った人々の心を動かしていく。
というお話です。
1957年、第二次世界大戦後のロンドンで、戦争から帰ってこない夫を待ちながら家政婦の仕事で生計を立てていたエイダ・ハリス。ある日、掃除に行った家に置いてあった、オートクチュールのディオールのドレスを見て魅了される。自分も一度で良いから、あんなドレスが着てみたい。
今までコツコツと貯めてきたお金と宝くじで当たったお金を足して、と思ったが全く足りない。色々と工面をしてみたが無理かとガッカリしていたが、そんな時、夫の戦死の知らせが届き、遺族年金などが入り、他にも何故かお金が入ってくることに。神のお導きだと思ったエイダは、そのお金を持って、フランス・パリのディオールの店を訪ねることに。
その頃、フランスでは不況が続き、誰もがストライキを起こして、街は荒れ放題になっていた。ディオールに着くと、たまたまディオールの 10 周年記念コレクションのショーに出くわす。しかしショーの入り口でエイダを見たマネージャーのクロディーヌは、場所にふさわしくないと判断し、エイダを連れ出すように指示をする。そこに出会した侯爵が、自分の連れとして入れてくれ、コレクションを見ることが出来る。
ドレスを見て、欲しい番号を頼むのだが、一番の希望は他の人に取られてしまい、2番目のドレスを頼むがクロディーヌは辞めさせようとする。しかし会計士のアンドレやモデルのナターシャの協力により、オーダーできる事になる。これでドレスが買えると思ったが、まだまだ難題が待ち受ける。そして、ディオールの側にも、様々な事情があり問題は山積。不況の煽りを受けて、存続の危機までも…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。誰が観ても、この映画は好まれるんじゃないかな。とても分かり易くて、ハッピーな映画何だけど、シンデレラが王子様と出会って幸せになるというのとは違い、ちゃんと努力をして、失敗もして、そう簡単には成功しないところが、また、とても良いんです。身の丈に合った幸せを追求していく姿が、とても良いと思いました。
身の丈と書いたけど、最初、エイダがディオールを訪ねた時は、誰がみても、貧そなコートを来て、その場所にそぐわないという感じなんです。でね、問題は、エイダ自身が、そのことに気がついていないんです。そういう世界を味わっていないし、教育も受けていないので、ディオールというところが、どんな場所かも知らず、普通の洋服店としか思っていないんです。そのギャップが面白いんですけどね。
だけど、その時代、戦後の不況続きでディオール自体も存続の危機を迎えていたんです。なので、エイダの事なんて、誰も見向きもしないと思っていたのですが、会計士のアンドレが、現金で購入して貰えるお客だと判って、彼女を引き止めるんです。この映画、この辺りのバランスがとても良くて、楽しめました。通常なら、すぐに追い出されてしまうエイダのような人物でも、ディオールに入り込めたんです。
そして、アンドレやナターシャと交流を深めていく内に、彼らにも影響を与えて、エイダは彼らの心の支えになっていくんです。いつも家政婦として、透明人間になっていたエイダですが、そこでは、存在感が増して、周りに沢山の影響を与えます。哲学者のサルトルを知らなくたって、問題解決は出来るんです。(笑)
エイダは、そんなに”学”はないのかもしれないけど、人としては素晴らしい人で、頼まれたら嫌とは言えない人なんです。お人好しで正直者、本当に良いオバさんなんです。なので、悪い奴にはつけいられてしまいますが、必ずエイダを助けてくれる人が現れてくるんです。そういうもんですよね。現代は分からないけど、この時代の人たちは、温かい心を持っていたんです。
昔は、ヨーロッパでも悪い人はあまりいなかったのかもしれません。だってエイダは、拾った宝石は警察に届けるし、困っていれば助けていました。そして、周りの人々も、彼女が酔っぱらってベンチで寝てしまっていても、持っているモノには手を出さなかったし、彼女を見守ってくれる感じでしたもん。良い時代だったんだなぁ。凄いストライキをしていて、街は汚れていたけどね。
この映画の良いところは、おとぎ話になっていないこと。さっきも書いたけど、シンデレラみたいな話にはならず、ちゃんとエイダは自分が居るべき場所を大切にしているし、ちょっとした恋心もあるけど王子様は現れず、エイダは、自分の立場をわきまえているんです。ドレスを買ったからって、貴族になるわけでもなく、お金持ちの仲間入りするわけでもありません。自分の生活は変えないんです。それが、とても良いと思いました。
高望みをして、周りに引かれてしまうということはないんです。そこが、とても良かったと思いました。だって、それがエイダなんですから。変わって欲しくないでしょ。あ、もちろん、ドレスを買うのですから変わりますけども、生活を変えるのではないんです。でも、素敵になりますよ。とっても良いお話しになっていました。
私は、この映画、朝!超!お薦めしたいと思います。この映画は良いです。誰が観ても元気を貰えて、心が温かくなるんじゃないかな。戦後の大変だったフランスの雰囲気もよく描かれていたし、イギリスの戦争未亡人としてのエイダの悲しみも描かれていました。よかったと思います。ぜひ、観に行ってみてください。公開は、11月18日です。
ぜひ、楽しんで来てくださいね。
「ミセス・ハリス、パリへ行く」