「マイ・ブロークン・マリコ」亡くなってしまった友だちを想いながらの旅が心に沁みてきました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「マイ・ブロークン・マリコ」を観てきました。

 

Fan's Voice枠で、最速試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

鬱屈した日々を送っていた会社員・シイノトモヨは、親友のイカガワマリコが亡くなったことをテレビのニュースで知る。マリコは幼い頃から、実の父親にひどい虐待を受けていた。そんなマリコの魂を救うため、シイノはマリコの父親のもとから遺骨を奪うことを決意。マリコの父親と再婚相手が暮らす家を訪れ、遺骨を強奪し逃亡する。マリコの遺骨を抱き、マリコとの思い出を胸に旅に出るシイノだったが・・・。

というお話です。

 

 

ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨは蕎麦屋で昼食を食べていた。その店で観ていたTVニュースで、親友のイカガワマリコがマンションから、薬物を飲んでいて転落死をしたと流れてくる。まさかと思うのだが、名前もマンションもマリコのもの。

シイノを襲った衝撃的な事件。直ぐに家に帰り、マリコに連絡をするが連絡は取れない。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。

包丁を片手に単身“敵地”(マリコの実家)へと乗り込み、マリコの遺骨を父親から奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか。

シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。”まりがおか岬”という場所へ、単身で遺骨を持って向かうシイノ。

途中、引ったくりに遭い、遺骨以外を取られてしまい茫然としていると、そこでたまたま出会った男・マキオがお金を渡してくれる。そこで別れるのだが、また再会することになり、何故かマキオを巻き込み、行きたかった場所への旅は続く。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

衝撃作でした。面白かったです。主演が永野芽郁さんで、共演が奈緒さんと伺っていたので、ちょっとほんわりした、優しい映画かと思ったら、ガッツリと”ちから技”の映画でした。永野さんの容姿で、この役をやって下さるとは驚きました。素晴らしいですね。パワフルで男のような役なので、カッコいいと思ってしまいました。

 

ある日、突然に友達が亡くなります。その友達・マリコは、子供の頃から父親から性的虐待を受け、母親が出て行ってしまい、いつもマリコが悪いと責められ続け、家を出ても、今度は彼氏からDVを受けるという生活を続けていた事を、シイノは知っているんです。彼女だけには告白していて、シイノが辞めさせようとしても、どうしてもそういう悪い男に捕まってしまうという事を繰り返していたマリコ。
 

 

いつも思うんだけど、親に虐待されたりすると、何故かDVをする人と一緒にいる事が多いような気がするのはどうしてなのかしら。暴力から逃げれば良いのに、何故か、自分から寄って行って、そこで我慢しているというような人が多くて、どうしてなのだろうと思います。我慢することが苦痛じゃないのかしらと思うけど、苦痛なんですよね。それなのに、離れられないって、やっぱり共依存とかそういうものなんじゃないのかな。暴力はダメ。それが親であっても、恋人であっても、それは許されないことなんですから、認識を変えないと。

 

シイノは、いつもマリコを守ってあげようとしていたのに、最後の最後で守れず、耐えられなかったと思います。子供の頃から、ずっと虐待されるマリコを見ていて、大人になったら助けられると思っていたのに、死んでしまった。その悲しみと落胆は、本当に大きかったと思います。だからこそ、遺骨を持ち出さなければいられなかったのでしょう。これ、盗んだんじゃなくて、助け出したのだと思いました。

 

旅の道中、マリコの事を思い出していくんです。マリコはシイノに、何処にも行くなと言っておきながら、自分に彼氏が出来ると、全くシイノに連絡をしてきません。自分勝手でしょ。でも、誰か一人に集中してしまう性格なんでしょうね。全て依存してしまうからこそ、相手が自分の奴隷くらいに考えてしまって、DVをするのかもしれない。シイノは、そんなマリコが解っているから、いつも心配していたんです。シイノも、実はマリコにどこか依存していたのだと感じました。

 

難しいよなぁ。こういう関係って、友達以上になりたいと思っていても、言えないというか、子供の頃からの関係があるから、大人になってから二人の関係を恋愛関係にしようとか、恋愛でなくても家族になろうとか、そういう事は出来なかったんだろうと思います。シイノの家族関係は、一切情報が出てきませんが、まだ、子供の頃からタバコを吸っているような女の子だったので、シイノの家庭も、そんなに素晴らしい家庭ではなかったんじゃないかな。だからこそ、お互いに全て頼ってしまったらいけないという思いがあったのかなと思いました。

 

私は、このシイノの気持ちが凄く解って、泣きたくなりました。だって、子供の頃から一緒に大きくなってきた友達が、ある日、突然に亡くなってしまうんでしょ。取り残された気持ちになりますよ。何で、一緒にって、言ってくれなかったのって思うよ。あんなに、一緒にいてくれって言っていたのに、最後は一人で逝っちゃうなんて、辛かっただろうな。

 

ホントの事言って、死んじゃったマリコはどうでもいいんです。死んでしまえば、それで苦しみは終わるんですから。でもね、残された人間は、ずっと思い出して、考えて、苦しんで行かなくちゃいけないんです。それでも、生きていく為には、やっぱり、少しづつ忘れて行くしかないでしょ。可哀想だと思ったって、何だって、そうしなければ生きていけません。力強く生きていく為に、愛する友達を忘れていき、時々、ふと、思い出すだけでいいんじゃないかな。きっとシイノもそれを理解したのではないかなと思います。

 

永野さんと奈緒さんの演技が素晴らしいです。そして、ひょこっと出てくる窪田さんも、素敵な印象を残して、そこに居てくれます。とてもバランスの良い映画でした。嫌な部分が一つもないんです。恐かったり、悲しかったりという感情の起伏は沢山あるんだけど、それが嫌じゃないんです。しっとりと染みてくる映画でした。

 

 

この映画、私、凄く共感出来て、心に沁みました。好きな映画の1本になると思います。そんな映画なので、超!超!超!お薦めしたいと思います。この映画で、永野さんと奈緒さん、本当に好きになりました。もちろん、今までも、気に入ってはいたのですが、こんなに好きだなぁって思ったのは初めてかな。魅力的なキャスト陣でした。公開は、ちょっと先だけど、少し待っていてください。素晴らしい映画が届きます。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「マイ・ブロークン・マリコ」