「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」
を観てきました。
ストーリーは、
1920年、マルタ共和国のとあるカフェ。船長のヤコブは友人と、店に最初に入ってきた女性と結婚するという賭けをする。現れたのはリジーという美しい女性で、ヤコブは初対面の彼女に結婚を申し込む。そして週末、ヤコブとリジーは2人きりで結婚の儀式を行う。幸せな時間を過ごすヤコブとリジーだったが、リジーの友人デダンが現れると、ヤコブは2人の仲を疑って嫉妬するようになり・・・。
というお話です。
1920年のマルタ共和国。
船長のヤコブは、船から降りる前にお腹が痛くなり、料理人にどうしたら治るかと相談をすると、”それは結婚すればいいんじゃないか。”と言われ、そんなもんなのかと考え始める。
陸に上がり、友人とカフェで話をしながら、結婚したいので、今からカフェに最初に入ってきた女性と結婚するという賭けを友人とする。友人は笑い飛ばし、金を借りて出て行ってしまうが、ヤコブは本当に最初に入ってきたとても美しい女性・リジーの席へ行き、結婚を申し出る。リジーは初対面のヤコブを見つめ微笑んだ。
その週末、二人だけの結婚の儀式を行った。幸せなひと時を過ごし、ヤコブはまた、船に乗って数ヶ月、留守にする事に。
ヤコブが仕事を終えて家に帰ると、リジーは待っていてくれた。そしてリジーと一緒に夜の街へ出かけ、リジーの交友関係を紹介され、その時、彼女の友人・デダンを紹介される。デダンは、物書きらしいが、裕福な叔父のお金で生活をしている無職の青年だった。
それから、事あるごとにデダンを交えて観劇などをし、ヤコブは二人の仲を怪しみ嫉妬を覚えるようになる。リジーは友人だと言うが、毎夜、遊びに出て行く姿を見て、イライラが募っていく。そして、とうとう探偵に自分がいない間、リジーの調査を依頼することに。しかし・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、雰囲気が良くて、私の好きなタイプの映画でした。この時代って、ちょうど、F・スコット・フィッツジェラルドやゼルダたちが、ブイブイ言わせていた頃でしょ。ジャズが鳴り響き、誰もが寝ないで遊び続けていたような感じで裕福な時代だったのかなと思うけど、その後、大恐慌時代がやってくるので、遊んでいた人たちは跡形もなく消えてしまったんじゃないかな。
そんな良い時代に、思いつきで結婚した二人は、最初は結構、楽しそうに見えて、上手く行っていたのですが、ヤコブが心からリジーを愛し始めてしまう頃から、関係がおかしくなっていくんです。なんたって、ヤコブは、本当はとても真面目で誠実な男なので、思いつきとかで結婚なんかしちゃいけない男性だったんです。
リジーは、この時代の最先端を行っているような女性で、夫が居ても、外に恋人がいてもいいじゃんって思っていて、当てつけのように愛人を見せたりするんですよ。そりゃ、夫は嫉妬しますよね。でも、それも彼女の作戦なんだろうと思うんです。自分に夢中にさせておけば、浮気もしないだろうし、お金も出すだろうと思っているんです。
そんなリジーも、ヤコブのことを愛していたんじゃないかな。ちょっとやり方は違ったけど、彼女の愛し方で愛していたのだと思いました。但し、そのやり方は、間違っていたと思うけど。だって、ずっと振り回されたら疲れちゃうでしょ。どこか安心出来る場所があれば良いけど、それが無いんじゃ、付いて行けませんよ。ヤコブは息切れしてきてしまうんです。
なんたって、リジーの金遣いが荒いから、ヤコブは大変です。リジーが心配で陸に上がって、船長以外の仕事を見つけたのですが、それでは追いつかないほど彼女は、毎夜、飲み歩いてお金を使います。船長の給料は良かったと思うけど、陸の仕事は安かったと思うなぁ。それに、きっとリジーは、愛人デダンのお金も出していたんじゃないかな。叔父のお金で暮らしていると言ったって、際限無しではないだろうから、お金に困っていたと思うのよ。そろそろ大恐慌に入っていた頃だと思うからね。
いい様に使われたヤコブと言うように見えますが、彼が始めた事だし、仕方が無いと思います。リジーの態度は、最初から変わらないのですから。結婚したのだから変わってくれだなんて言えないでしょ。大体、船長で、いつもは家にいないという条件でしょ。それなら寂しくないように、妻は自分で遊び方を考えますよ。
女は、結婚して養ってやれば、いう事を聞くとでも思ったのかしら。初夜が終わって、直ぐに船に乗って何か月も帰ってこない夫なんて、リジーはよく待っていたと思うよ。他に、イイ金づるが見つからなかったのかもしれないけど。そういう条件だったと言うなら、リジーの方だって、出会いのシチュエーションからして、遊ぶのは解っていたでしょって言うと思います。
この映画を観ると、いかに男性が感情で動いていて、女性が合理的に計算して動いているかということが解ると思いました。あまり男女と分けたくないけど、この映画の中ではそう見えました。ま、ヤコブがお子ちゃまだったって事よ。苦しい恋愛をして、解ったんじゃないかな。
ネタバレ出来ないからあんまり書けないけど、リジーと一緒に暮らして、色々な事が起こった後、7年後のヤコブが、最後の方で描かれます。ヤコブは、とても良い顔をしていて、穏やかそうに見えました。何が起こったのかは、映画を観て欲しいけど、私は結構、この終わり方は気に入りました。ちゃんとヤコブは成長したんです。
リジー役のレア・セドゥさんは、本当に美しかったです。彼女ほど匂い立つような色気を持った女優さんは珍しいですよね。そばに居るだけでクラッとしそうですもん。それにやられちゃうヤコブ役のハイス・ナバーさんは、オランダでは有名な俳優さんだそうです。日本では、あまりオランダ映画って公開されませんもんね。イケメンで、とても誠実そうに見えました。声が良かったなぁ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。超と付けたいけど、時間が169分あるんです。3時間近くある映画は、あまり簡単には薦められないですよ。内容は凄く良いし、私は気に入ったのですが、3時間は辛いかなと思いました。でも、素晴らしい映画なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」