「よだかの片想い」子供の残酷さと大人の気遣い、どちらが大きく傷つくんでしょうね。良い作品でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「よだかの片想い」

 

を観てきました。

 

Fan's Voice枠で、特別試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

大学院生の前田アイコは、顔の左側に大きなアザがある。幼い頃から畏怖やからかいの対象にされてきた彼女は、恋や遊びはすっかりあきらめ、大学院でも研究ひと筋の毎日を送っていた。そんなある日、「顔にアザや怪我を負った人」のルポタージュ本の取材を受けて話題となり、本は映画化されることに。監督の飛坂逢太と話をするうちに彼の人柄に惹かれ、彼への片思いを自覚したアイコは不器用に距離を縮めていく一方で、自身のコンプレックスとも正面から向き合うことになる。

というお話です。

 

 

理系大学院生・前田アイコは、生まれつき、顔の左側にアザがある。小学生の頃、そのアザをからかわれたことで恋や遊びには消極的になっていた。

ある時「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにしたルポ本の取材を受けてから状況は一変する。本は大反響を受け、映画化の話までも進み始める。映画化の話までは受けられないと断るアイコだったが、編集者の友人が、監督に逢ってみて貰えないかと頼み込む。

逢うだけならと、編集者と一緒に監督の飛坂逢太との会食に行き、彼と話しをしている内に言葉に心動かされ、涙が出てきてしまう。アイコの様子が気になった飛坂は、映画の脚本だけ書かせて欲しい、嫌だったら断ってくれても良いと約束し、自分の作品を観て欲しいと、連絡先を交換して、自分の今までの作品をアイコに送る。



 

飛坂の作品を観たアイコは、その雰囲気を気に入り、映画の感想を飛坂に送って、それから交際が始まる。

初めは映画化を断っていたアイコだったが、次第に彼の人柄に惹かれ、不器用に距離を縮めていく。しかし、飛坂の元恋人の存在、そして飛坂は映画化の実現のために自分に近づいたという懐疑心が、アイコの「恋」と「人生」を大きく変えていくことになる。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、良い作品でした。私が、今、左顔面がマヒしているものですから、主人公のアイコの気持ちが、イヤに理解出来てしまい、何度も頷いてしまいました。アイコは、痣の事なんて、子供の頃からのことですから、それほど気にしていないんです。でも、周りが気を使っている事が解ってしまうので、とても嫌な気持ちになるんです。これ、凄く解るんですよ。自分は見られても、何てことは無いけど、周りの気遣いが解った時に傷つくんです。そんなに気を使われるような事なんだろうかって。

 

 

この問題って、永遠に解決が出来ないと思うけど、障がい者の方々だって、生まれてからずっと付き合っている障害だから、彼らにとっては、それが障害ではないんだと思うんです。でもね、周りが障害だ、障害だって騒ぐから、イヤな気持ちになるんじゃないかな。顔の傷でも、何でもそうだと思うんです。わざわざ、気を使われるより、「痣があるんだね。痛くないの?」とか聞かれてしまえば、痛くないし、生まれつきなんですよって言えて、それで終わると思うんだけどな。周りの人達も、その痣はアイコの特徴と捉えてしまえば、それ以上はなんて事が無くなると思うんですよね。

 

そんなアイコの姿から始まる、この映画。アイコが、映画化を希望する飛坂と出会って、彼の優しさや、才能に惹かれていくんです。アイコは、普通の恋愛のように、彼と一緒にいる事が楽しいし、出来れば、自分の方を向いて欲しいと思っているのですが、この飛坂、”映画監督”なんですよ。そうです、映画好きなら解りますよね。映画が一番なんですよ。だから、恋愛と言っても、映画の次になっちゃうんです。

 

 

うーん、アイコの気持ちも凄く解るんだけど、飛坂の気持ちも良く解るんです。だって、映画を作り始めたら、それにのめり込んじゃって、周りが見えなくなりますもんね。私は、自分が飛坂タイプなので、仕事を始めたら、家族も遊びも、その次になってしまう。それを理解してくれる人でないと、家族には成りえないんです。仕事だから割り切らなくちゃと思うんですけど、飛坂も私も、その仕事が、実は好きな事なので、離れられないんです。それは、その人の生まれ持った性格なので、変えようが無いんですよねぇ。

 

