「靴ひものロンド」
を観ました。
シネマカフェさん(@cinema_cafe)のオンライン試写会が当たりました。
ストーリーは、
1980年代の初頭。ナポリで暮らす4人家族の平穏な日々は、父アルドの浮気によって一変した。両親の激しい口論や父の魅力的な愛人、壊れていく母ヴァンダの姿を見つめながら、子どもたちはローマとナポリを行き来する。数年後、離散していた家族はふとしたきっかけで再び一緒に暮らすことに。それからさらに月日は流れ、アルドとヴァンダは夏のバカンスへ出かけるが、帰宅すると家は激しく荒らされており、飼い猫がいなくなっていた。
というお話です。
1980年初頭のナポリ。ラジオ朗読のホストを務めるアルドと妻ヴァンダ、アンナとサンドロの二人の子供たちの平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。アルドは同じラジオ局で働く、魅力的なアンナに惹かれ、嘘をつきたくないという理由で、妻ヴァンダに浮気を告白したのだ。ヴァンダは、相手を愛しているのか聞くが、アルドは答えない。激怒したヴァンダは、アルドに出て行くように告げる。
家族の元を去り浮気相手と暮らすアルドは、定期的に子供たちに会いに来るがヴァンダはすべてが気にいらない。次第にヴァンダの精神状態は不安定になり、その行動もエスカレートしていく。一方、アルドは、どっちつかずの生活に耐えられなくなり、子供に対しての接し方もおざなりになっていく。
衝突ばかりの両親の狭間でアンナとサンドロは母に寄り添うが、その影響は二人に出ていた。混沌とした数年を経て、アルドは子供との面会日に、サンドロの靴ひもの結び方が自分と同じように間違っている事に気付かされ、自然と伝わっていたことで親子だという事を認識し、家族との長い生活を思い返す。それがきっかけで、ふたたび家族は共に暮らし始める。
月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えたアルドとヴァンダの夫婦は夏のバカンスへ出かける。出掛けに、アルドが配達の女性に金額を騙され、多めにお金を取られてしまう。文句をいうヴァンダをなだめ、二人は家を出る。1週間後に自宅へ戻ると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた。警察を呼び、出掛けに来た配達の女性ではないかと疑うのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、去年のイタリア映画祭で上映した作品です。コロナで上映が中止になってチケットは払い戻され、オンライン上映だけされました。私は、結局、オンライン参加をしなかったので、観ていませんでした。
ある日、突然に夫が妻に、浮気をしましたって言うところから始まるんです。妻は、”何で話したの?”と返すと、”正直でいたかった”と夫が言うんです。おいおい、一番ダメなヤツでしょ。あのさー、ほんっと、頭が悪いというか、自分が可愛くて大切だから、こういう事を言うんだと思うけど、酷い男ですよね。もし、相手の事を思っていたら、最後まで浮気はしていないと、嘘をつき通すべきだし、もし、バレてしまったら、謝って、二度と会いませんと言うんだよ。
もう、浮気をしたと告白した時点で、その家族は捨てる気持ち満々だったと思いますよ。だって、相手を愛しているのかと聞かれた時も、アルドは答えませんでしたもん。答えなかったという事は、他の女を愛しているということですよね。マジで、腹が立つ夫でした。こんな男は、早く捨ててやれば良いのに。
でも、ヴァンダは、夫を取られたという事が許せず、段々と壊れていきます。きっと、アルドにこだわったのは、愛しているからじゃなく、自分のモノを取られたという事が許せなかったのでしょうね。もう、そうなると恋愛の問題じゃなくなってしまうんだなと思いました。だって、様子を見ていても、愛し合っている夫婦には見えませんでした。
そんな両親の姿を幼い頃からずーっと見せられた娘と息子。可哀想ですよね。子供には見せるもんじゃありません。だって、夫婦の喧嘩は、父と母としてではなく、男と女としての姿が出ているのですから。男はずる賢く、自分が悪いと言いながらもまったく責任を感じておらず、女は、自分の所有物を取られたという事で執拗に取り返そうと追い詰めていくので、どちらも厭らしく見えるんです。子供の頃に、自分の両親の汚い部分を見せられるのは、精神状態を悪くすると思いました。
この夫婦、何故か、復縁というか、再度、一緒に暮らし始めるんです。ヴァンダがしつこかったというのもあると思いますが、アルドが浮気相手に対しても、曖昧な態度を取っていたからじゃないかなと思いました。このアルド、自分が一番大切な人で、自分を守る為に、自分の意見を主張するとかをしないんです。いつも、どこかふわふわと浮いた感じのまま、誰に対しても、良い人でいたいんです。凄くズルいでしょ。みんなにイイ顔をする人間は、誰も信用しておらず、自分だけが良ければ良いと思っているんですよね。本当に嫌な人間でした。
一方、ヴァンダも、自分中心に何でも考えるような人物で、自分の意見は全て正しいのだと押し付けるような人間でした。人の話を聞けよって言いたくなる感じなんです。まぁ、こういうタイプの人って、時々、いますよね。そんな時は、話しを聞き流してしまえば良いんです。自分が意見を言っても、全く聞き入れないので、話すだけ無駄です。
こんな夫婦が、自分の両親だったら、そりゃ、辛いだろうなぁ。まぁ、子供も頭が良いから、切り替えるんだと思いますけどね。でも、もし、切り替えられない子供なら、精神的に不安定になったりするだろうな。これはダメだと思いました。
そして月日は流れ、夫婦は年を取り、子供たちは独立して、それぞれに暮らしています。既に、壊れていた家族なのに、無理やりに箱に収めて、家族として生活を続けて、現在に至るんです。夫婦はしあわせそうじゃないし、子供たちも、両親に寄り付かないようでした。そりゃ、そうよねぇ。なんで、そんな疑似家族を続けたのか、私には、全く理解が出来ませんでしたが、アルドとヴァンダには、それが必要だったのかな。何でなのかしら。
子供たちの話で、夫婦が一緒に暮らし始めてからも、アルドは浮気していたし、ヴァンダも他に恋人がいたらしいんです。それなら、お互いに自由になれば良かったのに、不思議ですよね。よく、仮面夫婦っていうけど、仮面をかぶってまで夫婦でいる必要ってあるのかしら。ヴァンダは、アルドの収入をあてにしていたのかな。
よく、女性で、男性に依存する人っているけど、そんな感じなのかしら。他人に依存する気持ちって、私には理解が出来ないけど、結構、女性に多いですよね。あんまり現代に男性女性って言いたくないけど、いつも”夫が夫が”って言う人っているでしょ。自分が無いんです。自分があって、夫は付属品でしょ。たまたま、婚姻関係を結んでいるだけです。考え直した方が良いですよ。
この映画は、無理に家族、夫婦の形を守ろうとして、結局、砂の城のように、さらさらと崩壊していく姿を描いているものでした。面白い映画でした。家族を守るという名目で、それぞれの人生を壊している事に気が付いていないというのが、何とも、悲しいなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、元気な時に観た方が良いですよ。この夫婦にムカつくし、何で?っていう疑問が沢山湧いてくるので、疲れていると、バッカじゃないの?って叫びたくなります。でも、有名俳優の演技は、素晴らしいと思いました。本当にイヤな夫婦を演じています。面白かったです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「靴ひものロンド」