「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」
を観てきました。
ストーリーは、
19世紀のパリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、女性というだけで研究の機会を得られずにいた。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たし、結婚してキュリー夫人となった彼女は、夫の支援で研究に没頭する。やがてラジウムとポロニウムという新しい元素を発見し、夫婦でノーベル賞を受賞する。しかしピエールは不慮の事故で他界し、発見したラジウムは核兵器として利用されるようになってしまう。
というお話です。
19世紀、パリ。ポーランド出身の若き女性研究者マリ・スクウォドフスカ。ポーランドでは女性の研究者など全く相手にされず、好きな研究を続けるためにフランスへ留学したのだが、ここソルボンヌ大学でも性差別を受け、ろくに研究の機会を与えられないでいた。その上、マリは、”歯に衣着せぬ”物言いをするので、上級教授たちから厄介者扱いされていたのだ。
そんな中、同僚の科学者ピエール・キュリーと運命的な出会い?を果たした彼女。ピエールも変人扱いされており、教授たちから迷惑がられていたが、彼は男性でそれなりの地位も持っていた。ピエールは、マリに共同で研究室を使わないかと提案し、一緒に研究を始める。そして優しいピエールはマリの心を溶かし、結婚して、マリは、キュリー夫人となる。
彼の支援で研究に没頭した彼女は、ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見したことから、夫婦でノーベル賞を受賞する。しかし、最初は夫の名前しか記載されず、ピエールが共同研究なので夫婦の名前でと強く申し出たことで、二人の名前が記載されることになった。まだ、科学の世界では、女性の地位は上がっていなかったのだった。
二人の研究が科学界を席巻するが、ふたりの幸せは長続きせず、夫は不慮の事故死を遂げてしまう。さらに、彼女が発見したラジウムは癌細胞の治療に役立つ一方、核兵器としても利用されるようになり、彼女の苦悩は深まっていくのだった。彼女の救いは、娘のイレーヌが科学の道に進み、素晴らしい研究を続けていた事だった。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、キュリー夫人を知るには良かったと思いますが、構成がとても解り難いと思いました。マリとピエールが出会い、その時代の状況などを描き、二人が結婚してキュリー夫妻となって、研究を続けて、ポロニウムとラジウムを発見して、ノーベル賞に至るという部分までは、一応、時系列通りに描かれていて、解りやすかったのですが、ノーベル賞を初めて貰った辺りから、その研究が、のちに何をもたらしたのかという結果を映像に入れ込み始めてしまうんです。
”放射能”と名付けたという映像があったと思うと、突然に原爆を落とされた日本の情景が入れ込まれたりしていて、今、発見されたばかりなのにどうしたの?って思っちゃうんです。いきなりファットボーイを落とした映像を見せられても、あれ?あれ?となるでしょ。後から理解出来るけど、突然に来ると、時代が飛んじゃったのかと思って、ビックリしちゃいました。
構成がそんな感じなので余分な部分が多く、マリ・キュリーの細かな描写は少なくて、結構、性格がキツくて、夫にでも誰にでも、容赦なく罵倒を浴びせるという激しさは、よく描いてありました。でも、あれだけ頭の良い方なので、無駄に怒っていたのではなく、ちゃんと理由があったのだと思います。その辺りは、全く描かれていなかったかな。ちょっともったいなかったです。
それにしても、この時代に女性で2度もノーベル賞を貰い、大学教授となって、娘たちまでノーベル賞を貰うように教育をしたというのが、とんでもない天才だと思いました。もちろん、現代女性も頭の良い方がたくさんいらっしゃいますが、ノーベル賞を2度貰って、自分が育てた娘たちもノーベル賞を貰うなんて人、いないでしょ。
元々の頭脳が良いのもあるけど、マリ・スクフォドフスカは、父親は教師だったみたいだけど、そんなに英才教育を受けた訳でもなく、お金も無かったから、家庭教師をしながら学費を貯めて学校へ行き、23歳くらいでソルボンヌ大学に入学しているんです。親がギャーギャー言って勉強させたのではなく、自分から何となく勉強していれば、時間がかかってもノーベル賞を貰えるほどになるんですよね。
でも、天才だから幸せとは限らないと、この映画で思いました。素晴らしい研究でラジウムを発見したけど、放射能を見つけた事から、核爆弾が作れるようになってしまったし、放射能を使ったレントゲンで病気を見つけられるようになったけど、浴びせすぎると血液の病気になってしまい、死に至るという、しあわせな事ばかりじゃなかったようでした。
技術の進歩は一長一短、必ずしも、完璧なしあわせが訪れる訳ではないんですね。何かがプラスになれが、どこかでマイナスになっている。人間は、何処までも追及していくけど、その分、どこかで幸せを削られているんです。悲しい現実だけど、どこかでバランスよく、多くの生物が幸せになれる日が来ると良いんですけどね。
なんか、内容はバラバラしていたんですけど、キュリー夫人が何処までも追い続けていた幸せというのは何だったのかなと思って、色々と考えさせられました。彼女のような人が、もし現代に生きていたら、出来れば、経済学者として今の世界経済を立て直して欲しいな。もう、資本主義が末期に来ているから、これを良い方向に導く人に出てきて欲しいなって思っています。
キュリー夫人をロザムンド・パイクが演じていて、その気の強さはピッタリだなと思いました。夫のピーターをサム・ライリーが演じていて、私、この方、大好きなんです。そして、二人の娘役をアニャ・テイラー=ジョイが演じていて、今、売れてますよね。本当に良く出ています。彼女も大好きです。良かったですよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。キュリー夫人の半生を描き、こんな凄い功績を残した方だという事が描かれていました。私は、途中で差し込まれる、彼女が発見したものがその後に使われた悲劇の映像などが、とても無駄だと思いました。彼女が残した功績は素晴らしいという事を最後までスッキリと描いた後に、実は、こんな事に使われて悲劇を生みましたという解説で良かったと思います。そこら辺の構成が良くなかったかなと思いました。でも、素晴らしい映画ではあるので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」