「夏へのトンネル、さよならの出口」
を観てきました。
ストーリーは、
とある田舎町で噂されている「ウラシマトンネル」。その不思議なトンネルに入ると、あるものを失う代わりに欲しいものが何でも手に入るのだという。掴みどころがない性格に見えて過去の事故が心の傷となっている高校生・塔野カオルは、芯の通った態度の裏で自身の理想像との違いに苦悩する転校生・花城あんずと、トンネルを調査してそれぞれの願いをかなえるため協力関係を結ぶ。
というお話です。
ある夏の日、田舎のローカル電車ホームで、塔野カオルは、ずぶ濡れの女子高生に出会う。つっけんどんな態度だが、傘を貸すと言って渡すと受け取ってくれた。傘は返すからと言って、連絡先の交換をする。女子高生の名は、花城あんず。
その日から数日後、カオルのクラスに転校生が現れる。それが花城あんずだった。誰にも媚びず、クラスでも他人を寄せ付けないような態度。しかし、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。
カオルは、掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱えて苦しんでいた。家に帰っても、酒ばかり飲んでいる父親とは折り合いが悪く、母親は出て行ってしまった。
ある日、家で父親と言い合いをしたカオルは、行く当てもなく走っていると、線路脇に滑り落ちてしまう。少し歩くと、不思議なトンネルがあることに気が付く。そういえば噂で”ウラシマトンネル”と言う言葉を聞いたことを思い出す。そのトンネルに入ったら、欲しいモノは何でも手に入るが100年経っているというのだ。
まさかと思いながらトンネルに入り、出てくると、1週間経っていた。驚いたカオルは、あんずに、その秘密を打ち明ける。あんずは、共同戦線を張って謎を解明しようと言い、お互いに欲しいものを手に入れるためだと話す。それから、二人はトンネルの解明を始めるのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
青春ラブストーリー+SF の映画でした。ただ、タイムワープをするのではなく、相対性理論を元に、時間の流れが違う空間を見つけた事で始まる、不思議なラブストーリーでした。面白かったと思います。
この主人公のカオルとあんずが、結構、簡単にトンネルに入ってしまい、入っている人間の時間と、外にいる人間の時間が異なるので、日常の家族とのギャップをどうするのかなと思っていたら、その設定も上手く誤魔化せるようになっていました。でも、居なくなって、こんなに時間が経っていたら、失踪届は出されてしまうと思うし、どうなっているのかなと思っていたら、最終的に、その辺りは、ぼかされていました。まぁ、仕方ないよね。
時間の流れが違うということで、外にいる人間が10年も年を取っているのに、中に入っていた人間は1週間くらいしか年を取らないことになるので、見た目も全然違いますよね。この映画だと、高校生の設定なので、実際は見た目も随分と違っちゃうんじゃないかと思いますが、アニメなので、そんなに絵は変わらずだったので、ふーんって思っちゃいました。ま、そんなに厳密に描けとは言いませんが、もう少し、年齢差を描いてくれていたら、この時間差のことがリアルに感じられたのかなと思いました。イマイチ、そんなに時間が経っているという事が感じられず、その辺りが残念かなと思いました。
主人公のカオルは、結構、可哀想な育ち方をしてきていて、これは、父親が悪いんだなと思ったけど、カオルが全部背負い込んで、我慢していたんです。これ、虐待だから、ちゃんと訴えた方が良いのになと思いながら観ていました。これは、暴力もあるし、精神的な暴力もありだから、引き離すべきですよ。親がこんな酷いことを息子に言うなんて、絶対に許せないなって思うようなセリフがありましたもん。
ま、そんな事が背景にあり、カオルとあんずは、自分の求めるモノを手に入れるため、”ウラシマトンネル”という、時間の進み方が違う空間に入り、奥行きはどれくらいあるのか、時間差がどれくらいあるのか、携帯電話が通じるのか、メールは通じるのか、などの調査をしていきます。
このウラシマトンネル、ちょっとおかしいんですよ。時間の進む方向が反対側に動いているから、時間の進み方が遅いというのは解るのですが、何故、過去の失くしたものが手に入るのか、全くの謎なんです。進む方向は違うけど、それでも前に進んでいるので、過去のモノが手に入るハズが無いんです。
手に入るとすれば、過去に戻っているという事になるので、それだと、ただのタイムトンネルとなってしまいます。それなら、ドラえもんみたいに過去に戻って、過去に修正を加えれば良いだけなんですけどね。そうなると、自分の未来も変わってしまうので、おかしな事になるとは思うんですけど。その辺りの設定が適当な感じで、もし物理学的に正しいトンネルなんだという事なら、しっかりと描いて欲しいし、ただのファンタジーだというなら、この世界の原則は何なのかというのを、しっかりと観る側に伝えてくれないと、あとからモヤモヤしてしまって、気持ち悪いんです。
そんな部分がありながらも、まぁ、楽しめる映画だとは思いました。なんとなく時間的な雰囲気が「地下室のヘンな穴」に似ていて、穴を下りて天井から下りてくると12時間経っているけど3日分若返るというのに似ています。ウラシマトンネルを1分歩いて帰ってくると、周りから見れば、1年前の若いままなんです。10分なら、周りが10年経過しているので、本人だけ10歳分、若いですよね。ちょっとややこしいけど、そんな感じなんです。
うーん、まぁ、ファンタジー映画と思って観れば、家族に恵まれなかった2人が出会って、不思議なトンネルで欲しいモノを手に入れようとするけどって事で、どんな結末になるかは、お楽しみです。ま、青春ラブストーリーだから、結末は、大体予想はつくでしょ。(笑)
私は、この映画、お薦めしたいと思います。不思議なトンネルとの出会いによって大切な人と出会えて、未来は不安定ではあるけど、未来を見つけたという感じですかね。凄く面白いとは言えないけど、楽しめる作品とは思えました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「夏へのトンネル、さよならの出口」