「ドライビング・バニー」
を観ました。
Fan’s Voice独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
ある事情から妹夫婦の家に居候している40歳の女性バニー。幼い娘とは監視つきの面会しかできないが、娘の誕生日までに新居に引っ越して一緒に暮らすことを夢見て必死に働いている。そんなある日、妹の新しい夫ビーバンが継娘トーニャに言い寄っている場面を目撃。ビーバンに立ち向かうが、家を追い出されてしまう。住む場所まで失ったバニーは救い出したトーニャとともに、愛する娘を奪い返すべく立ち上がる。
というお話です。
ある事情から、妹夫婦の家に居候中のバニー。娘と息子は監視付きの面会交流しかできない。それでも、明るい笑顔と気の利いたトークで車の窓拭きをして必死に働いている。夢は娘の誕生日までに新居へ引っ越し、家族水入らずの生活を再開させること。誕生日は迫っており、新居の目途は立たず、妹の家のガレージを、一時的に家として貸して欲しいと頼むと、夫ビーバンの家なので、彼の了承を得られればと言い、ビーバンも、少し家賃を多めに入れてくれればと了承する。
これで、家も用意出来て、子供たちと誕生日を祝えると思っていた矢先、妹の夫ビーバンが継娘のトーニャに言い寄る光景を目撃してしまう。一瞬、子供のことを思い出したが、子供に手を出す男は許せず、バニーはビーバンに立ち向かうも、家を叩き出されてしまう。
「家なし、金なし、仕事なし」運の尽きたバニーは、友人の家を自宅と偽り、支援局に申請をして子供と誕生日を過ごせるようにし、ビーバンの車を盗んで、置いてきたトーニャを迎えに行き、二人で逃げ出すことに成功する。誕生日の用意をして、支援局に手続きに行くと、以前にバニーが勝手に子供たちに逢ってしまった事が原因で、子供たちの里親が変わり、担当も変わってしまっていた。
逢う手続きも取れなくなり、子供の居場所も解らない。パニックになったバニーは、相手の隙をついて子供がいる地域を知り、トーニャを連れて子供がいる地域の家庭支援局へ向かうことに。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄く考えさせられる問題作で、素晴らしいと思いました。きっと、大半の方は、子供と引き離されて可哀想なバニーと思うのかもしれませんが、私には、2人も子供がいるのに、どうして子供の為にルールを守って生活をするという基本的な事が出来ないのか、よく解りませんでした。社会的弱者と言うけれど、ただ、自分のやりたいように生きているように見えるんです。
誰もが、好き勝手に生きている訳ではなく、色々な事を我慢して、必死でお金を稼いで生きているのに、バニーは、支援局が子育て勉強会や、面接のための勉強会に行きなさいと言っても行かず、バカにしているんです。でも、一度、面接のための勉強会に行き、スーツを用意して貰うと、周りの見方が変わる事を知るんです。この面倒だからとか、無駄だからと言って、何も学ばない人間の知識の低さに苛立ちました。頭を使おうとしない人間は、この映画のように、自業自得で自滅をして行きます。周りを見ていても、ほとんどそうですもん。
このバニーは、自分を抑えられないんです。子供たちに虐待をする夫を殺したために、子供とは別れさせられて生活をしているようなのですが、怒りは解るけど、殺すのはダメだし、いくらでもやり方があったと思うのだけれど、抑えが利かない性質なのでしょう。これも、きっと脳の障害があるのだと思いますが、それなら、ちゃんと治療をすべきなんだけど、治療していなさそうでした。自分を抑えられない人間は、子供を育てちゃいけないと思います。子供が可愛そうですから。このバニーは、確かに子供を可愛がっているけど、もし、一緒に暮らし始めたら、可愛がりはするけど、怒りが出た場合、バニーが虐待をする可能性だってある訳です。恐ろしいと思いました。
