「彼女のいない部屋」家出をしたらしい女性は何故車を走らせていたのか。謎が解けた時、感動の嵐です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「彼女のいない部屋」

を観ました。

 

Fan’s Voice独占オンライン最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

「家出をした女性の物語、のようだ」という1文のみで、物語の詳細は伏せられており、主人公の女性クラリスを軸に、一見するとバラバラのピースがつなぎ合わさることで、ある真実にたどり着く。

というお話です。

 

 

この映画、あらすじが書けないという難しい映画なので、何となく描かれる状況だけを書いてみますね。

 

フランスの地方都市らしい。彼女は車を走らせている。彼女は家族を捨てて家出をしたのだろうか。ガソリンスタンドにより、海に向かおうと思っていると話す彼女の名は、クラリス。店員の女性が、久しぶりに車を動かすんだろうから、点検しておこうかと言い、クラリスは2ヶ月ぶりだからお願いするわと返す。

 

 

走っていた車を停めて、娘のピアノが録音されたテープを入れて、聞きながら、また走り出す。娘が小さかった頃の事を思い出す。色々な習い事をしていたが、好きなピアノ以外は辞めてしまった。意志の強い子で、一日1時間以上は練習をすると言ってきかない。子供は難しいが、誇らしくもある。

 

夫とは大恋愛の末に結婚し仲が良かったが、年を取るにつれて、段々とすれ違いも増えてきた。お互いに違う部分を認め合えればよいのだが、そう簡単にはいかない。仕事はお互いに忙しいし、子供は手がかかる。

 

 

今、クラリスはひとり、車を走らせている。時々、夫や家族を想いながら、そして今すべきことはなんなのか、思いを巡らせている。そして時は移り、クラリスは雪山にいる。何故、彼女はそこにいるのか。周りの人々は彼女に優しい。

 

また時間が経ち、今度はクラリスは自宅に帰ってきている。部屋を片付け、何かを決めるために戻ってきたように見える。今は、自宅に家族の姿は無い。何処に行っているのか。段々と謎が明かされていく。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、感想の書きようが無いんですよ。何故なら、観る前には、家出をした女性のようだという情報しか、与えられていないからです。これ以上の情報を出したいんだけど、出せないのよ。というか、感想を書くと、どうしてもネタバレになっちゃうのよ。ふんわりと真綿に包んだように語っていくしかないんだけど、仕方ないですね。

 

主人公のクラリスは、家族を大切に思ってはいるんだけど、どの夫婦でもあるような、お互いを尊重出来ない状態になっているんです。お互いに仕事をしているし、子供には手がかかるし、どちらかに押し付けるというか、子供は可愛いんだけど、仕事に行くために、夫に任せたり、どこかに遊びに連れて行くのも夫に任せたりと、結構、頼んでいたんです。夫は、ちょっとイラっとしているようで、怒っている描写もありました。

 

 

そんな事があり、クラリスは家出したのかなとも思えるんだけど、実は違うんです。家出ではないんですよ。ある出来事によって、自宅に帰っていないだけで、家出ではないんです。深刻な問題が起きて、自宅には戻っていないけど、家族の為に、ちゃんと動いていたんです。一時は、関係がズレたりしていたけど、気持ちは家族と離れてはいなかったんです。

 

彼女の目から見た状況を、静かに描いて行く作品は、全ての謎が明かされた時に、感動が浸透し始めるというか、その時点からじんわりと感動が湧いてきて、それまでの彼女の行動が全て繋がって行き、何とも言えない気持ちがドーンと湧いてきます。感動がMAXになると思います。

 

 

まさか、そういう事なのかな?というのが、三分の二くらい進んだ部分で感じ始めて、でも、あれ?どうしてかな?という謎が、段々と解明されていきます。私もそうでしたが、きっと、最初、観始めたころから、クラリスが何をやっているのか、家族との関係は?という疑問が湧いてきて、ずーっと繋がらないと思うんです。彼女目線だけの映像なので、それが何なのかは解らないのですが、何故か、とっても不安と物悲しさとがあって、クラリスが何に悩んでいるのか、何が不安なのか解らないんです。

 

観ていると、このクラリスは、ちょっと精神的に不安定で、危ない状態なのかなと感じさえして、周りの人が補助している様子で、何か原因があることが解ってくるんです。精神的なモノが強くあるようで、それを周りの人たちが、助けてあげているんです。

 

 

観ているこちらも、何があったのか不安になってきて、何だろう、どうなるんだろうと観ていると、少しづつ解明されていくんです。なので、そこまでは、ちょっと観ている方も、我慢をしないといけないかな。霧の中を走っているような感じなので、少し辛いんです。

 

でも、最後まで観ると、本当に感動します。誰もが、彼女の気持ちを、理解出来ると思うんです。同じような思いをした方も大勢いらっしゃるんじゃないかな。辛い事って、必ず誰にでも訪れることだし、それを、どう受け止めるかは、本人次第だと思うんです。そういう事って、努力すれば大丈夫とかじゃないですよね。難しい問題だと思うんです。そんな気持ちを、上手く映像化しているので、マチュー・アマルリック監督って、やっぱり凄いなぁと思いました。演技も凄いのにね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、超!お薦めと書きたいんだけど、理解するのが、結構、難しい映画だと思うので、万人に薦めて良いのか悩んで、こうしました。私は、珍しい一作だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「彼女のいない部屋」