なのでアイコは、飛坂が、映画が決まってからは、それまでのように自分に構ってくれなくなるので、自分を利用しただけなんじゃないかって、疑い始めるんです。でもね、それ、違うんです。心底、アイコさんが好きだっただろうと思うけど、映画と込みで愛していたと思うんです。騙したんじゃなく、映画を通して、アイコを愛していたんだと思うんですよ。映画の中でも、ある女優が言いますが、そういう事なんです。

 

 

題名にもあるように、よだか=アイコの片想いと見えるけど、アイコの方が、映画を込みで飛坂を愛さないと、決して上手く行かない相手なんです。飛坂の方も、映画込みで愛してくれないと、どんなに好きな相手でも、上手く行かない人物だと思います。私も一緒だもん。好きな事は切れないですもん。

 

でもねー、通常、女性は愛して貰いたいし、一緒にいて欲しいと思いますよねぇ。それも理解出来るんです。でも、飛坂からすると、ウザっ!て感じますよ。私も、ウザっ!と感じたら、直ぐに別れるもん。好きな事をやっている時に、面倒臭いんだよって思っちゃうの。きっと、酷いと言われちゃうけど、それが本心だから、隠せません。

 

 

そんな恋愛模様を描いて行く作品でした。そこに、顔の痣が関係してくるんだけど、映画の中でも、そんなに協調はされていないんです。それはきっとアイコ自身が、自分の痣の事を酷いこととは思っていないからで、周りが気にした時だけ現れてくる事として描かれていたのかなと思いました。段々と恋愛で追い詰められて行くアイコは、それが痣に関係しているのかもと感じ始め、そこで、ちょっと怖い感じに描かれますが、本当は痣は関係無いよね。

 

だって、痣なんて、隠したければファンデで隠せば良いし、気にならなきゃ、そのままでいいじゃないですか。顔に痣があるからと言って、何か変えるような相手なら、付き合わなきゃいいでしょ。痣とかいうなら、容姿の方が問題でしょ?痣があるけど美人と、キレイな顔だけどブスだったら、痣があるけど美人の方が良いと思いませんか?(笑) あ、これ、怒られちゃうかしら。(笑)

 

たまたま、今、自分が左半分顔面麻痺状態なので、色々と感じて、書いてしまいましたが、元々、私は、障がいや傷があっても、何も感じないタイプです。平気で聞いちゃうし、知った方が付き合っていけると思うんです。自分にだって、見えない障がいがあるかも知れないし、これから障がいを負うかもしれないのだから、みんな一緒でしょ。

 

 

但し、ごめんなさい、私は、美しいモノが好きです。綺麗じゃなくて、美しいモノが好きなので、自分の美意識に反するモノは、どんなに美人でもイケメンでも、ダメなんです。それは表面上も内面もね。きったねー事するなぁと思えば、どんなに完璧に見えてもダメですね。ごめんなさい、蛇足でした。

 

映画に戻りますが、アイコ役の松井さん、最初の場面で、横顔はノペッとしていて、あまり美しいとは思えませんでした。でもね、正面から目を見据えたカットになると、本当に独特な美しさがあるんです。女優さんて不思議ですよね。このスッとしたカラー(花です)のような雰囲気は、どこから来るんだろう。ちょっとグリーンがかったカラー、そのものに見えました。そんなアイコに痣があったって、誰もが惹かれますよ。

 

 

それに対して、飛坂はオタクと言って良い映画監督なんじゃないかな。何をしていても、映画が頭に残っているという感じで、とても理解が出来ました。好きなモノって、そうなっちゃうんだろうなぁ。色々なタイプの映画監督さんがいるけど、彼はオタクだと思いました。ま、でも、ダメ男ですね。女をしあわせにするタイプではありませんでした。

 

この映画、痣から入りますが、人と人との関わりを繊細に描いていて、心の動きも良く描いていました。きっとアイコは、また前に進み始めるのだろうと思います。周りにも良い人たちがいたし、完璧を求めず、色々な場面で、良い塩梅で進めて行けばいいんです。誤魔化しながらね。アイコは、そんな事が出来るようになっていくんじゃないかなと思わせる映画でした。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これは、沢山の人に観て欲しいな。子供の素直さと、大人の気遣い、本当はどちらが傷つくのか、考えるべきじゃないかと思いました。そして、恋愛の難しさかな。一方の思いだけでは恋愛は成り立たないという事を感じられる内容なので、観て、考えて欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「よだかの片想い」