そんな危険をはらんだバニーは、沢山の悪いことをしていました。友人の家を自宅と偽って申請したり、お金が無ければスーパーの物を盗んだり、勝手に内覧用の部屋に入って居住しようとしたり、ホントにめちゃくちゃなんですよ。仕事だって、車の窓ふきって、これ道路でやってはいけない仕事でしょ。なんでマトモに仕事を探して働こうと思わないのかしら。ウェイトレスやレジ係、荷物運びなど、いくらでも仕事はあるだろうに。あの道路での窓ふきって、私も海外でやられそうになったことがありますが、恐いですよね。脅されるんじゃないかと思って、窓は開けませんでしたもん。
バニーは、妹夫婦の家に居候させて貰っているのですが、妹の連れ子のトーニャに、妹の夫ビーバンが手を出そうとしているところを見てしまうんです。継娘に手を出すって、まぁ、あり得そうですが、それを妹に言っても信じないんです。妹としては、自分と子供を受け入れてくれた新しい夫を信じたい気持ちもあるだろうし、彼の家に住んでいるのに、そこに姉までも一緒に世話になっていて、辛い立場だったんじゃないかな。このバニーは、妹にも迷惑をかけていることを、あまり理解してなかったんじゃないかな。だって、悪いと思っていたら、ガレージを家として貸して欲しいとは言わないでしょ。どこまでも図々しいんです。盗人猛々しいという感じでした。
だから、確かに子供と離されているのは可哀想とは思ったけど、それは自業自得だし、自分が真っ当な仕事をして、生活基盤を正せば、一緒に生活が出来ると判っているのに、それが出来ないというのは、自分のせいでしょ。私には、甘えにしか見えないんです。子供にとっては、そんな適当な親に育てられるより、里親でも、社会に順応出来る基本を教えてくれる人に育てられる方が、子供にとっては、しあわせな事だと思いました。大人になって、判別が出来るようになってから本当の親と会えば、自分の親が間違っているのか正しいのか、判断出来るので、それなら良いと思います。
ここで出てくる支援局の強さは素晴らしいと思いました。ルールを無視して無茶な事をするバニーに、”子供の為に私たちが責任を持って育てます”という事を、しっかり親に言うんです。これは、日本の児童相談所も見習って欲しいと思いました。親が虐待していても手が出せず、殺すことになってしまうなんて、絶対にあってはいけません。危ないと思ったら、どんなに残酷に見えても、引き離さなければいけないと思いました。ここで可哀想だからと情を出してしまったら、このバニーは子供たちを連れまわし、上の息子が、バニーと妹の面倒を全て見ることになってしまうと思います。アメリカの支援局は、本当に子供の事を考えての行動をしているのだという事が、この映画で解りました。日本も見習って欲しいです。
この映画、凄い映画だと思いました。親の深い愛情を描きながらも、社会の現実を良く描いていて、考えれば考えるほど、答えが出ない問題が語られていました。情だけで左右してはいけない子供の成長の事とか、愛情だけでは親は出来ないとか、一緒に暮らせたとしても継父からの性的虐待が起きたりとか、人間が生きていくには、成長していくには、沢山の問題があるんです。ただ、親子だから一緒に暮らすことがしあわせだという、単純な考え方だけでは終わらない問題が山積みなんです。
そんな事を教えてくれる映画でした。正直に言えば、親子は一緒に住むのがしあわせだと思うし、私も親と一緒にいる事はしあわせです。でも、そうでない人達もいるのだと思いました。人それぞれ、事情は違うんです。自分は子供と一緒に暮らしたいと思っても、周りから、「あなたには親としての素質が無い」と言われたら、何故、自分は子供を育てられないのかと考えるべきなんです。誰も嫌がらせで子供と引き離している訳ではありません。あなたがダメだから、子供を渡せないと言っている事を理解すべきなんです。そんな事を思いました。
いやぁ、思い返せば思い返す程、考えさせられる映画でした。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。笑える場面もありますが、その裏に隠された深い意味を読み取って欲しいです。この監督、凄いですね。この映画がデビュー作だそうです。これからが楽しみです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ドライビング・バニー」