【演劇】「夜の女たち」溝口健二監督の映画を舞台ミュージカル化。戦後の日本の暗部を描いて行く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【舞台】「夜の女たち」(ミュージカル)

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

 

戦後すぐの大阪、釜ヶ崎。「日没後、この付近で停立または徘徊する女性は闇の女と認め、検挙する場合があります」と札が立っている。

 

大和田房子は焼け出された後、病気の子を抱えて困窮していた。夫は戦地からまだ帰っておらず、両親や妹・夏子は終戦を迎えたものの消息不明になっている。姑や義理の妹・久美子と同居しながら、着物を売り払ってなんとか暮らしている。

 

そこに行政から届いたある知らせに絶望する房子。その上、生活は苦しく、小児喘息を患っている息子は、薬が買えずに亡くなってしまう。これからどうやって生きて行こうかと思っていると、夫の知り合いである会社の社長・栗山が秘書として雇ってくれる。

 

 

一人、夫の実家を出て生活を始めると、街で夏子らしき女性を見かける。急いでその後を追うと、妹の夏子で、満州から日本に引き揚げてきていたのだった。両親は餓死し、夏子一人が、何とか生きていたというのだった。ダンサーとなった夏子は、酷く苦労をしたようだ。

 

房子と再会した夏子は、房子の家に転がり込み、二人で暮らし始めるのだが、その家には、房子の面倒を見ている栗山が訪れていた。房子に言い寄っていた栗山だが、夏子にも・・・。栗山の裏切りを知った房子は、その家を出て、夜の街へと消えていく。社会への憎しみを抱いたまま、その恨みを晴らすように、新しい人生に身を投じていく。

房子、夏子、義妹の久美子、3人の女性が、戦後に生き抜いた壮絶な時間と、凄まじい生命力を描いた人間ドラマです。

 

というお話です。

 

 

主演は房子役の江口のりこさん。夏子役に前田敦子さん、大和田久美子(義妹)役に伊原六花さん。北村有起哉さん、大東駿介さん、前田旺志郎さん、他の出演で、長塚圭史さんの演出でした。

 

このお話は、溝口健二監督が映画化されたお話で、それを、今、ミュージカルとして生まれ変わらせて発表されました。9/3~9/19に神奈川芸術劇場で上演され、これから全国に周るようです。

 

私、昔の映画は観ていませんが、こんなに激しくて、酷い状況の日本を描いている映画があったんだなと初めて知りました。昔の日本映画というと、時代劇くらいしか知りませんでしたが、やっぱり小津安二郎監督や溝口健二監督などの有名監督の作品は観るべきなのかなと、やっと思うようになりました。今まで、古い映画なんてって思っていたんです。この舞台を観て、こんなにも苦しい時代を真摯に見つめ、描いていた監督がいらっしゃったんだと、ちょっと驚きました。

 

 

そんな映画を、ストレートプレイではなく、ミュージカルとして作り替えた長塚監督にも驚きます。ちゃんと歌って踊って、というか、ストーリーの中に歌が入っていてもまったく違和感が無くて、その時代に苦しんでいた女性たちの心情が、よく描かれていました。どうして女性は、いつの時代にも、こんな風に苦しまなくちゃいけないんですかね。

 

まぁ、もし今戦争が起きたら、もう、人間がゴチャゴチャ戦う間もなく、核爆弾一発で終るとか、クラスター爆弾を落とされて一面が灰になってしまうと思うので、戦いなんて無いのかもしれません。でも、第二次世界大戦後は、家族が生きているかも解らず、それでも生きなければと思って、どんな職業にも就いたんだろうと思いました。

 

そりゃ、誰だって、身体を売るなんてことはしたくなかったけど、それでも生きるためには仕方なかったのだという事が、よく描かれていました。そんな混沌とした生活の中でも、家族との葛藤もあり、誰かを守りたいという気持ちもあり、何とも言えない気持ちになりました。

 

 

よく、綺麗ごとを訴えている人がいるけど、ギャーギャー騒ぐのは簡単なんですよ。じゃあ、この仕事をしなくてもやっていけるようにお金や仕事をくれるのかと言ったら、何もしてくれない。現代でも、大声を上げる人に限って、騒ぐだけで何もしてくれないんですよね。自分のアピールをするだけ。デモをするくらいなら、お金を集めて、苦しんでいる人に配れば良いのに。集まっている時間、コンビニで働いて、その時給を困っている人に渡せばいいんじゃないの?ホント、無駄な事をして、人がくつろいでいる時間を奪っていると思わないのかしらと軽蔑しています。

 

それにしても、戦後、昭和の時代に、こんな問題作を作っていたんですね。私、こんなに映画を観ていながら、日本の古い映画には全く手を付けていなくて、興味も無かったのですが、この溝口監督の作品のミュージカル化を観て、こんなに荒廃した日本に切り込んでいるお話だったんだと初めて知りました。これから、少しづつでも、日本の古い映画を観てみたいと思いました。

 

主演の江口さん、歌もイケるんですね。前田敦子さんは歌を歌っていた方だから、お得意ですよね。お二人とも、舞台で観る度に、綺麗になっているように見えて驚きます。今、まさに第一線で活躍されているお二人なので、その迫力は素晴らしかったです。

 

 

私は、この演劇(ミュージカル)、超!超!お薦めしたいと思います。大阪でも、東京でも、同じような状況に立たされていた女性が沢山居たのだと思います。もう、二度とこんな事が起きないよう、戦争はしちゃいけないと思いました。あの戦争から80年くらいになるのかしら。戦争を知っている人がほとんどいなくなっていると思うけど、戦争の悲劇は、ちゃんと伝えて行かなければいけませんよね。考えさせられました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「夜の女たち」